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情報社会学追説:社会インフラとしてのメディア機能

2006/11/04 22:24
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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車中でJ-WAVEを聞いていると、文化の日にちなんだテーマということでUNIVERSAL LOVEをテーマに(この語はJ-WAVEオリジナルワードだろうか?)特番が組まれていた。ゲストトークの和田秀樹氏と坂本龍一氏のコーナーをまとめて解釈すると面白い補助線が引けたのでシェアしてみたい。
 
まずは知ること:坂本龍一氏
 
音楽家と同じくらい環境関連の活動で知られている氏である。当然のごとくゲストに。環境関連を気にするになった経緯や、ライブツアーの全部の電力をエコエネルギーでまかなえるようになった話など経緯となるところが語られていた。
 
坂本氏のスタンスは、無闇と考えを押し付けようというのではなく、「まずは知ること」をスタートラインに置かれている。番組中でも、知った後賛同するか、いずれのスタイルを選択するかどうかはまた決めれば良い。しかし、知らないことは考えられないから、まずは知ることが大事だということを強調していた。いずれのスタイルを選択するかはその後決めれば良い。
 
学生時代の先行は政治学だったのだが、制度設計の議論に際して、オルタナティブがあることは重視されていた。政党だろうとある政策だろうと、選択肢の提示が無いときには、投票行動にしても十分な意見の吸い上げが行われにくくなる。
 
この複数の選択肢の中から社会として何かを選び取るという動きを支援するのに、それぞれの選択肢の中身と背景が分かってないと選択する意味と効果が分からない。よって、メディアの役割は大事となる。知る権利が一部憲法にかかったりしているのは、この辺に紐づいているからとなる。
 
更に、やや応用的になるが、複数回以上の政治選択を視野に入れると、違う選択を行ったもの同士での対話があれば尚良い。
 
氏の話はインフラ機能としてのメディアと情報流通の一事例として受け止められる。また、自身のサイトやツアーなど、メディア的な動きを自ら取って世の中に意見を提示し続けている。
 
 
自殺報道とメディアのガイドライン:和田秀樹氏
 
和田秀樹氏が語っていたのは、いじめによる自殺報道の社会的インパクトについて。遺書がメディアの報道に載せられることを前提書かれるようになっており、後追いを生む最後の一押しになっている傾向があることから、メディア報道のガイドラインとして、遺書自体の内容を取り上げることはしないようにしているという話。
 
既存のマスメディアのカウンターパート、保管機能としてネット上のツールやサービスが対比される構図は過去何度も繰り返されている。今後もそうだろう。個人的にも健全な形でカウンターと選択肢があるというのは悪い話ではないと基本では考えている。
 
しかし、この手の自殺報道のガイドラインが有効だというのが実証されているとすると、メディアが分散していくというのは必ずしも良いことではない。いまや誰でも情報発信が出来てしまう。マイクロメディアが、というよりも更に自殺した本人がそのまんま遺書情報をオンラインで公開しようと思ったら出来てしまう。
 
メディアに掲載されることを意識して書かれたメッセージは、ある社会的インパクトを願ってまとめられているのが普通だろうが、オンラインにアップすれば類似の効果を生むということが一般理解として普及してしまうと、自ら情報発信していくことになるだろう。こうなると、良い意味での報道規制は効かなくなる。
 
狙ったかどうかは分からないが、坂本氏の話と和田氏の話はポジネガのフィルムのようにひとつの現象の良い面と良くない面を同時に浮き彫りにしていた。
 
 
憲法学者としてのローレンス・レッシグ
 
この話はもちろんメディアの話であるが、同時に、ローレンス・レッシグ『コード』の議論領域に近づいていく。また、プラットフォームデータの議論でもある。すっかりCCやフリーカルチャーの代弁者となった印象があるが、スタートラインは憲法学者であることを思い出しておきたい。
 
メディアとテクノロジーと新しいルールの交わる、ややこしい問題領域となる。未読の方は是非。盲信する必要は当然無いが議論としては十分に面白い。

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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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