お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

恋するあなたのためのUXデザイン

2014/12/24 00:00
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事は、UX・ユーザビリティに関するブログを、12月1日から25日までリレー投稿していく UX Japan Advent Calendar 2014 の24日目の記事です。

今日はクリスマス・イヴ。大切なあの人のために、どんなクリスマスプレゼントを贈ろうか、悩みますよね。

そんなあなたに、UXデザイナーがじっさいに使う恋愛テクニックをご紹介します。

すてきなクリスマスプレゼントを選ぶためのUXデザイン。

題して「恋するあなたのためのUXデザイン」です。

ちなみに、ぜんぶ実話です。

恋人はもちろん、友達、同僚、家族、あなたの大切な人に、すてきな体験をプレゼントしてください。

以下、プレゼントを贈るお相手のことを「ユーザー」と書きます。あなたの「恋人」や「家族」に読み替えてください。

いきなり「プレゼントを何にしよう」と考えない

まずは、ユーザーを理解しましょう。

ありがちなのは、いきなり「プレゼントを何にしよう」と考えることです。

「とりあえず指輪とかかな・・・」

「手編みのマフラーとか・・・」

ユーザーは、本当に、それを欲しがっているのでしょうか。

「彼/彼女のことは、もうよくわかってる!」

本当でしょうか?

あなたはふだんの仕事で「ユーザーのことは、もうよくわかっている!」という相手に、「ユーザーはちゃんと調べないと理解できない」と、説いているのではないでしょうか。

そして「もうわかっている」と言う人が、どれだけユーザーのことを知らないか、あなたはよく知っているのではないでしょうか。

だとしたら、あなたは本当に、彼/彼女のことをわかっているのでしょうか。ちょっと不安になってきませんか。

ユーザーの心理を知らずに「プレゼントを何しよう」と考えても、よい体験はデザインできません。

まずは、ユーザーを理解することからはじめましょう。

缶ジュースを「2種類」差し出してみよう

では、ユーザーの理解はどのようにすればよいでしょうか。

プレゼントを贈るにあたり、とくに課題になるのはユーザーの好みです。直接に訊いてもよいのですが、プレゼントのサプライズ感は失われます。

日常のなかで、さりげなくユーザーの好みを探ってみましょう。

たとえば、飲み物をわたすとき、缶ジュースを「2種類」買って、「どっちがいい?」と差し出してみましょう。

紅茶とコーヒーでは、どちらを手に取るでしょうか。無糖とカフェオレでは? かわいいパッケージと、オシャレなので、どちらを選ぶでしょうか。

そして、軽い感じで

「なんでそっちにしたの?(笑)」

と訊いてみましょう。たいていの相手なら、「えー(笑)」と笑いながら、答えてくれます。さりげなく回顧インタビューをして、ユーザーの文脈を掘りさげます。

缶ジュースだけでも、いろいろと新しいことがわかるものです。僕は、会議の差し入れで、男女問わずチームメンバーによくするのですが、

  • 紅茶が好き。
  • コーヒーが好き。
  • コーヒーは飲めない。
  • 紅茶でもコーヒーでも、甘いとだめ。
  • 無糖は苦手で、ミルクがないと飲めない。
  • ジャスミン茶のようにすっきりしたのが好き。
  • においが口に残るのが嫌で、会議中は水がいい。
  • ダイエット中なので健康志向っぽいものがいい。
  • 差し出されたものは何であれ素直に受け取る。

などなど。

リサーチしてみると、世の中で言われるような、紅茶党とコーヒー党には分かれません。なかには「甘くない炭酸水があれば満足」という方も、2名ほどいました。

このように、缶ジュースをひとつとっても、ユーザーの好みを掘りさげることができます。

甘いものが苦手なら、お菓子のプレゼントには注意がいりますし、お酒ではどうか、という追加リサーチもしたくなります。

単純に紅茶が好きなんです、ということなら、プレゼントに「ルピシア」や「マリアージュ フレール」の紅茶缶も候補になりそうです。

深堀りして理解する

「パッケージがかわいい」という発話があったとして、たんに「かわいいのが好きなんだ」と理解してはいけません。

ユーザーがいう「かわいい」は、どのような「かわいい」でしょうか。

たとえば、「gelato pique」のようなふわふわを「かわいい」を指すこともあれば、「ANNA SUI」のようなビビッドな雰囲気を「かわいい」という人もいます。「LIZ LISA」の「かわいい」もまた少し異なるものです。

