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JASRAC公取問題と文化庁著作権課金問題

2008/04/23 22:20
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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本題は文化庁の話なのだが、前説としてJASRACと公正取引委員会の話を。
 
最初、忙しいタイミングだったため、公取がJASRACに入ったとのニュースのヘッドラインのみを見れたこともあり、何かあったの?とやはり思ってしまっていた。
 
あとから調べてみると、ポイントはここな様子である。

 放送事業者は、JASRAC管理下の曲は定額で使い放題である一方、別の著作権管理事業者の管理する曲を使う場合には追加支出が生じる形となっている。このため公取委は、放送事業者が新規事業者と新たな契約を結ぶことを制限しているとして、JASRACが市場を実質的に支配したと判断したもようだ。

つまり、市場の機能を歪めて非公正な競争環境を作っていたのがいかん、と。なるほど、このロジックなら公正取引委員会が動くのも分かる。
 
ひとつ引っかかるのはなぜ今?という話。少し手繰ってみると、完全に裏取りは出来ていないものの、いくつか事情があってこのような展開になった様子である。
 
ネットの界隈の噂では、JASRACの振る舞いに対してどこか対抗勢力がなんたら、という陰謀論も囁かれており、こう言われる流れと土壌があるのも仕方がないところではあるが、真実の程は若干違う風に聞こえている。少なくとも、伝え聞くところによると、JASRAC潰しといったようなニュアンスでは無かった。
 
というのを簡単に前フリとして本題。
 
 
文化庁の動きと違和感
 
本題は文化庁の出した報。「ネット配信の音楽や映像、私的複製の課金見直し・文化庁」との記事タイトルで大体分かるが、中身を見ると

インターネット配信の著作物については、利用者が複製回数に応じて個別に料金を支払う方法に改める。

 消費者がネット配信で音楽などを購入すると、コピーが制限されている場合が多い。新ルールでは、例えば消費者がネット購入する際にコピー回数も選び、それに応じた料金を上乗せして支払うといった透明度の高い仕組みが導入されそうだ。

という仕組みの導入を検討しているらしい。
 
この制度の是非論の前に引っかかったのはそもそもこの仕組みが円滑に回るのかどうか。
 
実際に運用するとなると、

  1. 購入時にコピー回数を確定
  2. 特定DRMルール圏内でコピー回数をカウント
  3. おっと、もうコピーだめよ〜〜

という仕掛けになる。ポイントはDRMと機器側への対応。なのだが、DRMというのはまだ標準形が定まっておらず、デジタル家電も何をどこまで対応するのが良いのかという話は整理されていない。領域としても民間競争と経済政策(と税設計)が絡み合ってるところであり、かっちりとした合意に至ってはない。この状況は海外を見ていても概ね変わらない感覚となる。
 
また、すごくシンプルな感想として、先々の利用場面の可能性をいちいち購入時に全部検討したりするのだろうか?「とりあえずいま3つ使っていて、先々買い替えで2台入れ替わりそうなのと、ああ車ももしかしたら」とか考えるかと問われるととても面倒でやりそうにない。となると、メタデータの事後的な更新やアップデートが必要となるが、複数機器にまたがって分散存在しているある楽曲に紐づいたメタデータ群を一括更新かけることになるのだろうか?
 
あるいは、どこかに中央管理の仕組み(ホームサーバー?)として、このコントロールは誰がどのような形で握るのだろうか。リビングのプラットフォームの核競争は積年の市場となっており、おいそれと決まるものではない。また、プレイヤーは決めずとも共通の決まりごとが、というアプローチもデジタルデバイスの標準規格や相互運用ルールが定まってない現在としては一般普及レベルでの実装の担保のやり方がぱっとは思いつかない。
 
との状況でユーザーは音楽を心から楽しめるだろうか?
 
おそらく、「なんか面倒だから携帯ゲームでいいや」と、モバイルのゲームアプリやポータブルゲーム機(DSとかPSPとか)が売れてしまったり、面倒だから全部iTune、みたいな話になってしまうように思えてしまう。
 
制度として動くのかなぁ、誰が嬉しいのかなぁ、経済活動の活性化に繋がるのかなぁというのが疑問として残っている。
 
 
行政の役割
 
もうひとつ引っかかっているのは、根本の問いのひとつである行政の役割ってどこまでだろうというものになる。
 
本件がこのまんま通ると、サービスモデルを結構なところまで規定してしまうことになる。つまり、音楽利用のサービスのあり方にかなり踏み込んだところまで影響力を行使している可能性がある。
 
さて、それは行政の仕事なのだろうか。国家系行政系の仕事にも時折絡んでいるが、折に触れて出てくるのが民間業務への介入をしていないか、民業圧迫をしていないかという確認のフレーズとなる。基本、公共サービスが基本であり、あとは諸々の諸活動の支援(あくまで支援)というのが行政活動の基本であるとの前提理解があるからのチェックフレーズになっている。
 
オンライン上での商取引にそろそろ税制をきっちり対応させようとの動きは米国でも検討されており、ステップとしては分かる。
 
そこは分かるのだが、例えば音楽の領域だと、そもそもDRMなんていらないのでは?という議論が産業側からも起きてるところ(あるいは起きている国)では起きており、何から何まで管理規定というのが必ずしも国際トレンドとは言い切れない。そこでギチギチやるよりもフラットな競争って別に設計できるよね、という声も無い訳ではない。
 
このあたり、前回触れたDDEXの話にちゃんと乗ってる国内プレイヤーがどうもいるようないないような雰囲気になってるところと合わせて、どうも変に独自孤立化してないかという感覚を覚えてしまう。 

※念のため触れておくが、SONY BMGとSony Connectはリストに名を連ねている。
 
インベストジャパンという数年前からの海外向けメッセージ、株価下がってけしからんという最近折りに触れて出てくるコメント。その反対側で資本規制も含めた商慣行を次々に閉じてるように見えてしまうのは気のせいなのだろうか。
 
フラットにマーケットを眺めていると、「いや〜、日本には投資しないな〜」と発言する人の気持ちは良く分かる」。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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