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MSFT、GOOGの決算とYHOO買収の動向

2008/04/25 17:14
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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一時期収まっていた米国Yahoo!のM&A問題がまた水面上に上がってきているのでその辺を少々。

ちなみに、「タイトルにミススペルがあるよ〜」と思ってしまうかどうかで米国株式市場を見ているかどうかが分かる。いわゆるティッカーという株式銘柄コードである。

先に脱線してしまうと、数字4桁で銘柄を指す日本市場と違い、米国市場はアルファベット4文字までのシンボルを使う。タイトルの3つがもちろん、前からマイクロソフト、グーグル、ヤフーを指している。そして、この言い方で関係者には当然通じる。メディアでも割と普通に使われている。タイトルだけでニヤリとした人はお仲間の確率が高いので仲良くしましょう。

という小ネタを冒頭でこなしつつ、本題。

 

Yahoo買収騒動が示すもの

メディアの記事を斜め読んでいると、骨肉の争いとか最終決戦といったような見方があるが、個人的にはもう少し違うと見ている。いずれ書くか何かに落とし込むことと思うが、

  • ある程度目処が見えたので業界コンソリが起きている
  • 産業構造が変わる兆しとして、サブセクターを超えてM&Aが起きている

というところで、特に後者が本質的に強いと見ている。期を前後してMSが幾つか内部APIを公開した話とも繋がって読めている。

前者のはウォール街の要望というか、米国企業経営での基本ステップみたいなものとなる。ある産業ステージに差し掛かったら必然出てくるものであり、基本としては「ああ、ここもある程度落ち着いた市場になったのかな」とかいう解釈をまずしていて外さない。

 

最近のGOOGへの市場評価

07年末からGoogleの株価は700ドルから400ドル前半まで落ちていた。上場以降では最大の調整幅になる。

なんでこんなことになっていたかと問われると、前回の四半期タイミングのところで若干調子の悪い数字が出てしまったこともあり、

  • Googleのビジネスモデルは景気後退に弱い?
  • そもそも成長シナリオが崩れているのでは

というところで、投資家が様子見に入ったのが理由となる。もちろん、米国が景気後退期に入るのではという見通しが燻っているというのが話の前提となる。

※一言で書いてしまっているが、もちろん裏には財務分析やら広告市場の先行きの分析やらややこしい話をてんこ盛りにした結果、上記の話のようになっている。念のため補足。

前者については、Googleが今のモデルで本格成長し始めてから初めての大規模景気後退局面ということで投資家側も勝手が分かってない。先行データがないのでちょっとしたことで振れやすい状況にある。よって、もうちょっと様々な局面を見ることによって、「大体これくらい」というコンセンサスが市場参加者の間に出てくるだろう。

なお、その際に株価が上に行くか下に行くかは分からない。景気サイクルに負けやすいというのが結論なら、数年サイクルで上下する、いわゆるシクリカルに分類されてそう扱われることになる。そうじゃなかったら、広告or販促市場*シェアみたいなところの要素が強くなる。

一応、今回の決算数字からすると、その辺の懸念はひとまずクリアした様子である。株価も大きな不安と懸念が取れたからか、決算発表のタイミングで17%ほど戻した。

成長株を見ている方なら分かると思うが、成長期待の高いところではかなり高いValuationがつく。PERで見ても「大丈夫かな」と思える水準の所を更に上げていくという構図が続く。

これは、純粋にババ抜きゲームを繰り広げているケースもあるが、ちゃんとファイナンス的に説明をするのなら、売り上げと利益幅が揃って高い成長を示している場合は、将来利益予想は二次関数か場合によっては指数関数的な見え方をしてしまうため、キャッシュフローを割り引いても高い株価が正当化されてしまう。というか、数値予測が正しいのなら、高い株価こそが正解となる。

しかし、成長シナリオが一旦崩れると、売り上げ予想と利益予想の両方から調整が入る。つまり、マイナスの要素が積算で聞いてしまうので、20%や30%といった株価の下落が起きることになる。

このところの類似事例として良く記憶しているのが、eBay。2000年以降、このパターンにきれいに嵌っていた。

もちろん、ネットバブルの崩壊という要素はある。しかし、海外市場の成長など堅調なシナリオを維持してきたところから徐々に鈍化が始まり、潜在競合となるCraigslistのような会社(ここは資本参加してしまったが)が出てきたりで、「オークションってこれから衰退するんじゃないか」との懸念が入り。急成長シナリオにブレーキが入った。

株価を長期で見ると、2004年末から2005年頭にかけて60ドルのピークをつけたあと、穏やかな動きに推移しているのが見て取れる。

同じようにGoogleはなるのか、まだ成長を続けるのか。また、各種のリスク要素に対してどれくらいの耐性があるのか。投資家が目を光らせているのはこれらのポイントになる。

 

一段落ついたMicrosoft

マイクロソフトは明らかに一段落ついて安定飛行の状態に入っている。株価のピークは2000年。バブルのあとの回復過程のところで経営的にも転換モードに入った。大きなニュースとしては、

  • 経営陣の入れ替え、というかゲイツの事実上の引退宣言
  • 大型配当による安定モデルへの移行の宣言

というところが象徴的となる。

もちろん、まだまだ勝負するつもりありありなのはYahoo!に手を出そうとしている件や、あらゆる市場で旺盛な事業開発を行っているところからも見て取れる。もう何もしません、とは一言も言っていない。

決算の数値としては、マーケット側から見ると「まぁまぁ」といったところだろうか。決して悪くは無いが、どーん、とという雰囲気でもない。

ちなみに、ここしばらくの株価はじりじりと上げている。

 

話の流れ上Yahoo!も触れて総括

こちらは簡単に。

  • 今回の決算はそう悪いというものではないが、決して良くは無い
  • アナリスト評価はまちまちから少し悪い方に振れている。
  • 市場では2%強下落

というところで、軽い失望というくらいの状況になっている。個人的にも、ま〜そんなものかな、という感触にある。

Yahoo!の意思は明確で、上二社に簡単に買われるのは嫌、というところになる。値段の問題ももちろんあるだろうが、まだ勝負したいという気分の方が濃いだろう。

というところで、軽く総括すると、

  • 当事者はみんなまだやる気満々
  • なのであるが株主(投資家)はどう判断するか

という局面にある。

どうなるか、というのをあれこれ考えるよりも、もうちょっと眺めていようかという気分だが、ひとつ触れておいても良いのは、Yahoo!の規模でも平気で買われてしまう対象になる市場なんだよな、というところ。

日本でも大型買収は珍しくなくなってきており、その点ではどっちがどっちというのはない。しかし、メディア系のところでの動きを見るとまだ差がある。ダイナミックに動く方が良いと安易に言える話ではないが、なんしか違うといえば違うよねという話になる。

もうひとつ見るとしたら、会社の方向性の意思決定と株主がどう絡むかというのを体感するのに良いケースかもしれない。こういう状況は日本ではまだそう無いし、プロセスがそもそも違うように動く。米国が正で日本が遅れてるというのではなく、ひとつの合意形成のパターンとして眺めておいて良い。また、株主と経営陣の対話の進み方としても面白い。

という訳で、たまには市場と決算の話題でも。こんなのも普段は見てますよというところで。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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