何を指して「かわいい」と言っているのか、インタビューでちゃんと掘りさげましょう。

1回、缶ジュースを差し入れて、わかる情報は限られています。

次は、同じ紅茶でも、ミルクティーとレモンティーで試してみましょう。同じミルクティーでも「午後の紅茶」と「紅茶花伝」ではどちらを選ぶでしょうか。それはなぜでしょうか。

リサーチを繰り返して、どのような価値観があるか、見つけていきます。

缶ジュースは一例です。ほかにも日常のなかで、注意深く、ユーザーを観察しましょう。

ふだん身につけているものは、どんなものでしょうか。カバンについているアクセサリーは? どんな雑誌をよく読んでいるでしょうか。どんな音楽が好きなのでしょう。それはなぜでしょうか。

プレゼントを発想する

ユーザーの好みがわかったら、はじめて「プレゼントを何にしよう」と考えていきます。

発想法はいろいろありますが、今回は「XB法(クロスビー法)」がオススメです。

プレゼントを受け取ったら、じーんと感動してほしいですよね。XB法は、株式会社ユー・アイズ・デザインが、感動のパターンを調査し、発想法にしたものです。学術的背景に満足度最大化機構(北島宗雄, 2010)をもつ、使いやすい発想法です。

XB法をもとにつくられたiPhoneアプリ「発想会議」を使って、すすめていきます。

それでは、具体的に、プレゼントを考えていきましょう。

「発想会議」の基本は「抽象的なキーワードを、具体的なフレーズに、言い換えていくこと」です。

「発想会議」のアプリには、感動体験のリサーチから出た「価値観ワード」26種類(アプリ内で緑のふせん)、「対象ワード」71種類(赤のふせん)、「体験ワード」20種類(青のふせん)の、合計117個のキーワードが登録されています。

アプリでボタンを押すと、キーワードがランダムで1つ表示されます。何度かタップして、価値観、対象、体験のそれぞれ1ワードずつをとりあげてください。たとえば、以下のワードが出ました。

  • 価値観(緑):「無いと思っていた」
  • 対象(赤):「多機能な」
  • 体験(青):「見解が広がった」

発想は、この3つのキーワードを言い換えることで、進めていきます。すこし具体的な表現に言い換えます。表現は、自分にとって納得できるものなら、何でもよいです。たとえば、次のようにしました。

  • 価値観(緑):「無いと思っていた」→「思いもよらない効果の」
  • 対象(赤):「多機能な」→「いろいろな体験ができるもの」
  • 体験(青):「見解が広がった」→「新しい知識と経験を得た」

これらの言葉を、価値観、対象、体験の順につなげて、文章にします。

  • できた文章:「思いもよらない効果の、いろいろな体験ができるものをもらって、新しい知識と経験を得た」

この文章が「相手がプレゼントをもらって感動した、その感想」だと仮定してください。

ユーザーは、何をプレゼントされてて、この感想に至ったのでしょうか? それを考えます。XB法は、感動につながるキーワードの掛け合わせで、ユーザーの体験を決め、「そこに至るには何があったか」「それはつまり何か」と考えていきます。

具体的にやってみましょう。

あるユーザーの好みとして、先のリサーチから、「料理が好き」「ただし、つくるのは、ふつうの家庭料理がほとんど」「仕事をもっているので、料理の時間はあまりとれない」「手軽に美味しい料理がつくれたらいいと思う」ということがわかっていました。

