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Google化するYahoo! JAPAN :ソフトバンク × ボーダフォンの追記

2006/03/05 16:32
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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週末入る直前に出されたソフトバンクがボーダフォンの日本法人の株式の過半を獲得すべく交渉を進めているというニュースが話題になっている。フラットな整理はR30氏のまとめを借景しつつ「ソフトバンク × ボーダフォンの問題整理」として掲載しているが、深堀りしなかったところをまとめてみたい。
 
本件が多方面に影響を及ぼしうることは一通り読まれている方であればご理解されていることかと思う。Yahoo!(米国を含めばそれこそ大変なことになるが、おそらく日本法人のみの話だろう。追記:米国も含みの様子。)とボーダフォンの提携という話も延長上では出ているので日本市場に閉じた話でもない。

細かい要素を省くと、個人的に推移が気になったのは以下の三点となった。
 1)垂直と水平の入れ替え
 2)Yahoo! JAPANのGoogle化
 3)資本市場への影響
3については、余波で資本の流れが随分変わるかもしれないという話なので箇条書きで留めるとして1と2について。
 
 
垂直から水平
 
これは産業構造の話となる。

垂直なのは携帯業界。キャリアごとにサービスが割られていて、端末製造のメーカーが複数キャリアに跨っている箇所を除くと概ね縦に物事が組まれている。

ソフトバンクの視点で眺めてみると、日本市場において収益の回収装置として、目を引くのがYahoo! JAPANと日本テレコムとなる。もちろん、NTTグループもグループ内にポータル事業(goo=レゾナント)と法人事業(NTTコムウェア、NTTコミュニケーションなど。本体やデータも含めても良い)を持っていたりKDDIグループも法人部門に力を入れているのはもちろんだが、Yahoo! JAPANの存在感は群を抜いて大きい。ポータル市場を軸に水平に物事を捉え、データ通信と音声通信を付帯隣接市場と捉えて全体戦略を再構築するという荒業が可能になる。

この場合、日本テレコムは、固定通信や長距離通信の電話事業を営んでいる事業体というよりは、通信ネットワークインフラと特に法人の営業ルート+料金回収窓口を維持している組織と捉えられる。
(もちろん、これは悪い意味ではなく、今後の流れを予想するに非常にポジティブな見方を意味している。なお、日本テレコムのB2Bライン強化については前回のオラクル記事でも若干触れているのでご参考まで)

Yahoo! JAPANがB2Bに出ようとしている気配は以前から微かにあった。しかし、組織内の優先順やもともとの不慣れなどが重なってと思われるがさほど伸びていない。典型的なネットのサービスの範囲にあらかた収まっている。ソフトバンクグループとして強化されつつあったB2Bの事業ライン(日本テレコム買収も含める)とのシナジーを考えると、そろそろ本格的に考えられて良かったのがYahoo!のサービスを法人向けに持って行くチャネルの構築だった。

ポータルとキャリアのビジネスをデータ通信を軸にして、水平に書き換えを行った場合、そのまま影響を受けるのがモバイルコンテンツの業界となる。敢えてそこだけ残す、という設計も可能だとは思うが、決済インフラがオープン化し始めていること、促進しているプレイヤーの一角が他ならぬYahoo!であることから、わざわざ残すのは却って不自然にみえる。

トリガーが引かれた場合、携帯関連業界は水平構造に移行する力がかかる。
 
 
水平から垂直:Yahoo! JAPANのGoogle化
 
変化をネットの側から捉えると、水平から垂直の流れとなる。

ここしばらくのインターネット業界の暗黙のルールは、結果論も含めて水平に機能提供していくというものになっている。グループ全体を見ると複雑な事業構造を取っているNTTグループなどを例外とすると(それでも、事業体は分かれており法規制もかけられている)、ISPが接続を、他のサービスもしくはコンテンツ事業者がいわゆるインターネットサービスを提供するという形に落ち着いていた。米国でもAOL以降はこの流れが基本となっている。

ところが、再定義する動きが近頃出始めていた。皮切りとして注視していたのがGoogleが無線接続サービスのテスト提供を進めている話だったが、今回のソフトバンクもトリガーを引けば更に明白な垂直型に移行させられる。

分かりやすくバンドル出来るのはYahoo!のポータルサービスを優先接続とする代わりに、携帯のサービスになんらかのプレミアムか割引を付ける形。ポータルサービスのユーザー獲得維持コストとしてキャリアのサービスを提供する形となる。ブラウザを立ち上げたらまず出てくるのはYahoo!というところから、接続コストの融通など下手したら独禁法に触れそうな施策が多く打てる。

これは水平に進められていたネットのサービスに対して、フロント側のデバイスと通信の層にくっつける形で新しく競争軸を設定することとなる。敢えてダメ押ししないでもマス市場では近しい現象が起きているが、契約者にとってすれば、以前よりも日本のインターネット=Yahoo! JAPANという構図で固定することになる。

そして、これは視野に入れているかどうかは分からないがSNSやBlogを中心に動きが出ているパーソナルポータルの流れへのカウンターとも言える。

ネット業界は水平から垂直に力がかかる。
 
 
全体として起きる影響
 
もちろん、上記だけでは単なる言葉遊びとなるが、本気でこの方向性に全体が引っ張られると各業界内のプレイヤーの役割から何から大きく変わる。どこまで変わってしまうのかは現時点では整理しきれていない。また、冒頭のリンク先で触れているように、基本的なところを浚っただけでもキャリアとネットという範囲では物事は収まらない可能性がある。

単なるキャリアの話と片付けるには飛び火する範囲は広くなるのでは、というのが初期の経緯を耳にした際の感想だった。最終的には競争政策策定とモニタリングをしている官庁が一番大変かもしれない。

出来れば本件も含めて、領域横断的な話を集中的に整理出来る場の準備を進めています。正式にはきっちりお伝えする予定ですが、SunをHelpする形で確定です。

本件については、半確定状態ですが、月末に会場グロービスをお借りして開催出来そうな運びです。詳細はまた確定しましたら。

追記:確定いたしました。月末31日開催でパネリストは

森祐治 氏(株式会社シンク 代表取締役)
降旗淳平 氏(日経ビジネスアソシエ 副編集長)
塩川博孝 氏(アスクドットジェーピー社長兼CEO)

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※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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