白又氏:最大のポイントは、「Raw Data(生の明細データ)を統合・可視化できるようになったこと」です。これまでは、カード会員の「デモグラフィックデータ」やクレジットカードの使用履歴である「ビヘイビアデータ」と、永久不滅.comで持っていた「EC利用データ」や「アクセスログ」がバラバラに存在していたのです。従来からのカード会員のデータはホストシステムに、そしてネットショッピングの履歴はC/Sシステムに蓄積されていました。そのため、Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Act(改善)サイクルを実施しようとしても、多角的な分析や評価ができず、P・DだけでC・Aが欠けているという状態でした。この課題を解決するために、データ統合を実施し、それを可視化して、柔軟にデータ探索するべくQlikViewを導入したわけです。
白又氏:先ほども申し上げたとおり、加工されていない明細データを直接利用したかったからです。一般的なBIツールだと、集計用データマートを作らねばならず、分析軸を増やしたり、分析確度を変えたりするには膨大な時間が必要になります。QlikViewなら直接明細データを利用できますし、データマート作成は不要。これは大きなポイントでした。
白又氏:そうなんです。昨年・一昨年は既存顧客の離脱率が高かったので、まずは離脱率を削減することが最優先事項でした。そこでQlikViewを活用し、顧客ポートフォリオを把握して、具体的にどのような課題があるのか仮説を立てる必要があったのです。われわれはカード会社であって分析の専門家ではないので、普通のビジネスマンでも簡単に利用できて多角的な分析ができるQlikViewが最適でした。例えば「ゴールドカードと一般カードでどのような違いがあるのか」「Amazonと楽天で購買傾向にどのような違いがあるのか」「PCとスマートフォンの利用傾向は?」といった自由な切り口で分析し、それを基に現実の施策に役立てています。
白又氏:今まで永久不滅.comでは、ライトユーザーとヘビーユーザーの割合や利用頻度といった利用者像を定量的に把握できていませんでした。そこで利用者像を把握すべく、初回購入から細流購入までの「在籍期間」、最終購入日から現在までの「離脱期間」、「購入金額」という3つの軸で分析しています。この軸で見ていくと、例えば「2回目利用者の80%が、初回購入から90日以内に購入している」という傾向が分かるのです。とすると、初回購入から90日以内の新規顧客を「リピート予備軍」と位置付けられます。さらにいえば、「6回以上利用した場合、90%の利用者が定着する」という傾向も把握できたので、6回購入までにかかる期間・260日以内のユーザーをいかに動かすかが重要となる。こうして傾向が見えることで、打ち手が見えてくるわけですよ。こうした状況に対し、先ほど申し上げたようなレコメンデーションを実施することで、「ここのサイトで買い物をしたい」「この商品を買いたい」というニーズを喚起することができる。このレコメンデーションにより、コンバージョン率が3倍伸びました。ちなみにこの顧客ポートフォリオの動きについても、30日ごとにどういう変化があるのか常時見ています。
白又氏:データ活用の観点からいえば、先ほど申し上げたとおり、実はカード会社のデータはさまざまな"限界"があります。そうした部分を補完するために、調査データや行動ログデータなどを取り入れて行きたいと考えています。もちろんあまりにパーソナライズしすぎると逆に気持ち悪がられる可能性があるので注意が必要ですが、将来的には購買動機を刺激するような予測型レコメンデーションも実現していきたいと考えています。なぜなら、クレディセゾンの強みは、リアル店舗とオンラインと2分野でサービスを展開していることにあるからです。このエコシステムの中で、レコメンデーションを通じたO2O2Oのような多角的なサービスを展開していきたいですね。
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