そこで、料理について、

  • 「思いもよらない効果の、いろいろな体験ができるものをもらって、新しい知識と経験を得た」

とは何か、考えました。

そこで思いついたのが、調味料です。

料理は、調味料で大きく味が変わります。ただ、珍しい調味料や、独特の風味の調味料を買いそろえるのは、自宅ではなかなかできません。そこで、この機会に、ちょっと変わった調味料の詰め合わせをプレゼントしてみてはどうかと思いました。つまり、

  • 「思いもよらない効果(珍しい調味料)の、いろいろな体験ができるもの(複数の詰め合わせ)をもらって、新しい知識と経験を得た(新しい料理をつくった)」

というプレゼントとして、発想したのです。

じっさいにプレゼントしたところ、たいへんよろこんでいただけました。

別のユーザーのときは、次のような言い換えをしました。

  • 価値観(緑):「想像できない」→「体験したことがない」
  • 対象(赤):「プロレベルの」→「本物の」
  • 体験(青):「ようやく手に入れた」→「貴重なもの」
  • できた文章:「体験したことがない、本物の、貴重なもの」

このときのユーザーは、チーズがすごく好きな方でした。そこで「珍しい種類の、本場からの輸入ものの、生産量の限られたチーズ」をプレゼントして、よろこんでいただきました。

  • 「体験したことがない(珍しい種類)、本物の(本場からの輸入もの)、貴重な(生産量の限られた)もの」

このときは新宿西口のチーズ専門店(今は閉店)で購入しましたが、今なら渋谷の「チーズスタンド」の「東京ブッラータ」も良いかもしれないですね。

ちなみに、プレゼントをわたすときは、どうしてそれに至ったのか、思考の過程をちゃんとストーリーテリングすることをオススメします。彼/彼女のことを一生懸命に考えたんだ、という気持ちが、相手には何より嬉しいことでしょう。

それでもプレゼントが浮かばないときは

しかし本日はクリスマス・イヴ。今から間に合わせるには、どこでプレゼントを買えばいいのかわからない! ということもあるかと思います。

そういうときのオススメは、東京なら、新宿伊勢丹の地下フロアです。かわいいお菓子から、オシャレなワイン、美味しいお肉まで、品揃えがあるので、発想の手がかりを得ながら選ぶことができます。

エレガントなお菓子なら「ジャン=ポール・エヴァン」のチョコレート、かわいい系なら「カフェ・オウザン」や「ベルアメール」など、よろこんでいただけるかもしれません。

ワイン売り場の奥には、ヴィンテージもののワインもあるので、予算があれば、彼/彼女の誕生年のワインなども手に入るでしょう。

健康志向の方なら、地下2階に品が多くあります。ハーブティー専門店「enherb」もオススメです。

メインの品に加えて、花束を添えるものオススメです。ユーザーの体験は、ひとつの品だけで完結しなくても、よいのですから。

あなたが、大切な人に、すてきな体験をプレゼントできますように

以上、UXデザイナーがじっさいに使う恋愛テクニックをご紹介しました。

親しい相手でも、理解するためには、努力が要ります。よろこんでもらうには、自分の思い込みではなく、彼/彼女を知るために、リサーチをし、体験のデザインをしましょう。

恋するあなたが、大切な人に、すてきな体験をプレゼントできますように!

メリークリスマス!

* * *

羽山 祥樹のtwitterアカウントは @storywriter です。ぜひフォローお願いします。

* * *

【HCD-Net認定 人間中心設計専門家・スペシャリスト 受験者を募集中】

人間中心設計推進機構(HCD-Net)が実施する「人間中心設計専門家・スペシャリスト」は、日本で唯一の「人間中心設計(HCD)」の資格として、注目されています。

ユーザーエクスペリエンス(UX)や人間中心設計にたずさわっている方は、ぜひ受験をご検討ください。

人間中心設計(HCD)専門家・スペシャリスト 資格認定制度

申込締切:2014年12月31日(水)

応募要領を見る:http://www.hcdnet.org/certified/

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー