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ミックスアップイノベーションとプラットフォーム戦略

2009/01/14 17:17
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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ちょいっとミクロ経済学と経済政策の入門概論みたいな話。タイトルはこのところ関わっているテーマの仮ネーミングにて。まだ社内コンセンサスも取ってない段階。
 
少し前段のところを整理すると、このところは
・複数者/社にまたがった事業開発
・業界産業課題(産と官両方)
・業界共通機能
というあたりに良く関わっている。オープンイノベーションというと少し投げすぎで、プラットフォームというのが概念的に近いが所謂基盤ビジネスモデルではないので少し違うところ。

また、いわゆる経営戦略手法の一個として語られるプラットフォーム戦略というのとも異なる。あれは、エコノミーへの支配権設計と内製率のバランス設計というのが狭義のイシューとなる。

というあたりの方法論開発をしている。正確には”している”というのは少し嘘で、半分持っているので言語化整理化及び、案件状況を見据えてのカスタマイズインストールと実際に動かして事業開発を進める仕事を同時並行してパラで動かしている。これにテクニカルエッジのテーマ理解と産業転換課題というのが組み合わさると概ね弊社の(最近の)カバー範囲に近い。

というのが前段状況の話。これに絡む形で(文章的意味合いでの)本題。

 

ライフネットの岩瀬さん訪問

所用があり、ライフネット岩瀬さん(創業副社長)を訪問。そういえば以前インタビューした際にはまだ準備会社の段階で2007年冒頭。無事免許も取れて法人化。ヒアリングはあっさり想定時間の半分以下で終わったので、経営状況などをさらそらっと伺いつつ。

誰?という方はwikipediaBPの連載を見るとある程度分かるものかと。

技術開発及び産業調査を行ってるところで、保険業界の状況を特にイノベーターの立場から眺めてみるとどういう風に見えているかというのが訪問趣旨でありました。

本筋のヒアリング内容については当然のごとく守秘義務で触れられないので割愛するとして、途中合わせて出てきた議論として面白かったのが、業界の基本的なデータの整備度合い。

例えば割と情報公開はえいっとやってしまう傾向のある米国と比べると、死亡や事故の発生率といった基本的なデータにしても業界統計としてあまり揃ってないという。監督官庁が持っているものも一部はあるだろうが、広範な形で公開され、使われるような形にはなっていない。

こういう、業界の基本データの揃ってる揃っていないによって、産業効率や業界競争力(例えば、単純な資本効率や生産性の国際比較など)というのは差が出てくるんじゃないだろうか、というのが交わしていた議論となる。ちなみに、感覚判断になるが、先方もこちらも意見としては基本はYes。ちゃんと利用されるという条件は当然つくが、ある程度基礎データが共有されている方が自浄機能や効率改善のドライバーが働きやすくなるので、極端な副作用のあるケースを除いてプラスに寄与すると考えている。

「もうちょっとこの辺の基礎データくらいは個別競争にもさして絡まないだろうし、揃っていて欲しい」というのが岩瀬氏のコメント。

 

プラットフォーム機能とは何か

この話は、少し枠を変えると、「では、共通機能、プラットフォーム機能とはどう定義づけられるか、担い手は誰が良いか」という議論につながっていく。上記のコンテクストだと、共通とされるべき統計データとはどこまでか、となる。

別途触れるだろうこちらの議論でも出ている問いだが、リンク先にもあるように非常に難しい。リーダー企業が実質担ってるような場合(国内だと自動車、通信など)、業界団体に筋の良いのがいて自主的に出来ている場合、行政側が上手く動けている場合(これは米国に多いように思える)など、パターンもいくつかあり、且つ業界ごとや状況ごとでどの機能までが共通と見るかは異なる。単純な汎用モデルには落ちてこない。

というあたりを、どう捉え整理し、(出来るのならば)動くところには動くようにしていくのか。ついでに自社戦略にどう取り入れていくのか。おそらく、経営手法として考える際に、オープンプラットフォームを形式として作る、というのはそこまで難度の高い課題というものでもない。細部の作法をきちんと押さえたなら、一応は作れる。

しかしながら、
・ちゃんと利用され継続していく
・成果につながる
・自社メリットにもなる
という条件を満たし、投資対効果のハードルをクリアするというところまでなると難しい。仕組みとして動いていくドライバー、成果を引き出していく際の途中の采配というのは、感覚的なものを多分に含んでくるためにモデルチャート書いて終わり、とか運用マニュアル整理して終わり、とかいうのにはまずならない。

このあたりをスタンドプレイではなく、どう組織知として埋め込んでいくのかというあたりが目下頭を使ってる課題となっている。

ちなみに、保険業界での共有されていても良いんじゃないかデータというところで、ライフネットがひとつ試みてみているのが昨年11月に公開された付加保険料率の開示。ここまでするのが本当にいいのかというのは議論の余地があるところだろうが、どこまでが業界標準のプラットフォーム機能で、どこからが個別企業に帰する競争資産か、というのを考えるひとつのケーススタディとはなる。

このテーマ、追々続いていくものと思われるが、ひとまずはここまで。
(岩瀬さん、非常に忙しいなかお時間頂きありがとうございました。)

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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