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アクセシビリティ・セミナー『視覚障害者・おでかけ編』参加レポート

2008/07/01 07:50
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ミキ・オキタWebClip ウェブデザインのニュース

この記事のトピック

こんにちは。“時代の3歩先をねらうWeb屋さん”ミキ・オキタです。
このブログ「WebClip ウェブデザインのニュース」では、Webデザイン・Webマーケティングの話題をお届けしています。

セミナー『視覚障害者・おでかけ編』参加レポート。

5月18日(日)、NPO法人ハーモニー・アイ主催・読売光と愛の事業団共催の「ホームページ作りにユーザーの声を生かそう!(第3回) 視覚障害者・おでかけ編」に参加してきた。
セミナーから少し時間が経ってしまったが、貴重な体験だったので、ここで報告したい。

セミナーは視覚障がい者のWebの利用方法を、Web関係者へ伝えたいという意図で開催されている。
実際に視覚障がい者がWebサイトを操作し、その様子を受講者が見る。いわゆるユーザテストの形式で展開する。
視覚障がい者の生の反応を知ることができる。

被験者(ユーザテストを受ける方)の視覚障がい者は3名。
シナリオは、Webを利用して旅行へ行くための情報を集めるというもの。パソコンと、携帯電話(らくらくホン・障がい者にシェアが大きい)を使用する。

以下に、僕が会場で書いたメモを掲載する。

セミナー開始前・最初の挨拶

  • 会場のWeb環境への接続がうまくいかない様子。画面が見えないため、エラー発生時の対応に非常に苦慮。
  • 講演者(視覚障がい者)のプレゼンテーションに対して、受講者は適度に相づち(「はい」「わかります」など)を返さないと、講演者は会場の様子(受講者がついてこれているか)がわからない。
  • 受講者が声を出さないと、講演者(視覚障がい者)には会場の人数が何名いるのか把握できない。
  • 画面の操作を誤ってアプリケーションを切り替えてしまったとき、状況を把握することが大変。
  • 点字ディスプレイ(KGS社製)、高価。ハンディタイプ25万円、設置タイプ50万円。ゆっくり情報を確認することに向いている。音声ブラウザとの差は「健常者にとっての、声で聴くか、文字で見るか、と同じような理解しやすさの違い」。
  • NetReader(高知システム開発)が初心者にも配慮されていて使いやすい。
  • IBMホームページ・リーダー ver 3.04(以下HPR)のPDF・Flashは重くて固まることも。
  • 本・雑誌・新聞は見えないので、Webは貴重な情報源。

シナリオ1「神奈川県の温泉に予算1万円で行きたい」

被験者 50才後半・男性。6年前に全盲に。パソコンの知識は視覚障がい者での標準的なレベル。

  • コンテンツの内容で、どこが本文でどこが広告かわからない。(実際、ローカルナビゲーションを「ここは広告かな?」と言ってスキップした)
  • クリッカブルマップは存在を認識できない(HPRでは意識的にキーボードを操作しないと読み上げない)。
  • 画像のALT属性がない場合、リンク先のファイル名を読み上げる。ファイル名から内容が推測できるときは、なんとか推測して次へ進む。例:「price.htmlということは、価格表かな?」
  • もし「1.html」「2.html」・・・のように意味の薄いファイル名の場合、内容をまったく推測できない。
  • 地図に併設して、宿への道順などがテキストでも書いてあるとなど、親切なつくりになっていると、いい宿かなと思う。
  • Webから申し込むのは怖い。Webで情報収集したあとに、電話で申し込みしたい。
  • 電話番号を探すことに苦労する。メニューの項目から推測して閲覧していくが、期待通りの内容がない。
  • 結局、電話番号を見つけることはできなかった。本文とフレームで切り分けられた場所に記載されていたため。
  • 電話番号がどうしても見つからない場合、104に電話してしまう。宿の情報がWebでそれなりに“予習”できれば、そういう手もある。
  • 宿のWebサイトが親切でも、実際の従業員の対応も心配なので、その意味でも電話して確認したい。
  • フレームの存在に気がつけないときがある(今回はフレームに適切な名前がついていなかった)。
  • フレームは視覚障がい者には概念として理解しづらい。

質問:閲覧しても情報が見つからなかったら、どれくらいで諦めますか?

