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Web2.0とCGMにもしかしたら欠けているかもしれない要素

2005/11/30 10:07
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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いわゆるWeb2.0に絡んだ原稿依頼やヘルプ依頼がぽつぽつ入ってきている。

具体的な案件や相談の形になると、流れとして大きくなっていることをニュースを読んででなく、我が身で実感して再確認出来る。どうやら世の中はそっちに向けて実際に動いているらしい、もしくは段々気になる人が増えて周辺を巻き込みつつあるらしい、と。

しかし、トップインタビューや技術責任者、企画担当の方などあちこちヒアリングをしては入ってくる話を整理していると、どうもすっぽりと何かが抜け落ちたまま議論を進めているケースが無いかと感じてしまうときがある。感覚としては、企業がオープンソースを採用するときの採用過程や評価を聞いて疑問符が浮かぶのに似ている。両者を列挙比較してみたい。同時に、昨日の「ひと跳び」の補足でもある。
 
 
オープンソースとリスク管理
 
まず設題から。

「オープンソースは導入費が安くなる。それはソフトがタダで手に入るからだ。」

この文章は正しいだろうか正しくないだろうか。

精度を高く答えると、正しくない。ライセンス料があるから?サポートからは逃れられないから?というコスト面の指摘はもちろんとして、物事の理解として、タダで手に入るから安いという理解がそもそも少し違う。コストダウンの源泉はソフトのライセンス料が落ちるからではない。

本質的には、リスク管理の責任がベンダーからユーザーに移転するため、リスク管理料を支払わなくて良い分だけコストダウンになるというのが正解となる。
(説明のため、細かい議論は敢えて無視している点はご容赦頂きたい)

つまり、一見、表面的なキャッシュアウトは少なくなっていたとしても、事業リスクが上がっている分トータルコストはさして変わらないというケースはありうる。実際、オープンソースを取り入れてシステムを再設計したがさほど変わらなかったという話は、名の知れた企業の方にヒアリングしていてもたまに出てくる話である。

差が出てくるのは本当に使いこなせているかどうかであり、おそらく技術の使い方に長けているのであれば必ずしもオープンソースでなくてもそこそこ効果が出てくるはずである。
 
 
CGM
 
では、同じくCGMで設題。

「CGMはコンテンツをユーザーが作る。よってコンテンツ制作費がタダになるその分事業優位性が出てくる」

2.0と来たらその次にLongtailあたりとセットで耳にしそうな言葉である。

さて。これも同じく本当だろうか?

こちらも答えは必ずともそうとは限らない。大手のコミュニティサイトへのヒアリングでも、管理費が比例的に上がっていくケースはある。完全な正比例ではなく、規模に応じてマージン率が高まっていけば問題は無いが、コンテンツの量と収益が比例しない場合は、瞬間的逆ザヤが発生したり利益率はずっと上がらないままとなる。
(同じく説明のため、細かい議論は敢えて無視している点はご容赦頂きたい)

Blog検索の話でもノイズ、スパムにどう対応していくのかという話が出ていた。カンファレンス終了後、パネラーとして出ていたテクノラティの佐藤さんとも続きで話をしていたのだが、単にクローラーだけ作って巡回すればエンジン完成とはならず、そこからノイズを落とす作業が延々続く。リサーチサービスなど品質担保を求められるサービスを作ろうとしたらサーチの精度は高く問われる。この精度向上に付き合う気がないのなら、実際に使えるレベルでの商用化はままならない。同様に、コンテンツ投稿型のサイトでも、コンテンツチェックを豆に行っていくと増加量に比例してとサポートコストがかかっていく形となる。

つまり、企業機能をアウトソーシングした、外注した場合は契約と監視コストが上がるのに同じく、ユーザーにコンテンツを作成してもらうとはいえ、品質が気になるサービスであれば品質チェックが必要となる。製造業だと、製造部門から購買部門にコア機能が移ったのと似てるだろうか。

やり方に変化は出るかもしれないが、良いものを作り上げるにはやはり手間はかかる。最近、この考え方の方が素直ではないかと考えている。
 
 
品質チェックのさほど要らないサービス
 
対応法の一つはAdSenseのように緩やかなコンテンツマッチを採用し、システム処理を突き詰めるアプローチとなる。小ぶりの技術チームのみ抱え、事業規模を一定以上に伸ばせるのであればこのモデルは収益性を高められる。

しかし、完全解かと問われると、配信先コンテンツの品質が広告媒体として相応しくないとクライアントに判断されれば、媒体価値は無くなる。例えば、「あそこのBlog(あるいはコミュニティ)には出稿したくないです」とのことで配信先媒体から外されたらCGMも何も無くなってしまう。GoogleのAdSenseはなんとなく出しているようで裏側ではマッチング技術を執拗に追求していることは想像するまでもないが、現に幾つか耳にしたケーススタディからも同じような結果が出ている。そこまで突き詰める気力はありますか、と暗に問われるのは、Blogのサーチエンジンが技術的な参入ハードルは低くてもスパム対応などで品質の差が実は大きくなる事実と似ている。

技術対応が出来ない場合、コンテクストの管理能力が問われることになる。同じ集まった100万人でも、なんとなくいる100万人と、きっちり集まったのでは媒体価値が変わってくる、というのは感覚的には当たり前のことであるが。
 
 
コミュニティとの歴史
 
JavaOne参加時、NiftyやAOLの古株の方と話をしている時、ユーザーコミュニティとの付き合い方、距離の取り方で長い経験を積んだだろうことから自然と出てくる発言を耳にしていると、なんとなく同じ事業モデルをお互いコピーするかのごとく作れてしまう環境下で、単純なユーザビリティや開発速度の違いに依存しない差別化のポイントがあることを実感する。何をポイントと見ているかという議論になると、彼らはCGMとは普通口にしない。少なくとも一言めは違うところから入る。

もちろん、この点のみで事業が上手く行く保証は無い。しかし、外注管理に長けた会社がひとつ優位性を持っているように、ポイントにはなり得る。

オープンソースコミュニティとの付き合い方、インターネットコミュニティとの付き合い方、ウェブの利用者が増えたときに更にリーチ出来てくだろう人々との付き合い方。理屈で事業計画を作っても出てこないところが今後どのように各社の成長に影響していくのか。改めて考えてみたいところである。

以前インタビューも掲載させて頂いた、mediologic.com/weblogのタカヒロさんが退社されるという。非常に象徴的で、今何が起きているか良く分かる出来事だと思える。

遠いところからですが、おつかれさまでした。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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