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ネットと通信のせめぎあい:ただ乗り論から”NGN vs Web2.0”へ

2006/04/14 17:01
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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ネットワークコスト、インフラ投資の問題を中心に、インフラただ乗り論から最近はWinny論に飛び火しているところがある。なぜ飛び火しているかも分からなくはないが、PR戦略の反対側で大事なポイントが見過ごされてないか、自分の整理も含めて触れておきたい。
 
 
インフラただ乗り論とは
 
まず、簡単にただ乗り論について。争点が何かと周辺事情については海部さんのエントリが一番端的で気に入っているのでご紹介したい。

日本でも、ウェブで商売をする事業者に対して「インフラただのり論」をNTTが唱え始めたようだ。アメリカで、AT&T(旧SBC)やベルサウスが、グーグルやボネージ(VoIP事業者)に対して、「インフラのただ乗りだ」「このままでは、我々が設備を増強するインセンティブがなくなる」「相応のフィーを払え」などと最近言い出したので、ずっと思っていたのに口に出せなかったことが、言えるような雰囲気になってきたのだろう。

コメント欄の議論も踏まえて良いやりとりなので、概要を押さえるにはお勧めしたい。

全体をごく簡単にみると、上記の点から派生して、ネットの中立論CNETの記事もついでに)やネットワークのインテリジェント化という技術論

通信事業者としては情報流通網にある程度のコントロール(制御権)を留保しておきたいのです。アメリカも日本も「放送と通信」、「固定と移動」という軸での「融合」が大きな流れになってきているし。その中で、消費者の多様化に対応ができ、コンテンツの保護も可能で、セキュリティも高いレベルだと謳うために、各種メーカーに協力してもらいつつも、通信事業基盤におけるコントロールが必要だといろんなところで繰り返し言わなければならない。これで他のプレーヤーへの影響力も損なわなくてすむし、設備産業としての投資保護という点もある程度コントローラブルになる。

絡むことになるが、前段にあるとおり、落としどころはさっぱり見えていない。

通信機器メーカーやソフトウェアメーカーにとって、通信事業者と組むのがいいか、それともコンテンツプロバイダーと組むのがよいのか。選択肢はいろいろあるでしょう。著作権の侵害なく、コンテンツを容易に流通させることができるのであれば、そういう機能は通信基盤で提供されていても、コンテンツそのものに埋め込まれていても、それともエンドデバイスでの実現でも、いずれでもいいわけですから。

肝になるのがなんなのか。仮にコンテンツだとしてもDRMはどこにどう置かれるのかが決まっていない。層ごとに分けてみても全部揺れているために、何も定まっていない状況となる。垂直と水平は同時に動いている。
 
 
政治規制・国策との繋がり
 
通信政策、周波数や事業者のへの規制方針で通信産業の形は大きく決まるという話は業界動向を見ている方だと説明するまでもないところかと思う。誰に何を割り当てるかという政府の動きは一つ国内事情を決めるのにポイントになる。

もう一つ意識しておいてよいのは、国ごとに方針が異なっていることから、国家間競争の構図が生まれていることである(ついでに、NTTやAT&T関連などの超巨大企業は下手な国家よりも交渉力影響力がありそうだが、話がややこしくなるのでこの場では触れない)。

例えば、米国はソフトとIPのところで強く、国内で通信とネットのせめぎあいも起きているが、無線系技術を中心に強く打ち出す構えとなっている。また、配信やコンテンツアグリゲーションについてもケーブルテレビが大きな役割を果たしているなど、インフラの作り方も政策方針も異なっておりそのまま同列に一個の事象だけ取り出して比較するのはあまり意味が無い。反対側の欧州や中国も同様に立場は異なる。韓国は無線系で独自規格を打ち出して国を挙げて動いているなどここもまた違う。

要するに、各国押さえたい層と規格が異なっており、各種団体や政治のレベルで調整が進められているのが現状となっている。特に物財(回線網)ではなく、情報財(IP規格やコンテンツ)へコントロールが移りつつあることから、交渉と取り纏めほ巧拙が勝負のポイントとして浮かび上がる。さりげなく、肝になる技術規格と資産の覇権をどう押さえるか思案して手を打っている動きはは各所から伝わってきている。

NGNの議論は、幾つかある視座の一つから見れば固定通信業者が無線モバイル系の収益を取り込んで全体バランスを取りたいという形で理解出来るが、広義に考えるとそれだけでは収まらない。なんだかややこしい話に繋がってしまっており、最後はポーターではないが、国の競争優位というところに繋がっている。

というところから、Winnyの問題が瑣末という訳でも、ただ乗り論は意味が無いというつもりもないが、少し脇で大事なことが見落とされて無いか少し気になっていたりする。

余談だが、幾つかリンク先として頂いた一日一麺のayustety氏は先日からCNETでも「お仕事日誌@CNET」として書かれている。通信系をコンピューティングの視点から捉えたい方は是非。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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