  • 神奈川県の宿の検索結果14件中、8件くらいは見る。
  • よさそうだと思ったら30分くらいひとつのWebサイトを回遊する。悪くても10分くらいは見る。

この発言に対して、他の被験者から以下のような声も上がった。

  • 5分回遊して駄目ならあきらめる。10分も見ない。
  • パソコンに熟達していれば2分程度。
  • 高齢者はひとつのWebサイトを見つけたら、なんとか使おうとする。新しいWebサイトを見つけることが大変。視覚障がい者ということに加え、年齢やパソコンのスキルが影響する。

シナリオ2「今夜宿泊するビジネスホテルを探す」

被験者 20代男性。パソコンはだいぶ使える。

  • シナリオ1の方に比べ、パソコン利用に慣れている。操作が速い。
  • じゃらんを利用するも・・・途中、Ajaxで実装された箇所がキーボード操作に対応していなかったため(?)、なかなか進めない箇所あり。
  • 別ウインドウでページが開く場合、自分がどこにいるのかわかりづらくなる。世間で別ウインドウの統一的なルールがなく、Webサイトごとに別ウインドウの利用方法が違って一貫性がないため、理解しづらい。
  • じゃらんの口コミ欄を参考にする。Web上から最後まで申し込みはしない。
  • 限られた時間で必要な情報を探さなければならない。音声ブラウザの読み上げ速度を速める。関係なさそうなところの読み上げをスキップする(実際、次々と読み上げをスキップして操作していた)。

シナリオ3「らくらくホンで路線検索」

被験者 20代男性(シナリオ2とは別の男性)。

  • 携帯電話「らくらくホン」。音声で操作の補助がつく。
  • 「趣味のもの」「今すぐ情報を得たいとき」に携帯が便利。
  • PCは広告が出るのでつらいが、携帯は情報が絞られている(これが非常に大きいらしい)。
  • 使っているうちに慣れる。慣れたサイトを使う。
  • iアプリやワンセグ、カメラがらくらくホンの最新機種で動くようになった。
  • 携帯は、PCと違って、趣味にしか使えない。仕事を携帯ではできない。
  • Amazonやiちゃんねる(75円/月)を利用している。
  • Amazonやヨドバシの携帯サイトをよく利用する。お店ではゆっくり見られない。ずっと案内をしてもらうことができないので、Webで“予習する”。
  • Amazonは定価が多い。Amazonで調べて安く、ポイントもつく楽天へ行く。はじめから楽天で探さないのは、楽天は情報が多すぎて、使いづらいから。Amazonは中古もある。
  • PC→楽天の検索までリンクつくって携帯メールへ。
  • クレジットカード自体持つのが怖い。

質問コーナー

質問:別ウインドウで嬉しいことはあるか?

  • 嬉しいことはない。HPRは動作が重い。間違って閉じてしまったりする。
  • 開くサイトと開かないサイトがあり、差がわからない。
  • 別タブだと開いたことに気がつかないことがある。

その他の事項。

  • RSS全文配信は読みやすい(余計な広告がない)。
  • 携帯電話でも画像バナーの場合、代替テキストがないので、リンクの読み上げがなく、わからない。HPRの読み上げと違い、リンク先のファイル名すら読み上げない。(モスバーガーの携帯サイトがこの状態)

Webで情報収集したあとに、電話で申し込みしたい。

「Webで情報収集したあとに、電話で申し込みしたい」
この点が、今回のセミナーでとくに印象に残った。
Webで申し込みなど最後まで完了するのは大変なので、電話したい。
しかし、何も情報がないまま電話して「そちらはどのような宿ですか」と質問しても、先方と話がかみ合わない。
Webで事前に情報収集をすることで、最終的に電話したときに適切な会話をすることができる。

7月にまとめセミナーを開催予定。

3回に渡って行われた「ホームページ作りにユーザーの声を生かそう!」セミナー。
まとめとなる報告会が、7月に予定されているとのこと。
案内をいただいたので、以下に記載しておく。ご興味のある方は参加してみてはいかがだろう。

セミナー名 本物のWebアクセシビリティー・セミナー
〜「知ってる・やってるつもりになっていませんか?」
ユーザーが求める本物のアクセシビリティお見せします!〜
開催日時 2008年7月18日(金曜日) 19時〜21時30分
開催場所 株式会社クリーク・アンド・リバー社セミナールーム
(住所)東京都千代田区麹町2丁目10番9号 C&Rグループビル
応募定員 100名
対象者 IT関係従事者、Webサイト運営者 (行政、公的機関、企業、団体)

僕が参加したのは第3回だけだが、「第1回 ネットで新聞をみてみよう編」「第2回 ネットショッピング編」の内容は、以下の方々がレポートされている。
こちらも貴重なレポートになっているので、ぜひご参考いただきたい。

第1回「ネットで新聞をみてみよう」
kirara_397の日記

第2回「ネットショッピング」
Junnama Online (Mirror)
kirara_397の日記

参考リンク:
NPO法人ハーモニー・アイ ブログ

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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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