SDL Webグローバリゼーションセミナーレポート

CNET Japan Ad Special2015年03月05日 14時00分

世界の顧客の心を掴むWeb戦略とローカリゼーションの効率化—ANAが講演

 続いてのセッションでは、全日本空輸株式会社(以降、ANA) マーケティング室 マーケットコミュニケーション部  主席部員 石川圭太氏が登壇し、ANAの事業戦略とWebサイトの関係、SDL WorldServerを導入し、どのようにグローバルサイトの運営を効率化していくかを明らかにした。本記事ではANAの導入事例の内容についてレポートする。

ビジネス面の課題

 ANAがSDLのソリューションを導入した目的は、事業環境の変化に伴う戦略的な課題を解決するためであった。ANAの事業の柱は国内線であり、旅客数は国際線よりも国内線の方が圧倒的に多い。ANAのWebサイトである「ANA SKY WEB」の現在、国内線航空券の販売高では全体の50%以上がWebサイトを経由しており、強力な販売チャネルとして機能している。しかし、2014年度の旅客輸送実績を見ると、従来からの主力事業である国内線は前年比99.7%とほぼ横ばいであるのに対し、2014年春からの羽田空港の国際線昼間枠の増大を背景に、国際線は前年比112%と好調に推移している。国際線の事業が拡大する中で、国内市場が飽和しているならば、海外での収益拡大が急務となる。ANAは、SKYTRAX社エアライン・スター・ランキングでは2年連続して最高評価である5つ星を獲得しているものの、海外市場での認知度が低く、グローバル顧客を獲得していくための顧客エンゲージメントの強化に問題を抱えている。そして、海外マーケットでのANAの認知度を高めるためには、海外在住の顧客に対してより快適で汎用的なWebサイトを整備する必要があるという結論に至った。

Webサイトに関する課題

 ANAのWebサイトは航空券を販売するためのEコマースサイトとして成長してきたが、今後は顧客体験価値を高め、ブランド力を強化するWebサイトでなくてはならない。ANAがWebサイトの海外展開を開始してからサイトの規模も徐々に拡大し、現在は36か国8言語でサイトを運営するに至っている。売上は海外展開に比例して増大しているが、これに伴い運営面での課題が大きくなってきた。

 重要市場である東南アジアや欧米でのブランド価値を高めるためには、顧客の言語に合わせたコンテンツを提供しなくてはならない。また、リニューアルは今後も継続的に実施することが予想され、積極的にコンテンツを更新できる汎用的な体制を整備する必要がある。

 顧客体験価値を高めながらグローバルWebサイトを運営する中で、顧客それぞれに対してパーソナライズされたページを提供することは必要不可欠であり、その一環としてローカリゼーションはやはり必要である。ローカリゼーションのためのコンテンツ翻訳、内容のレビュー、承認、アップデートといった一連の業務は頻繁に発生する。しかもその作業を対応言語の数だけ行わなくてはならない。Webサイトの運営負担が大きくなることは避けられない。

 ANAの場合、SDLのソリューションを導入する前は、各支店の担当者が翻訳作業を行っていた。そして、翻訳は担当者の属人的なスキルに依存するため、翻訳品質にもばらつきがあった。

SDL WorldServer の導入とその効果

 言語や翻訳作業は見落としがちな要素であるが、多言語化対応を行う上で翻訳作業の効率化は避けて通れない。ANAがSDLの翻訳サービスおよびソリューションを導入した目的は、各国に散らばる支店担当者の業務負担を減らし、サイトの運営を効率化することであった。導入の決め手は、以下に示すように、SDLがWebに限らないグローバル展開をサポートできることと、SDLの提供するソリューションがWebコンテンツの制作を効率化できることが期待された。

 ANAでは、SDL WorldServerおよび翻訳サービスを導入して得られた効果として、次の4点を挙げている。

  • ワークフローの改善
  • 支店担当者の業務負担軽減
  • 膨大な翻訳対応を効率的に実現
  • 翻訳データベースの蓄積

 石川氏によると、「ツールを使うことでワークフローが変わり、担当者は翻訳済みの原稿を確認するだけでよくなったし、ページ公開までの時間が短縮された」とのことである。膨大な翻訳対応が可能になったことは、ツールが提供するプロジェクト管理機能によるところが大きい。特に、ツールが提供する翻訳メモリーを使ったことで、翻訳の品質のばらつきがなくなるだけでなく、運営コストにもいい影響があるという。「導入当初は一定の費用がかかるものでも、翻訳メモリーが蓄積され、精度が向上するにつれてコストが低減できるようになるので、長い目で見て費用面の効果が期待できる」と石川氏はコメントしている。

 ANAでは更なる顧客体験の向上を狙い、Webサイトでパーソナライズされたメッセージを確実に届けることができるようにすることを視野に入れている。石川氏は「グローバル規模の環境変化に柔軟に対応できるOne to Oneのプラットフォームを構築していきたい。」と結び、講演を終えた。

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