旅行者に最大の価値を
「永遠の未完成」アプリが創成する
ユーザー視点エコシステム実現の道のり

 訪日外国人旅行者数は2013年に節目となる1000万人を突破した後、2020年に開催される東京五輪を通過点とし、今後も増え続けると予測されている。政府は4000万人、経済効果8兆円という目標を掲げている。外国人旅行者の満足度は、その実現のための最も重要な要因になる。到着から帰国まで、楽しい旅行をサポートするアプリの狙いや開発秘話、今後の展開について、JTBの吉永善顕氏と日本マイクロソフトの高木充弘氏に聞いた。

 2018年2月にローンチしたのは訪日外国人旅行者向けアプリ「Japan Trip Navigator」。ユーザーはJapan Trip Navigatorを通じて、パーソナライズした観光のモデルプランやスポット情報を閲覧できる。JTBが持つ観光情報、ナビタイムジャパンのアプリ開発技術、そして日本マイクロソフトのクラウド技術であるMicrosoft Azureのノウハウを持ち寄り、3社の協業開発によって誕生したアプリである。画像認識によって観光地を特定するなど旅をサポートするAIチャットボットも盛り込んだ。

デジタル化で訪日旅行者の満足度を高める

 吉永氏は、アプリ開発の背景について「団体ではない個人の外国人観光客(FIT)が増加する中、JTBの強みであるヒューマンタッチによるサービス提供だけでは多様化するニーズに対応しきれない、柔軟性に富むデジタルによる解決が正しいと判断した」と話す。

 「サンライズツアー」という訪日外国人旅行者向け日帰り観光バスツアーがある。旧日本交通公社時代から100年近く続く旅行商品だ。しかし、訪日外国人旅行者のリピーター化が進む中、従来の団体旅行としてのサービス提供だけでは顧客満足を得るのが難しくなってきている。

 「JTBは伝統的にグループや団体旅行、MICEは強いですが、FITの増加に伴うニーズの多様化に追いついていない。サービスを提供するためのタッチポイント(顧客接点)も不足していると感じていた」と吉永氏。リアルな顧客接点としては全国の空港でツーリストインフォメーションセンターを運営しているが、デジタルの対応には後手を踏んでいるのが実情だった。

 旅行中にモバイルデバイスを活用してもらい、質の高い情報やサービスによる付加価値を提供する――。これが、JTBが設定した最大の目標である。訪日外国人旅行者向けにはWebサイト「JAPANiCAN.com」を運営しているが、宿泊施設の予約・販売サイトであり、旅行中の多様なニーズには応えきれていない為、日本に到着してからサイト訪問してもらうケースは少なかった。旅慣れてくるほど、地元ならではのお店やレストラン情報にアクセスし、有名になっていない観光スポットを訪れたくなるのがツーリストの自然な気持ちと言える。そこに対応するのが、重要な目的の1つだ。

訪日外国人旅行者の快適な旅行を支援するというアプリ開発に至った経緯が見えてきました。実際に、アプリを開発する上で、何が課題でしたか。

吉永氏 日本には飲食、交通、各種の体験など優れたアプリが数多く存在しています。しかし、各企業がWebやアプリを開発し、別々にマーケティングを展開している状況です。各アプリから得られる体験は、訪日旅行というカスタマージャーニーから見れば1シーンに過ぎません。せっかくの旅行というシームレスな体験が、各サービスにより縦に分断されてしまっている状態です。一方、外国人旅行者視点では、どのアプリを選べばよいか分かりません。それをどうやって選ぶのか、情報収集も大きな負担となります。仮にアプリを選択できても、訪日旅行におけるカスタマージャー全てをカバーしているアプリはない為、旅行者は興味に応じて複数のアプリをインストールしなければなりません。一回の旅行の為に10個ものアプリをインストールするなんて嫌ですよね。

 つまり、個人旅行は、情報取得とサービス選定という2つの問題を抱えています。JTBがモバイルデバイスを使った顧客接点を構築する際に考えたことは、旅行事業者だからこその顧客理解に基づいたシームレスなサービスの構築・提供です。これが最初の課題でした。

JTB 訪日インバウンドビジネス推進担当部長 事業統括 吉永善顕氏
JTB 訪日インバウンドビジネス推進担当部長 事業統括 吉永善顕氏

あいまいな要望に答えるのが価値

 JTBは旅行前の顧客接点として店頭(有人)販売店舗を持っている。有人サービスの強みは、露天風呂付客室や個室での食事、海が見える部屋など顧客が期待する明確な条件に基づく商品提案に留まらず、顧客の要望が曖昧な段階でも、その好みや予算、参加者の人数・構成などに応じて商品やサービスを提案できる。デジタル領域においても、店頭販売員やガイドに尋ねるのと同じように明確な条件がなくとも顧客が満足する内容を示すことが、新たなサービスの一つの価値になると考えるようになったという。

 たとえば、東京でどこか良いところがないか?、といったあいまいな条件での検索だ。旅行先である日本について十分な情報を持っていない顧客に、デジタルを活用して、店頭接客を受けているような双方向のコミュニケーション手段を提供することで、自分に合うものを選べるようにする。

 また旅中において、お客様が「いいところある?」と添乗員やガイドに尋ねた時、その返答内容がお客様の行動に大きく影響を与える。このように旅中の「検索から得られる旅行中の体験」に価値を感じる顧客が多い。

 こうした旅前、旅中の営みをAIチャットボットで実現できないか考えアプリ開発のプロジェクトがスタートした。

提供:日本マイクロソフト株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2019年6月30日

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