ハイセンスジャパンの現在青島工場とR&Dセンターに見る
こだわりの家電づくり

 テレビに続き、冷蔵庫、洗濯機、エアコンといった白物家電も日本市場に投入しはじめたハイセンスジャパン。製造拠点は本社も構える中国青島にある。中国国内に6カ所ある製造工場のうちの1つで、テレビ、携帯電話から冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機、エアコンまで幅広く取り扱う。

 ここでは製造、R&D拠点の1つである青島の工場とR&Dセンターから見えてきた、日本向け白物家電に対する製造のこだわりと、ハイセンスが描く将来像について紹介する。

中国青島にあるハイセンスR&Dセンター
中国青島にあるハイセンスR&Dセンター

日本向けエアコン設備に1億5000万円を投資

 青島には、テレビや業務用エアコンなどを手がける「黄島工場」、冷蔵庫や冷凍庫、洗濯機などの製造を担う「平度工場」などの工場がある。平度工場は青島の中心地からは車で30分程度。そのため、工場敷地内には居住棟も設けられ、約4000人が職住近接の環境で暮らしている。

テレビや業務用エアコンなどを手がける「黄島工場」
テレビや業務用エアコンなどを手がける「黄島工場」

 70万平方メートルの広さを持つ平度工場では、3~6月が繁忙期。通常5000人が12時間体制で勤務しているが、この時期だけは7000人まで従業員を増やし、24時間稼働に切り替え、製造にあたる。

 3月に日本で取り扱いを開始したエアコンも、平度工場が製造拠点。日本向けエアコン製造にあたり、工場内の設備を投資し、リニューアルした。エアコンの日本市場投入にあたり、ハイセンスジャパンは調査を実施。日本におけるユーザーテストを繰り返したほか、家電量販店に事前で商品テストをしてもらい、サイズ、デザイン、性能などを見極めていったという。

 中国に比べ、家屋の狭い日本では、コンパクト化が求められるほか、中国向けモデル以上の省エネ性能が必須。品質保証についても、条件がかなり厳しいという。そこでハイセンスでは2019年に品質保証チームを立ち上げ、高品質での製造を徹底。製品本体はもちろん、箱などの梱包材においてもキズ、汚れのない、美しい仕上がりを維持する。

 エアコンは、ハイセンスの中でも強いジャンルの1つだ。1997年に三洋電機と提携し、中国で初めてインバーターエアコンを開発。中国向けには「壁式」と呼ばれる横型と縦型の「縦式」の2つを展開。360度に冷風を送る縦式は、斬新なデザインと相まって中国で高い人気を誇る。

中国向けエアコン。壁式と呼ばれる横型タイプと、縦型の2タイプを展開している。いずれも家屋の広い中国向けモデル
中国向けエアコン。壁式と呼ばれる横型タイプと、縦型の2タイプを展開している。いずれも家屋の広い中国向けモデル

 中国では業務用向けにも、車載用はもちろん、通信会社向けに停電時にも停止しないタイプや、超高温に耐えられるモデル、サーバー室用など、幅広いラインアップを展開する。

 多彩なラインアップに加え、さらに日本向けエアコンを展開するのは「世界でもトップレベルである日本のエアコン性能を身につけることで、エアコンのトップブランドになりたい。品質を日本向けに向上できることはハイセンスにとって大きなチャンス」と意気込む。

 一方で、リモコンのボタンサイズは大きく、バックライトをつけるなど、使いやすさには徹底的にこだわる。「コストはかかるが、細かい部分にこそ力を入れている」という通り、細部に気を配る。日本向けを作るにあたり、日本から技術者を招聘し、作り上げたエアコンの実力は、2019年夏に試される。

 テレビの製造拠点である黄島工場には4つのラインを用意し、年間1400万台を製造する。32~86V型までの製造が可能だが、メインは55V型以上の大型だ。

 作業の約70%を自動化しているという通り、組み立て工程以外は、人手が少なく、ロボットがフル稼働している。背面のネジの取り付けは、ほぼ自動化されており、人手を割いているのは、大枠の位置決め部分のみ。そのほかのネジ取り付けを自動化することで、人手は3分の1に減ったという。

中国青島にあるテレビ工場。自動化により、テレビパネルのネジ止めのスタッフは従来の3分の1に省人化している
中国青島にあるテレビ工場。自動化により、テレビパネルのネジ止めのスタッフは従来の3分の1に省人化している

 ハイセンスでは、青島にR&D設計本部を持ち、ここに開発、テスト環境を整える。テレビの輝度やコントラストなどを調べる「光学暗室」には、モニタを回したり、左右に振ったりする検査作業を自動化。コニカミノルタの分光放射輝度計「CS-2000」と5軸テストができる設備を組み合わせることで、短時間かつ少人数でテストができるようになったという。

 また、高温、低音、高湿度といった環境への耐性テストは、特別検査施設を用いて実施。施設ごとに、温度や湿度を設定し、その中にテレビを設置し、耐性を確かめる。期間は24~42日間。テレビだけではなく、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電にも同様に厳しいテストが実施されている。

スマホやレーザーTVなど日本未発売の魅力的な新製品

 工場やR&Dセンターには、徹底したテスト環境を整える。洗濯機工場では、製造途中でエラーが出た時点で、ラインを止め、原因を追求。すべての洗濯機で給排水テストを実施するが、水が残らないよう、業務用の吸水機を導入したという。冷蔵庫工場では、通常30~40分で行うテストを2時間かけて実施していた。「効率は悪いが品質アップにつながる」ことを重視する。

 そのためにも自動化は必須だ。ドラム式洗濯機工場の生産ラインは全自動化を進めており、1つの工程で従来10人いた従業員は3人へと効率化した。重量があるため作業に時間がかかる梱包も、自動化を取り入れることで、大幅な時間短縮に結びついているという。

 細部にまで気を配った工場で生み出されるのは、日本市場に導入されているものだけではない。TVチューナー付短焦点「レーザーTV」のほか、3つの分け洗いができる3槽の洗濯機や、音声コントロールができるガラスドアの冷蔵庫、スマートスピーカー、電子ペーパーと液晶モニタを前後に搭載した、2面(表裏)スマートフォンなど、ショールームには魅力的な新モデルが並ぶ。

 「すべてを日本に導入できるわけではない」とするが、魅力的な家電は数多く、中国市場ではすでに家電のオールラウンダーとして確固たる地位を確立している。一方で、交通信号コントロールやバスのコントロールシステムなど、B2B事業にも力を入れる。日本向け家電に本腰を入れたハイセンスが今後どのような新製品を生み出し、投入してくるのか、非常に楽しみであり期待される。

中国市場で発売済みのスマートフォン。電子ペーパーと液晶モニタを両面に配した2画面モデル
中国市場で発売済みのスマートフォン。電子ペーパーと液晶モニタを両面に配した2画面モデル
提供:ハイセンスジャパン株式会社
[PR]企画・制作 朝日インタラクティブ株式会社 営業部  掲載内容有効期限:2019年9月15日

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