「売れない」のに「最新ゲーム情報を公開」している中国の奇妙なゲーム事情

 東京ゲームショウが9月22日から3日間行われる。日本国内だけでなく、中国もこの日本最大のコンピュータエンタテイメントの総合展示会に非常に興味を持っていて、例えばCNET系列のメディアであるGameSpotでは、特設ページを設けているほどだ。もちろん他の中国メディアでも、紙媒体、ウェブ媒体、IT誌、ゲーム誌問わず紹介している。

 ところが中国には2000年6月に国務院が発布した44号文件、正式名称を「関于開展電子遊戯経営場所専項治理意見的通知(コンピューターゲームの経営場所を開業し治めることについての意見の通知)」というものがあり、これが日本のコンシューマーゲームがタイムリーに中国市場に展開するのを拒んでいる。44号文件は主に実質ネットゲームセンターと化しているネットカフェを開業するためのルールなどがかかれているが、その中に短い文で日本など海外のゲーム機の輸出入を禁止するということが書かれている。つまり法律上では中国ではPlayStation2もXbox 360もニンテンドーDSも販売できないのである。

 そこで中国産のハードとソフトをソニーや任天堂などはリリースする。ソニーはソニー中国から、任天堂はiQue(神遊科技)から、中国本土向けの本体とソフトがリリースされる。ところがリリースする前に問題の無い内容かどうかチェックが入る。チェックが入るのでリリースに時間がかかる。その間に日本で発売されたソフトの海賊版が安価に中国で流通し、中国で正式版がようやっと販売できたことには既にヘビーゲーマーは海賊版を遊び終えている。

 海賊版ソフトや海外版の正規ソフトを販売するゲーム専門店は上海や北京はもちろん、省都クラスの都市ならどこにでもある。ゲーム専門店では日本で購入したと思しき値段シールが貼られたままのものがガラスケースに丁寧に保存してあり、それとは別に店ではCD-RやDVD-Rに焼かれた海賊版ソフトを詰めたダンボール箱やクリアファイルを用意しているのが一般的だ。ゲーム専門店は繁盛していて、これを利用するゲーマーの多くは海賊版を購入するが、稀に正規品をコレクションとして購入するゲーマーもいる。

 ところで44号文件では海外製ゲーム機の輸出入を禁止するのであって、海外製ゲームのレビューは禁止されていない。なので日本を中心とした最新コンシューマーゲームを紹介する雑誌もあれば、ゲーム特設サイトを作って各機種ごとにお勧め最新ゲームを紹介するポータルサイトもある。

 7月末に行われた中国最大のゲームショーChinaJoyでは、SCEIがPS3ブースを出し大盛況となったほか、コナミもPS2用ゲームも参考出展しこちらも盛況となった。これを見た中国のブロガーの一部からは日記において「PS3などの次世代機が登場するころにはこの法も変わらないだろうか」と期待を寄せている。

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