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オンライン音楽著作権整備に向けて:JRC / YouTubeの試み

2008/03/27 15:28
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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先日インタビューをさせて頂いたジャパン・ライツ・クリアランス(以下JRC)の荒川さんにご招待される形で、JRCとGoogle(YouTube)で交わされた、YouTubeの日本における音楽著作権の包括利用許諾契約についての記者発表会にお邪魔してきた。
 
新聞からテレビからオンライン媒体から多数の記者の方が来られていたため、ニュース情報としては適時各媒体に載せられることだろう(CNET記事ITmedia)。なので、一次情報はお任せして解釈部分にフォーカスしたい。
 
端的に何が出来るようになったかをまとめると、JRCが著作権を管理する楽曲を範囲として

  • 音楽ファンはコピーやカバー、イベントでの利用などでの映像コンテンツをYouTubeにアップ出来るようになった
  • アーティスト、レーベルはプロモーション媒体として権利処理の裏打ちを得つつYouTubeを利用しやすくなった(主に、公式チャンネルとしての利用形態)

の二つ。つまり、グレーなり違法として位置づけの定まっていなかったオンライン上の著作権コンテンツの取り扱いのうち、音楽対象で且つJRC管理下という条件ではあるものの、運用スキームが提示されたことになる。一言で書くとテールのビジネス化だろう。
 
この辺のテーマが紆余曲折魑魅魍魎になっていることはここで改めて取り上げるまでもない。記者会場の質疑でも「ではJASRACはどうなんですか」「Googleとしてはどのような話を進めているのですか」といった趣旨の質問が繰り返されていたのにも気持ちが顕れている。
 
放送系や全国紙からも取材が来ていたというのは、対岸ではなく我が事であり、且つ(あの)Googleがという気持ちもあるだろう。これはこれで良く分かる。
 
どのようなビジネススキームかという話は、リリースや発表資料を見ていると概ね理解できる。なので、当事者のトップがどのような感覚でこの出来事を捉えているかという感覚面を気にして耳を傾けていた。そこで、おそらく最も空気を表現していたのが、YouTube公式チャンネル開設として同時発表されていたデンジャー・クルー・エンタテイメントの大石社長が、「まずは、放送で利用される際に自分たちがまったく絡めていないという事態が改善されたのが嬉しい」とあった。

これは、「今後の広告収入の見通しについてどう思っているか?」という問いに対して回答されたものとなるのだが、前段を補足しておくと、デンジャー・クルー・エンタテイメントはインディーズレーベルを運営しており、JASRAC登録をしない形でのビジネス展開をこれまで行っていたところから、放送系での著作権収入については回収モデルを持っていなかったという経緯がある。
 
つまり、フォーライフとデンジャー・クルー・エンタテイメントの公式チャンネル開始が同時発表されていたことからも読み取れるが、iTunesのような販売サービスでない、(広義の)放送型のコンテンツデリバリーにおいて、ようやく回収スキームとコンテンツ運用のガイドラインが定まってきたということになる。
 
次の問いは

  • では、どれくらいユーザーがこの手のサービスを利用し、音楽に触れるようになるのか
  • アーティスト、レーベルがどれくらいこの手の仕組みを歓迎して利用するようになるか

というところに移っていく。また、

  • CS音楽チャンネル、音楽雑誌といった現行の媒体スキームとどのように住み分けるか、役割分担をするか

というところ、国際展開を見据えると、大石社長の言葉を借りつつ

  • YouTube、MySpace、iTunesなどのプラットフォームを利用することで海外での認知と需要をどう掘り起こしていくか

というのも出てくる。
 
この手の話題になると、どうもJASRACWinny違法アップロードいろいろけしからんというトーンに傾きがちであるが、それはそれとして眺めつつ、今後必要になってくる商流、スキームがどう形作られようとしているか、ビジネスとしてどう成立しようとしているのかを気をつけて追って行きたいと思うところである。
  
なぜなら、利用形態と事業環境はもはや後戻ることは無いのだから。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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