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Google TalkとSkypeの戦略オプション評価

2005/08/25 10:35
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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Skypeの伸びしろについての記事を一つ準備していたのだが、どうも単純にそういう流れではないかも、というのがGoogle Talkを使ってみての素直な感想となった。

細かい作りは違うので、単純な直接比較は出来ないが影響は出ると考えるのが自然だろう。また、資金調達に伴って一部で噂されていたSkypeの買収も無さそうである。このまま自社で技術開発を進めるだろう。アプリ内部の作りから推測する葉にでは断定しても良い。概要紹介はこの場ではしないので、念のため記事のリンクはこちら

今回Googleが得たものは簡単に
 ・ポータルに近いポジションへの更なる移動
 ・Googleアカウント関連サービスの拡張
 ・コミュニケーション分野の強化と戦略オプションの追加
の三つ。ユーザーロックインを強めている。Gmailで見せたような細かいユーザビリティの設計は相変わらずで、必要十分の情報しか出さず、情報の洪水にしないという基本方針が守られている。

早速使いながら何名かの知人と今後のインパクトを予想していたのだが、通信系のアセットを集めていること、サーチが次々とリッチコンテンツ対応になっていることは連動していくはずであり、YahooがCGM的な方向性とメディア企業の色を強めていることと比較すると、通信業に近づいている印象を受ける。Googleもまた、どこが競合なのかが見づらいステージに入ってしまった。

さて、話ついでにSkypeを。

補助線はKnowledge@Whartonの「The Hype over Skype: Can It Go the Distance?」より。

確認になるが、中長期的に問われているのはこの一文の通り、

Skype could remain a mere fad for techies, become a next-generation communications platform or evolve into the next eBay or Google, say Wharton experts.

細かい議論を捨象すると、ちょっとしたテック企業で終わるのか、それとも次世代プラットホームになりうるのか、平たく書くと通信会社の脅威になるのか、ならないのかが問われ続けている。もちろん、まだ2年なので結論は早い、途中経過となる。

文中で今後抱えている成長オプションを幾つか示されているが競合の動きでこのオプションの評価は変えなければならないだろう。直感レベルになるが、整理してみる。

まず、ソフト企業の面を見てのアプリケーションへの課金が考えられる。

For now, Skype is generating revenue by selling value-added services such as voice mail and the ability to call someone on a regular phone for a few cents per minute. In the future, Skype could sell subscriptions, charge small fees or license its software.

ライセンスフィーをソフト全体にかけるのか、それとも何らかのプレミアム部分に限定するのか、また期間支払いにするのかなど選択肢はあるが、基本は変わらない。提供しているものそのものに課金する方法がある。

おそらく、このオプションの価値はかなりの程度希薄化するだろう。各社メッセンジャーやツールで開発を進めている領域なので、事業サイズの大きい競合がR&Dコストの直接回収を行わない場合は普通に無料のまま提供される。

二つ目は、サービス部分に課金する方法。

the model of providing free services and then charging for extras can work. "You get used to free [service], but you also get dependent on it. Once you can't live without it, you will be willing to pay a small fee." To Werbach, the question isn't whether Skype can be profitable, but whether it can be hugely profitable. "Can Skype scale profitably? Is it a moderate opportunity or a Google-sized opportunity?"

これはSkypeOutで既に行われており、一定の(ただし、一定の)成果を上げている。通信業者のビジネス形態が残る限りここは残る。しかし、アップルが音楽配信業での単体収益を考えていないように、大手のポータルetcがマージンをすり減らしてサービス提供をすると、独禁法以外の対策は無くなってしまうシナリオもある。

三つ目、これもしばしば言われているがハードウェアにバンドルして提供する方法。

Another plank of Skype's emerging business model is partnering with hardware companies to put the company's software on various devices.

無線LANネットワークも都市部を中心に普及し始めているため、持ち歩きの出来る端末への需要が出つつある。モトローラ、ノキアなどの現携帯端末のメーカーがまず念頭に上がるが、iPodをはじめ音楽プレイヤーへの搭載も可能性としては十分考えられる。

あとは、iPodなどが仮にIP化したとして、どこと手を組むかである。事業のパートナーとなれなかったらその分シェアは奪えない。

四つ目、帯域と圧縮技術のバランスが取れたところで、音声からテレビ電話のサービスを提供出来る。

And even if that doesn't pan out, McGeown predicts that Skype can build a profitable business by selling video conferencing services to companies and individuals.

テレビ会議やもうちょっと大きなミーティング、小規模カンファレンスや企業内放送など持っていけそうな市場は複数考えられる。

この事業機会については、他社も等しく持つ。勝ち抜きの要素を何らか持っているかという当たり前の判定がされることになる。

現時点で二社を比較してもまだ距離感があるが、単純なソフトフォンの機能品質比較ではなく、P2Pネットワークの成長速度と、GoogleがサーチとGmailで進めているアカウントの獲得速度、常駐性と常習性で決まっていくように思える。

Googleの立ち位置から、OSを持ってブラウザ市場を戦っているマイクロソフトや、ハードをコンピューターの事業を持ちつつ音楽配信を進めているアップルを思い出すのは私だけだろうか。

そして、今回のサービスで、GoogleがBloggerやOrkutを急いで作っていない理由が分かった気がする。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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