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サーチサービスの競争軸

2005/12/14 06:55
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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仕事なり取材で多くの人と話をしていると、ぽつぽつと、「この人凄いな」と思える人に出会う。リラックスしてカジュアルな中から出てくる議論を大事にしているので、柔らかい感じに落としてコミュニケーションしている場面が多いが、自然と正座して襟を正したくなるようなときもしばしばある。

とある案件でご一緒させて頂いている電通総研の山本浩一さんもそういう方である。一言一言の背後に豊かなバックグラウンドがあることがコンテクストや話運びからも伺える。そう長くない時間であったが、サーチサービスとコミュニティ、マーケティングの移ろいについて意見交換をさせて頂く機会があったのでインスパイアされた内容を少しまとめてみたい。
 
 
サーチサービスの競争軸
 
表面的にはYahoo!がdel.icio.usを買収したからというのもあるが、アルゴリズムとソーシャルの二つに競争軸が分かれていっている。Diggが伸びているというのはソーシャルサーチへの潜在需要と見て取って良い。

市場を大きく捉えるのにどう見れば良いのか、細かいサブセットの市場競争を一端忘れて事業者単位で捉えたらマイクロソフトとGoogleがアプリケーションの世界で空中戦を広げており、離れてYahoo!と日本では知られていないIACあたりがメディアの覇権を争っているという見方を最近では取っている。(補足すると、インターネットビジネスという軸をあえて取っていない)

del.icio.us買収の件をどう理解すればよいのか、しばらく考えをまとめていた。技術的に自社で出来ないかと問われるとそれはない。ユーザーベースを買うというパターンでも説明が足りない。同様に時間を買うという見方でも納得出来ない。競合に渡さないというのももちろん今ひとつしっくりこない。

となると、本件はアナウンスと考えるのが最も素直に受け取れる。Frickrの買収と合わせて、今後の方針を明確に外部に示した行動ではないか。
 
 
GoogleとPageRankの登場以降、数学的なアルゴリズムとインデックス規模の競争がサーチサービスの基本軸となっていた。これは、ディレクトリサービスと、ついでにその後出ていたロボットサーチの代替技術であり、YahooとGoogleの違いで括ると人力と機械の勝負だったと言える。

コスト構造とスケーラビリティに優れ、日々進化するウェブへの対応力の高さから、数学的なアルゴリズムを重視したサーチサービスが誕生して勢力を伸ばしてきた。Googleの動きは、規格とスペックの勝負軸が強い。

スペックが勝負軸になる市場は車からコンピューターからオーディオ機器から過去山ほど事例がある。全てとは言わないが、単線のスペック勝負は行き詰まり(排気量、燃費、CPU、メモリ、SN比、音質etcetc)、パッケージ勝負やデザイン勝負など違う軸の取り込みが行われている。

ソーシャルブックマークやBlogとRSSリーダーなどの周辺市場も含めて見ていると検索市場、つまり”あるニーズに基づいて適切な情報に出会いたい”という市場にもスペック軸ではない競争軸が持ち込まれつつある。端的なのは米国YahooのMyYahooからdel.icio.us買収までのゆっくりとしたソーシャル化の流れと同時に進められているYSTの技術強化となる。機械がベースを整え、最終的に人間が味付けをするか、そもそも人間をエンパワーして機械に代替させようというアプローチが見えている。

なぜこのような動きが起きるのか。話は単純で、大多数の人間はスペックと数値で分からないし、マシンが吐き出したものではなく、ヒューマンな感覚を好む。だからこそ、GUIを採用したMacとWindowsが発表されてからPCは爆発的に普及をした。検索結果が10万件と12万件の違いは一般ユーザーには認知出来ないしメリットも理解できない。

自分が属しているコミュニティの判断、Amazonではないが近しい人の探索行動をヒントにして、アルゴリズムに調整をかけるサーチサービスの方法。「ポイントになるところが人間に戻りつつあるんじゃないか」。そういう議論をしていた。
 
 
そもそもの事業環境
 
そもそも、ネットの出現以前から市場の全体として先進国の成熟化は進んでおり、メーカーの多品種少量生産とライフサイクルの短命化、ファッション化など供給過剰を前提とした事業設計とマーケティングの変化はあちこちで指摘されている。サプライチェーンの精度向上も無駄打ちしては致命傷になるところから必要となっている。

細かい議論は割愛するが、今の事業環境で企業が安定的に収益を上げるには、ファンと呼べる企業とサービスに愛着を持つユーザーベースを抱えるのが一つの方法となる。顧客の獲得コストと維持コストでは大抵の場合、維持コストの方が低いこと、技術発想のイノベーションよりもユーザーから生まれるイノベーションが増えていること、そもそもお客さんを新しく探そうにも市場は飽和して食い尽くされていることなどからこの話はサポートされる。要するに、無駄な競争を行って浪費しない方が財務的に良くなることとなり、優れたブランドの事例を探っていると、綺麗に該当するケースがある。

読み方としてはブランド管理とセグメンテーションで表現されることはあるが、ユーザーベースの管理、コミュニティ管理の巧拙は上記の市場環境ではひとつ勝負の方法となる。大袈裟に語ると企業は須らくソーシャルであることを求められている。
(一応補足しておくが、この話はBlogやSNSの導入など、ネットサービスの充実とそのままイコールではない。特定のツールについてではなく、企業とユーザーの繋がり方そのものの話となる)
 
では、Googleは間違っているのか。きっちりとまとめるのは改めてにしたいが、そうではないだろう。Yahoo!との比較で言うのならフロントのサービスラインでは競争をしつつも根っこの部分では役割分担していくのではないかと考えている。上でも触れたようにこの二社は生活圏は近いが元々別種族である。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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