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2.0時代の経営戦略:プラットフォーム・データ

2006/05/09 11:18
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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近頃、答えとなりうる情報よりも問いの方が大事なのでは、という議論を各所で同時多発している。古くて新しいところでは、『企業参謀』にて大前研一氏が適切な設問の立て方が大事だと記していたり(新装版P31〜)、コーチングの対話技術は問いかけの方法と体系で結構なところまでが説明出来てしまう様子である。

突き詰めていくと、対価を支払うべきサービスは、コンテンツでもレポートでも無く、問いかけになる。

仕事でもなんでも、意思決定するには情報を集めて整理し、考えなくてはならない。フレームに当て嵌めてメカニカルに処理するのではなく、全体観をもって判断を下していく際も基本は変わらない。無闇と視点と範囲を広げると、考えを整理するエネルギーがかかるのでコストがあがる。企業だと人件費や調査費用がかさむこととなる。また、時間もかかるため適時の意思決定が行えなくなる可能性がある。ビジネススピードが大事だという話を受け入れるのなら、意思決定の遅さはそれだけで重しになる。

では、ただ範囲を絞ればいいかと問われるともちろんそうではない。コンビニがファーストフードやスーパー、今だったらオンラインの各種サービスも含まれるだろうか。これらを視野に全く入れずに物事を考えたら読み間違える。

つまり、最近あちこちで繰り返している話になるが、
 ・どの範囲で
 ・どれくらいの深さで
 ・どのようなプロセスで
物事を考えて決めていくのかは組織効率や施策の精度に影響を及ぼす。技術にしても資本にしても、調達出来る財がコモデティ化しているのなら、差を出すのはやり方になる。戦略と実行、より実行に近いところでのプランニングがキーとなってくる。ポイントは分析ツールの目新しさが勝負のポイントではないことである。根拠を持って自分たちなりの競争空間定義が出来るか否か。今回はデータ層の空間定義を少し。
 
 
プラットフォーム層の整理とデータ層
 
Webに限らず、あちこちで物事が動き始めているため、まずは足場を整理すべくプラットフォーム階層を改めて整理している。戦略フレームの揺れを押さえるのに、足場になるところを見直す作業となる。下はチップから上はサービス層まで、OSなどの分かりやすいところから、認証などのモジュール的なところまで広義の基盤技術/サービスになるところを列挙しつつ並べ整理している感じになる。

プラットフォームというと技術的なところ、プログラム的なところをつい連想してしまうがサービス化の進行と共にデータ自体が基盤となってきている。動きとして分かりやすいこともあり、見るようにしているのが地図情報。代表サービスはGoogle Map。

サービスインテグレーション、マッシュアップなど複数の表現がされるが、アプリの連動とデータの連動が同時に行われるということであり、データに階層構造がある場合は片方が相対的にインフラ基盤の役割を果たすことになる。カレンダ情報なども今後標準化と基盤化が進んでいく可能性が高い。

また、随分前から検討がされていた会計データにしても、東証にて決算短信XBRLデータが試験公開されるなど、動きがまた出てきている。

今までの企業の開示データ(決算短信など)は、webに開示されているものもhtmlやPDFで作成されてるので、人間様ならば「その会社の売り上げがいくらか」といった情報を抽出することが可能ですが、コンピュータは、どこに売上とか利益とかのデータが書いてあるか皆目わからない。これがXMLとなると、タグ付けされた特定の項目をアルゴリズム的に拾うことによって、直接、コンピュータが「○○社の売上はいくら」と答えられるようになるわけです。

仮に、すべての上場企業や有価証券報告書を発行している企業などがXBRLで情報開示するようになった暁には、プログラミングがちょっとできる人なら、高価なデータやインプット要員がいなくても、Yahoo!ファイナンスの企業情報とか決算情報と同様の(または、より複雑な)ページを、チョチョっと作成して公開する、なんてことも可能になるはず。

データの安定性が確保されれば、周辺サービスは自然と立ち上がってくるところだろう。
 
 
データのミッションクリティカル性
 
インフラとなるデータ層には幾つか条件がある。上方にサービス層、データ層が重ねられるという定義条件もそううだが、利用者が期待するようなサービスの安定稼動、つまり大抵はダウンの無いミッションクリティカル性がまず問われる。

ここまでは、普通のコンピューティングの話と変わらないが、もう一つ、データ内容の品質とデータの状態、例えば更新サイクルやタイミングなどがサービスの提供者と利用者間で意識合わせをしておく必要がある。1対1だとSLAや契約の話になるが、おおきくなってくるとコンソーシアムや業界標準といった話になる。会計情報のような品質が厳しく問われる類のものとなると、監査と公開のプロセスとセットになるため、システムの世界と業務の世界を両方押さえた上でサービス標準が作られる。

条件が揃うと、基盤データと基盤の上にのるサービスデータ、OSとアプリケーションのような階層構造が整理される。現状では、デファクトが厳密に決まってないものばかりなので徐々に分化が進んでいるという段階になる。
 
 
戦略拡張
 
最後に簡単に事業運営と紐付けをして。

データが次世代のインテルインサイドだ、データを押さえよという話が良く聞かれる。しかし、データも急速にコモデティ化が進む場合が少なくない。押さえているデータは基盤なのかサービスなのか、どのようなエコノミクスなのか。全体の位置づけで変わってくる。

また、PVの単価とコストを比較するサイト運営の指標設計があるが、データの単価とコストを見る指標も内部管理指標としてはそのうち出てくるだろう。

参考エントリ:
2.0時代の経営戦略
情報社会学追説:社会インフラとしてのメディア機能

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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