アップルについてもうひとつ。コンテンツ配信の面から整理してみたい。
iPodの進化をビデオ対応iPodまで思い返していてひとつ引っかかったことがあった。もしかすると、この動きはマイクロソフトに似ているところがあるかもしれない。
iPod(iTune)の歴史
iPodの機器としての進化の方向性を簡単にまとめると、
1)取り扱いコンテンツ形式の多様化(=音楽⇒写真⇒動画)、2)大容量化もしくは小型化、3)カラー化
の三点に集約出来る。
またiTuneも合わせて、ネットワーク上でリーチしている範囲は、初期はPC中心に始まり車、携帯と広がっている。携帯はともかく車とPCを結ぶデバイスとしてはデファクトの地位に近づきつつある。
また、今回のiMac G5ではPCとiPodの繋がりを深め、リビングルーム向けに進化している。キーとなるソフト、「Front Row」について、ネタフルの「新しい「iMac G5」発表、「Front Row」とは何か!?」より
Mac OS Xのデスクトップではなく、「Front Row」の画面が表示され、そこからMusic、Photos、Videos、DVDといった各機能を「Apple Remote」からコントロールすることができます。
デモをApple - iMac G5 - Front Rowで見てください。これ、iMacが丸っきりiPodになっていると思いません? ナビゲーションはiPodと同じなので、画面の大きいiPodです。
音楽を聴く、ビデオを見るだけだったら、面倒なキーボード操作は必要なく、離れた場所から「Apple Remote」でコントロールすればいいのです。iMacがオーディオとして、DVDプレーヤーとして、ビデオプレーヤーとして活用できるようになります。
現時点では、直接テレビの放送を取り込むというようには
現在発売されているMacの多く(そして、新型iPod)は、テレビ用の出力端子こそ備えているものの、テレビからの入力用端子は付いていない。Jobsは、iMacやiPodのビデオ再生機能だけを強調し、テレビで番組を見ることには言及しなかった。
なっていない。とはいえ、これは「出来ない」というものではないだろう。
Windows/サーバー用Windows
思い出したのは、Windowsが個人向けのデスクトップPCのOSから始まり、サーバー側のOSを押さえていった動きだ。やや乱暴になるが比較すると、WindowsOS/iPod、オフィスアプリ/iTune他関連ソフト、オフィスのデータ形式/AACと並べられる。
マイクロソフトの場合、OSのプレイヤーとしてはデスクトップを独占に近い形でほぼ制覇し、その後サーバー側ではUNIXに完全勝利とは現時点では行かず、Linuxと熾烈な争いを繰り広げているものの十分大きなシェアを獲得している。結果どのような企業に成長したかは説明の必要はないことだろう。反対側、アップルは携帯用の音楽機器/音楽配信ではほぼ一人勝ちを納め、得た資産を元に隣接レイヤーに投下しようとしている。
また、マイクロソフトは周辺アプリケーションを開発統合させ、OSとの親和性も高めることで全体の統合度を高めていった。アップルのiPod、iTuneは元々非常にスムーズに連動するように作られていたが、「Front Row」などが出され始めている(その他、Macを中心として無線LAN機器「AirMac」シリーズなどが含まれるのも言うまでもない)。
iPod(iTune)の役割
そう考えつつアップルがここ数年歩んできた方向をイメージすると、iPodは(最近は映像も見られるようになった)携帯音楽プレイヤーという理解は不十分であることがそろそろ実感出来る。
細部がどうなるか分からないが、大枠としてこちらの記事のように、
アナリストらの憶測によると、次世代の製品ではビデオをテレビで再生できるようになる可能性もあるという。これには、Appleの「AirPort Express」のような無線接続を使用することも考えられる。
まずはこの方向に進んでいることだろう。
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