中堅・中小企業は大企業に比べると、国内市場への依存度が高くなってしまいやすい。以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業の中から「2010年8月時点と2010年11月時点を比べて経常利益が減少した」と回答した企業を抽出し、その理由を尋ねた結果である。
「自社の販売や受注における数量が減少または横ばい状態である」や
「自社の販売や受注における単価が下降または横ばい状態である」に並び
「日本国内の需要はまだ回復していない」が多く挙げられている。
国内市場の動向が中堅・中小企業の業績に大きな影響を与えていることがあらためて確認できる。今後大きな成長を見込めない国内市場への過度な依存を避けるため、大企業においては海外展開への取り組みがさらに活発化している。
旧来、中堅・中小企業の海外展開は大企業が製造拠点を海外に移転する動きに追随するといった受け身での対応も少なくなかった。「ウチの商材は完全に国内向けだから、海外では売れないだろう」と考える方も少なくないかもしれない。海外で売れるためには家電製品や機械部品のように世界共通の工業規格がないと、そもそも自社の品質/技術に対する評価を受ける術がないと考えてしまいがちだ。
だが、日本の農産物や工芸品の中には高い評価を受け、海外から受注が舞い込むものも数多く存在する。「国内向けのものは海外では売れない」わけでは決してないわけだ。一方、中堅・中小企業の海外展開を支援する取り組みも充実しつつある。海外のeコマースサイトへの出店を支援するといった小規模企業向けのものから、海外拠点展開に必要なITインフラ構築/運用をサポートするものまで幅広い。
中堅・中小企業側の意識も変わりつつある。以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業のうち、「海外展開に取り組んでいる、ないしは取り組む予定がある」と回答した企業を抽出し、展開先の地域とそれを選んだ理由を尋ねたものである。
以前は「中国=人件費の安いオフショア先」という認識が多かったが、現在は「自社の製品/サービスにとって大きな市場である」「今後経済的な発展が見込める地域である」といった回答も多いことが分かる。「自社の規模では海外展開は難しい」と決めてしまわず、自社の商材を海外で訴求できるチャンスはないか?をもう一度検討してみることが重要である。
今回は「クラウド」「ビジネスインテリジェンス」「海外展開」といった三つの視点で、一般に言われているトレンドと少し違った見方をすることで垣間見えるIT活用のポイントを紹介してきた。これらが中堅・中小企業におけるIT活用の一助となれば幸いである。
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