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実証実験や概念検証で見えてきたAIの適用シーン ―― 富士通のAI「Zinrai」が目指す未来

スマート都市や生産ラインでの実証も進む

 そうした中、実証実験や概念検証(PoC)を通じて実用化されつつある事例もある。その一つが、社会インフラ領域への適用事例として欧州・中東・中国などの海外で提供を予定しているスマート都市監視である。街中に設置されている監視カメラの映像に対し、AIが車両や人物に関する多様な情報を検知し、セキュリティ監視業務の負荷を軽減しようというものだ。

 「この事例では、最新のAI画像解析技術に加え、膨大なデータを高速に処理するためにハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)技術を組み合わせなければなりません。富士通の強みは、このようなAIの稼働基盤となるHPC技術を持っているところにあります」(橋本氏)

 一方、ものづくり領域におけるAI活用では、富士通自身が自社の製造工程にAIを組み込むなどの実証実験を行っており、その技術を製造業企業へ提供する準備を進めている。

 「当社自身がコンピュータや半導体などを生産する製造業ですから、様々なところでAI活用を始めています。例えば、生産ラインの設備にカメラを設置してAIによって不良品や異物混入を発見するといった事例です。このような自社で実施したAI活用事例は、製造業だけでなく流通業のお客様にも展開していくことができます」(橋本氏)

 このように製造業企業へ適用する際、Zinraiには大きな優位性がある。それは、Zinraiがクラウドでもオンプレミスでも同じ機能を提供できるという点だ。

 「製造業の中には、クラウドを好まないお客様が少なくありません。生産ラインのデータは、製造業企業にとって最も重要な情報だからです。Zinraiならば、生産ラインのすぐ隣にオンプレミスで設置することができます」(橋本氏)

モビリティ領域は周辺分野の活用を推進

 AI活用領域の中でも、社会的な関心が高いモビリティ領域については、実用化の期待が大きい自動運転分野よりも、運転者支援やITS(Intelligent Transport Systems=高度道路交通システム)分野へのAI活用を視野に入れている。

 例えば、富士通が提案するAI活用事例の一つにドライバーモニタリングがある。これはドライバーの眠気・疲労度・体調変化などを見守り、運転の安全性向上を目的としたものだ。富士通のウェアラブルセンサー「FEELythm(フィーリズム)」、を活用することにより、心拍センサーで運転中のドライバーを見守るものだ。

 「モビリティは、AI活用において技術以外にも様々な検討が必要な領域です。障害物を検知しながら自動走行するという場合には、事故が不可避なときにどのような選択をするかといった倫理的な議論も発生します。こういった点は広範な議論が必要です。当社はまずは、ITSのような膨大なセンサーデータを活用する分野へのAI適用をターゲットにソリューションを展開していく計画です」(橋本氏)

AI活用のトータルな支援体制を構築

 最後に、橋本氏にあらためてZinraiの強みを聞いた。

 「Zinraiには三つの強みがあります。一つはスーパーコンピュータで培った世界最速クラスのディープラーニング技術など最先端の独自AI技術(詳細は第2回記事)、二つ目はお客様との共創・社内実践で培った業種業務ノウハウをAPIとしてサービスメニュー化(詳細は第1回記事)して提供できる点です。さらにもう一つが、デジタルフロントSEとAI専門技術者によってAI活用をトータルに支援できる体制があることです」(橋本氏)

 富士通は2016年4月、新たなSE部隊としてグローバルデリバリー部門とインテグレーションサービス部門を統合し、グローバルサービスインテグレーション(GSI)部門を設立。ここに所属するデジタルフロントSEが、技術部隊のデジタルサービス部門、およびサービスプラットフォーム部門と連携してワンストップでユーザー企業を支援する体制を作り上げた。11月の組織改編では、このデジタルフロントSEを3,000名規模に増強している。

 さらにデジタルサービス部門・サービスプラットフォーム部門・研究所も加え、約700名のAI専門技術者の配置を完了。AI専門技術者は2018年末までに約1500名まで増員する計画もあるという。

 「デジタルフロントSEとAI専門技術者は、AI活用のためのオファリングモデルを作成したり社内実践を進めたりすることで、AIに関しての知見を深めています。2017年4月からは本格的に始動させ、産官学連携や各業種業界の企業とのコラボレーションも含めたAIビジネスに取り組んでいく予定です」(橋本氏)

 国内最大のICTベンダー、富士通がついにAIビジネスに本腰を入れたということだ。同社のAI「Zinrai」の動向に、これからも目が離せない。

図:AI活用をトータルに支援するZinrai関連サービス 図:AI活用をトータルに支援するZinrai関連サービス
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