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Twitterのリスト機能にみるソーシャルプライバシー課題(とお知らせ)

2009/11/08 19:17
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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Twitterのリスト機能のリリースが先週から始まった。

「フォローの管理が楽になる」「(マーケティング観点で考えて)有力リストに入れるかどうかがフォロワー獲得の肝になるか」などの会話があちこちで出る中、@kenjienoこと飯野賢治氏が、「これ、プライバシー管理上問題とならないだろうか」という趣旨の呟きをされていた。(つぶやき元リンクは失念。探しきれなかったのでどなたか見つけられる方は知らせて頂けるとありがたい)
 
結論からすると、この点はリスクとなりうる。いや、いままさにホットイシューとして語られ始めているというところだろうか。

プライバシー情報の漏えいの観点からすると、例えば、Listedのところで「ex**会社」「エンジニア」「子育てパパ」「文京区仲間」というような趣旨リストテーマタイトルがつけられている場合、職業や家族構成、年収などといったところが概ね分かる。これくらい分かれば、一式まとめてのスパムやDMを送るには十分だろう(もちろん、DMを送るにはアドレス情報を合わせて獲得する必要があるが)。そして、リストタイトルが珍しいグルーピングの場合、なんらかのマスターデータベースと付き合わせると、絞り込み条件からほぼ個人特定が出来てしまったりということもありうる。という展開になると、いわゆるプライバシー情報の漏えいというところから、個人情報保護法でいう個人の特定というところにまで進んでしまうこととなる。

分かりやすい対策としては、リスト自体を見れる人を制限するなど幾つか考えられる。よって、適切に対応を進めていけば即致命傷ということにはならない。これ一点をもってついったー駄目じゃんということではまったくない。しかし、後手に回った場合は、Googleのストリートビューが多くのプライバシー課題を浮き彫りにしたように、属性プライバシーの間接漏えいの先行ケースとして認識されることになるのではないかと予想している。

一個前のエントリで、CSSの速報をちらっと上げたが、会場でのセキュリティテーマでも属性情報や個人のログ情報を如何に守り取り扱うかという課題を取り扱った研究テーマが多数あった。つまり、いわゆる保護法でいうところの個人特定をされるかどうかというところではなく、その先の個人にまつわる様々な周辺データの取り扱い及び管理基準はどうしていくべきかという課題がアカデミズムや法律の制度設計などといった領域でも検討ポイントとなってきている。日本の行政サイドも、海外の各種機関も活発に議論と意見交換を重ねている。

例えばのモデルを出すと、ECサイトで商品の検索ログや購買ログを協調フィルタリングに利用する場合、元のログデータを直接取り扱うことなく、匿名化させた形でのマッチングをするにはどうすればいいか、などといったところとなる。購買データや検索ログなどは、どういう趣味趣向を持っているかを把握しやすいタイプのデータセットであり、現状では、AmazonやGoogleといった事業者を信用した上でサービス利用≒ログを預けている状態になっている。

ちなみに、この匿名ログ利用のアプローチを拡張させると、サイト間や事業者間でのログデータ交換への道が拓ける(かもしれない)ので、いわゆるガジェット市場や若干トレンドワード的には死語感も出つつあるマッシュアップといったことを推し進めていく際の理論基盤となってくる。

これらの理論検討や制度設計の動きは、サービス開発や次の事業機会として注目されているライフログの活用といった辺りと呼応したものとなっている。ライフログというテーマの注目度及び、先だっての個人情報漏えいの事件の数々が大々的に報道されていたことを踏まえると、上記で触れたような、なんらかの漏えい事件などが発生すれば、社会問題化しうることは想像に難くない。

逆風の吹くオープンモデル

 
プライバシー制度の動向(と次世代ネットワークに関しての議論)をセットで眺めていると、いわゆるオープンモデルというところの限界点が幾つか見てとれる。詳しくは機会があればとして、ざっと幾つかポイントを挙げると、1)スパムとノイズにどうしても弱い、2)濫用や漏えい侵害への抜本解が示されていない、3)露出とプレゼンス重視で事業成長を図った場合、企業規模が成長するに従い指数的にリスクを抱えるモデルになりやすい、4)これらのリスクを看過できないものとして規制当局が考える流れが強くなっている、とまとめられる。

逆風の気配とはいえ、現時点ではそよ風程度として落ち着くのか、立ってられないほどの強風になるのかははっきりしていない面がある。鼠一匹でちゃんちゃんというオチも視野にあるが、欧州、特にイギリスやフランスの動きを見るに、波風ゼロで進むというのは若干考えにくくなってきているところである。
(ただし、あまり表沙汰にならずに関係者のみで対応が済まされる事案になるかもしれないという予測も同時に立っている。これは、現在進行している幾つかの懸念事案の取り扱われ方から推察すると導き出される)
 
4のあたりは、一面としてはネットが世の中に認められていく過程とセットになってるので喜ばしいことでもある。しかし同時に、然るべき責と義務を負ってクリア出来ないのならば厳しく当たってゆくことになるというコンセンサスが生まれてきていることも意味している。風が強い場合、これまでのように単純な荒野とゴールドラッシュのメタファーを引きずることは許されなくなる。

このあたりのフェーズの転換と、いわゆる「ネットビジネスってのはつまるところなんなのだろうね」というのは今更ながら、棚卸的に周囲と議論を交わしているところとなる。雰囲気的には、切込隊長こと山本一郎氏の近著2冊、「情報革命バブルの崩壊」、「ネットビジネスの終わり」に通低するトーンに似てるだろうか。

モバイルを含めたインターネットはもう終わりだ、と単純に切って捨てようというのではない。ガラパゴスとそれっぽいフレーズを掲げて終わりとしたいのではない。メディア構造やサービスの浸透度を考えるに、今後も重要な役割を担っていくことは前提として織り込んでいる。それこそ、津田大介氏が、新著の「Twitter社会論」にて、政治の転換点とサービス普及のリンケージを鮮やかに切り取ってみせているように。
 
期待されるところがあるからこそ、襟を正し、背筋を伸ばし、あるべきところと役割を自覚していかないと立ち行かないというのが状況の見立てとなる。目標はIPOなんて高校野球の宣誓のごとくいつまでも言っている場合ではない。
 
・・・というところを受け、いろいろと議論をせにゃならんかというのを受け、せっかくなので参加型イベントとして進められないかということでまずはやってみることとしてみた。

何をネタにしようかと思案していたのだが、ちょうどついこの前決算説明があったことと、ネットと通信はセットで考える必要のある場面が今後増える気配の出ていることから、素材はソフトバンクの財務周りのところを予定している。いわずもがなで通信事業と最大手ポータル(Yahoo!)の事業を保有している。財務とビジネスのリンケージというのは世の中一般的にも意外と理解されてないところなので、その辺を重視した形で。詳細etcはこちらから

なお、念のためだが、コンテクスト上、SBMは駄目であるというのを暗に匂わせたいというのが本エントリの趣旨ではないことは末尾ながら触れておきたい。セキュリティやプライバシー周りについて言えば、Yahooの関係者の方に会って話をすると、相当ピリピリしてリスク管理を推し進めている様子である。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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