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プロジェクト型組織経営:あるいは兼業公認組織

2007/07/19 02:58
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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「会社の組織をプロジェクトベースで動かせるものにしたい」
 
ある会社から頂いた相談内容の一言目がこのようなのものだった。
 
これは単に社内の案件管理や評価設計をプロジェクト単位で、という話ではなく、社員(と、もはや呼んで良いのか分からないが)が、会社以外の仕事を取ってきても受けられるように体制を作り変えたいというものになる。平たく書くと、兼業公認組織といったところだろうか。
 
いわゆるフラット型組織、プロジェクト型組織という話とは多少異なる。
 
 
話を頂いたきっかけ
 
話のきっかけは実にシンプルで、私自身がそのようなビジネス形態になってるからである。プロジェクトとしての案件が発生時に、プロジェクト目的に沿ってチームを組成しては終了したら解散する。部下や社員のような形で組織を持っているのではないが、適時調達をして仕事にあたっている形となる。
 
この中外の境界のあるようなないような組織を上手く回すためのセオリーや禁則はあるのか、どういうことに配慮するのが良いのか、あるいは、今回方針として選択して良いものなのか。自分たちにFitするものなのか検証したいという趣旨が依頼となる。
 
話を聞きながらタイムリーだなぁ、という感触がしてならかったのは、日常が依頼事項のような光景であることに加えて、テーマとして整理する一環でひとつイベントを企画していたためになる。
 
視点として、個人の側が環境変化をどう受け止めるのかがイベントの主テーマとなっており、一種のキャリアデザイン設計論となる。個人がもし変わろうとしているのなら会社側ではどのような受け皿を作っておくのが経営上良いのかというのは余波的に出てくるかもしれない。
 
例えば、近所にある考え方として、20%ルールのような仕組みがある。これはイノベーションの促進と個々人のやりたいことへの配慮という二つの目的を主として作られることが多い。古典事例では米国3M。ネット業界だとGoogleが良く取り上げられ、国内のニュースでははてなやミクシィも取材記事の項目としてしばしば扱われている。
 
しかし、20%ルールはあくまで会社業務の延長であるが、兼業公認組織(仮称)は会社業務の延長線からは外れる。売上収益管理をどのように設計するか、というところでワンクッションあるものの、やっぱり会社外業務となる。ここは些細なようでやっぱりマネジメントの仕方やマインドの置き方も大きく異なる。
 
 
なぜこのような話が出てきているのか
 
他でもない自分自身が選択している組織形態でありワークスタイルであること、周囲でぽつぽつと同じ考え方を持っている人が現れていることから、何がしか世の中に変化が起きてるのでは?と仮説的に推測している。
 
同じような選択をした当事者達の声を聞いていると、感触としては、
・独立起業して会社を作りました
・(一昔前のニュアンスでの)フリーになりました
というのとは異なるように感じている。また、転職でキャリアアップ、というような語られ方とも少々異なる。
 
何が異なるかと問われると、全般的に、「自然と」という言葉の出てくる回数が多い。且つ、気負ってない。良い意味で上昇志向と切り離されていると言えばよいのだろうか。
(もちろん、上昇志向が悪いというのではない)
 
「どこかの社員にならないの?」という問いに対して良く戻ってくるのが、「いや、別に必要ないし」というものが典型回答となる。これは、おれっちふらふらと風来坊でいたいから縛るなよ、というニュアンスでは決して無い。むしろ、一緒に仕事をすると、実にきっちりと実務の出来る尊敬出来る方々ということの方が多い。言い方は悪いが、有名企業の下手な社員よりよっぽど仕事がしやすい。
 
世の中の偏った層のみを眺めている可能性はもちろん否定しないが、個人と会社の関係は変わりつつあるのだろうか、と思う機会も増えてきている。
 
 
人材リソースの行き所と確保
 
さて、話を経営サイドの視点に戻す。
 
先のエントリが資本と社長個人の関係見直しについてだとしたら、今回のテーマはベタなところで会社と個人の関係というところになる。
 
仮に上記のような流動性の高い優秀層が明示的に顕れているとなると、質の良いリソースを確保するにはアプローチ方法を変えないとならない場面が出てくる。「ねぇねぇ、ウチで働かない?」と雇用条件を提示する方法は使えない訳である。彼らを捕まえるには契約期間はともかく、プロジェクトベースのスキームが基本となる。
 
費用構造としては、
 ・人件費は固定費から変動費へ
 ・折々の社内のリソース量は変動
という形になる。当たり前だが。
 
各地各種の事例を見ていると、フルタイム社員ではないものの、数年に渡り大きなウェイト(個人の労働時間シェア、取引シェアが高いという意味)である会社と仕事をしている個人、という事例はまったく珍しくない。昔からあるところだろう。
  
さて、こうなって来ると、雇用とプロジェクト契約の違いはいよいよ曖昧になってくる。雇用条件で業務範囲を割と規定するようになり、プロジェクト契約の方が柔らかいスキームになってる場合は更に違いは薄くなってくる。
 
というところまで踏まえて状況を眺めていると少々気になるのが、発注基準の違い。人材不足というのが出てきているからか、採用については紹介会社や募集広告へのサイフの紐が妙に緩いのに、外注についてはガチガチに固めて動いているというのは時折見る。もちろん、逆もあるが。
 
雇用と外注の違いが無くなって来ているのだとすると、人材リソースの調達管理基準も似てくるのが自然となる。外注発注基準については、無駄な出費をしたくないという感覚は良く分かるが、縛りすぎていることによって、外部リソースの調達力を落としているのなら、それは組織の事業遂行能力を潜在的に落としていることになる。
 
どういうやり方やバランスが良いのか、今日明日に急に解決方針が出来上がるテーマではないが、冒頭のような相談が来ていることもあり、経営戦略の一手法としてもうちょっと定式化させておいても良いかと考えるようになってきているところでの相談が冒頭のものだった。
  

 
ちなみに、余談になるが、法人組織に落とす場合は、仮設計を関係者協議と簡単に法務税務チェックをした結果、概ね2,3パターンの基本フレームで多くの場合は対応出来そうな感触を持っている。また、「自分だったらこうするかな」という設計方針はもちろん持っている。
 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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