--その強化された画像処理エンジンを、どういったユーザー体験につなげているのか、もう少し詳しく教えて下さい。
田中:"快適""キレイ""楽しい"の追究です。
まず"快適"の部分ですが、レリーズタイムラグの短縮を実現しました。上位機種「EX-ZR300」のおよそ半分となる「0.016秒」を達成しています。機能面では、シャッター半押しで撮影できる「スナップ撮影」を搭載しています。このモードでは"パンフォーカス"撮影が行え、まさにスナップに最適なモードといえるでしょう。
"キレイ"に関しては、さまざまなシーンでキレイな写真が撮れるということを意識した機能を搭載しています。例えば、最大6fpsの「AF連写」は、連写中であってもピントズレに強い機能ですし、「全焦点マクロ」機能なら至近距離(5cm)から遠景(∞)の全域でピントの合ったような写真(合成)が得られます。
左の通常マクロ撮影に対し、右が全焦点マクロだ。
全域にピントが合ったような画像処理を行なっていることがわかる。
※クリックすると拡大画像が見られます
そして"楽しい"に関しては、いわゆる"作品"をイメージした機能を搭載しており、「アートショット」も進化しました。例えば「HDRアート」であれば「レベル1、2、3」の3モードだけだったのに対し、新しく「エクストラ1、2」という解像感の高いHDR写真が撮れるモードを追加したほか、「フィッシュアイ」というフィルタ効果が加わっています。HDRアートではさらに、ダブル保存(HDR写真+オート写真の2枚保存)に対応したのもポイントです。
--インターフェースまわりも、最上位機種「EX-ZR1000」では新しいアイデアが導入されていますね。
田中:まず外観的な特徴、進化点では、レンズの周りに「ファンクションリング」を搭載しました。いわゆる"高級コンパクト"などに採用された機構ですが、"コンパクトデジタルカメラ"にはあまり搭載されていないと思います。これは一言でいうと操作性向上のために採用しました。次に、背面に備えた「コントロールダイヤル」です。従来モデルでは「十字キー」だったものを"十字&ダイヤル"操作可能な「コントロールダイヤル」と進化させて搭載しています。
--従来機種にはない新しい操作インターフェースですが、どのような効果があるのでしょうか。
田中:まず、「ファンクションリング」は、撮影時のストレスを軽減するのに役立ちます。例えば、「プレミアムオート」モードの状態でリングを回すとズームの変更が可能です。いわゆるステップズームが機能し、38mm、50mm、85mm、100mmなど、全部で9つの焦点距離に変更できます。また、初期設定されたステップズームだけでなく、EVシフトなどにも変えられます。なお、設定できる項目はモードによって異なります。これまでの機種では、一度設定モードを起動し、"操作パネル"を操作する必要がありましたが、ファンクションリングによって、必要な機能を直感的に変更・操作できるようになっています。
そして、「コントロールダイヤル」は、一新したGUI(グラフィックインタフェース)の操作と密接に関係しています。従来機種では「十字キー」と"縦横のGUI"(操作パネル)を採用していましたが、「EX-ZR1000」ではそういったインターフェースとGUIの関係を一新しています。「EX-ZR1000」では、画面の左側に"半円"、右側に"円形"のメニューが表示されます。これが従来の「操作パネル」に変わるものです。「コントロールダイヤル」という円形の操作機構を設けましたから、それに合わせたGUIを採用したわけです。左側の“半円”と右側の“円形”には、「コントロールダイヤル」を十字キーのような使い方、つまり、右と左を押して切り替えます。あとは、ダイヤル部を回すことでパラメータの調整が行えます。
コントロールダイヤルと新しくなったGUIが連動し、直感的に操作できる
--今後発売される機種はすべてこの新しいGUIを採用するのでしょうか。
萩原:基本的には同等のものを搭載する予定です。しかし、機種によってはファンクションリングやコントロールダイヤルがなかったりするので、機種ごとに最適化されたものにはなると思います。
--これまで、EXILIMシリーズは極端なGUI変更を行わず、買い替えユーザーが戸惑うことのない操作性、そして初心者でも安心して利用できるというGUIを目指してきたと思います。EXILIMを評価するうえで、重要なポイントだったと思うのですが、それを一新した理由はなんでしょうか。
田中:EXILIM誕生から10年間、GUIをほとんど変えずに機種に合わせた改変(最適化)を行ってきました。しかし、10年という節目の時期ということもあり、また、社内でそろそろ新しいところを目指したいという意見があったため試行錯誤して一新したという経緯があります。
萩原:ハードウェア的な面からいうと、まず、採用している「EXILIM Engine HS」は"グラフィックコア"も内包しています。つまり、グラフィック描画用のエンジンを搭載しているわけです。しかし、これまでのEXILIM EX-ZRシリーズでは、それを活かしきれなかった。ある意味で従来のGUIは完成されていたのです。しかし今回、社内的な"熱"もあり、GUIの一新へと話は進みました。その結果、グラフィックコアを活かすチャンスが生まれた。具体的にいうと、メニューをより精彩にしたり、アニメーション効果を付加したりといったことに利用できたということです。正直に申し上げると、手を加えることでの不安もありました。地味ではありますが、評価されていたポイントのひとつだったからです。
田中:しかし、やるからには従来の"型"にとらわれない、もっとユーザーに喜んで貰えるGUIを作ろうと開発したわけです。コントロールダイヤルとの組み合わせによる使い勝手の相乗効果もみていただきたいポイントです。
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