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音楽流通の進化とエコノミーの軋轢

2010/04/28 18:00
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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先日、海外系の音楽ストーリミングサービスの位置づけと評価について、関係者と意見交換をする機会があった。spotifyあたりをぐりぐりといじりながら「いやまったくこれは何が起きてると解釈するのが正しいんでしょねぇ」。
 
考えていたのは、国内だと携帯向けの掲示板サービスで違法流通している状況に各所が厳しく対応している流れと、spotifyのあまりに自由すぎるビジネスモデルのあり方をまとめて説明出来るロジックが見当たらないことである。つまり、混沌とした状況を改めてどう捉えて今後のシナリオを描くかというところである。
 
その場の議論の中身は守秘義務etcもあり書けないのだが、前半の状況整理のところは公開情報レベルなので自分の整理メモを兼ねてざっと書いてみたい。
 

着メロと着うたによる携帯配信の成立

 
国内での音楽のデジタル配信を考えると、まず出てくるのは着メロ着うたである。定額制サービスと音楽の聴ける端末の普及時のキラーコンテンツであり、デジタルオーディオの普及期と相まってドル箱的屋台骨的ポジションに辿り着いている。
 
となると、当然この商売の障害となる勝手流通というのは目障りな存在となる。数年前から専用対策チームを作って云々という話が各所から入るようになり、ニュースでも挙げられた事件が報道されたりというところで耳に触れた方も多いことだろう。
 
ここで実現が期待されている世界は、「音楽聴くときはちゃんとダウンロードして聴いてね」というシンプルに当たり前の世界である。プライシングはどういうものがいいのか、私的コピーみたいな話をどうすればいいのかなどの(割と重い)諸問題はあるものの正論と言える。端的に、秩序あり取り締まられた、でも特別息苦しいことはない世界観となる。
 
という国内の状況を思い起こしつつ、spotifyを触っていると、サービスの自由度や使い勝手などもさることながら、曲目選択の広さに目眩がしそうになってくる。
 

クラウドストリーミングサービス

 
spotifyをごく単純に定義すると、iTuneライクな音楽ストリーミングサービス、となる。単にPCに限らずiPhoneのようなデバイスでも利用認証が出来てネットワークさえ安定していればビットレート160で日常視聴にはなんら問題のない利用が出来る。
 
ポイントとなるのは、楽曲がまるまる入っているというところに尽きる。聴き放題である。TechCrunchの記事にあるように、距離を置くレコード会社もあったりなので完全網羅とはいかないが、邦楽曲の有名アーティストをざくざく検索していても、結構出てくる。ライトユーザーであれば、もうこれでさして困らないんじゃないかなーというレベルである。
 
というフリーダムな世界を触っていると、前段でまとめた国内の携帯音楽流通の状況と整合しない。
 
一部のネット周辺の議論に感化されると、ついここで「だから日本はガラパゴスで」などと言ってしまいそうになるが、話はそう単純ではない。これは当の欧州でも非難は多々あれどスリーストライク法の検討が進んでいるところからも明白である。
 
お金が回らないと産業として成立しない。そして、産業として成立しているからこそ出来ることもある。手間暇と予算をかけたタイトルは家内制手工業からは普通出てこない(最近の言い方だと、ガレージでアバターは作れない)。反面アーティストの本質を忘れた産業は、津田さんのキャッチコピーではないが、音楽を殺してしまう。
 
spotifyや類似のサービスモデルがこれからの音楽の届け方、あり方を仮に示しつつあるとするなら、その現実を受け入れた際にアーティストはどうあればいいのか。周囲の音楽関係者はどのような役割を果たせばいいのか。電子書籍でも似たような問いが急激に立ち上がりつつあるが、音楽の置かれてる状況も基本はなんら変わりないのかもしれん、というのが頭に浮かんでいたこととなる。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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