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eラーニング市場動向:ネットラーニング岸田徹氏のお話を伺って

2005/06/15 00:54
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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1対1ではないが、ネットラーニングの岸田社長のお話を伺う機会があった。eラーニング市場は2000年の頃から「次は」と言われ続け、以降堅実で地道な成長を見せている。例えばポータルやサーチのような派手さはないが、最終的には数千億以上の市場規模にはなるだろうとの予想が各所から出されている。

初期の頃に話されていたウェブビジネスの基本特性として、リーチとリッチネスのトレードオフを越えられるというものがある。eラーニングも上手くすれば、コンテンツをそれぞれのニーズに対応した形で幅広く多くの人に届けることが出来れば同じ理屈が成立するため、早い段階から「次は」と囁かれていた。

実際、言われるほど急激には伸びてこなかったのだが現状、「2005年の感触値で500億前後はあるだろうか」ということで、上手くシェアを取れば上位企業は上場は出来るくらいのサイズになっている。
 
 
市場動向

市場動向で日米の市場規模の違いなど白書的なところはさておき(一人当たりの企業研修費は米国の方が多い)、大手、特にグローバル企業から導入が進んでいる点。

■一般企業での普及は、10%余り。
■業界トップクラスの企業は、ほぼ100%。

ということで、小規模遠隔でも始められるから小さく隅々までに行き渡らすことが出来るという普及ではなく、大企業が小回り良く速度を出すことを意図しているケースが多くなっている。単純な研修コストの低下のみならず、IDさえ配布すればコンテンツの配布コストが低いこと、個々人のペースで学習が進められることで時間の制約が小さいことが主な理由となる。

あと、IBMではないが、必要なときに必要なスキルを必要なだけ、というオンデマンド化が徐々に進んでいるとのことである。
 
 
ビジネスモデル
 
eラーニングはコンテンツビジネスかサービスビジネスか。ネットラーニングの戦略から見える回答は後者である。

デジタルコンテンツのビジネスは流通をきっちり押さえきっている場合を除き、競合商品があれば原価近くまで価格が下がる傾向がある。eラーニングも例外ではない。

対策として、ネットラーニングではコースの開始時点から受講者にチューターを付けてのサポートを実施することと、コースのコンテンツをバラバラに販売するのではなく、企業の教育研修業務をアウトソースする形でサービス提供を行っている。

モデルの前身は、もちろん、創業者岸田氏が当初属していたセコムに求められるだろう。単なる警報機販売と24時間、警備員が駆けつけられる体制を敷いているセコムのビジネスの違いも例に出されていたが、コンテンツビジネスというよりは、コンテンツを核にしてサービス提供を行っていると捉える方が実体に近い。

その他コンテンツを自社制作して著作権を持っていることからある程度の規模を超えると急に利益が出始める点、勝者一人勝ちの構図が生まれやすいことなど教科書の説明事例に出てきそうなモデルとなっている。

参加者との議論を受けて

質疑でこのような質問があった。スキルの標準化、業界標準化を行わない日本の会社と外部のeラーニングサービスはアンマッチではないのか、特に、摺り合わせ型の産業は競争力をそいでしまうことになるので、そもそも導入の検討もされないのではないかというものである。

幾つか意見が交わされたがおそらくこういうことに落ち着くのだろう。

1)モジュール化、技能の標準化の進みやすい産業:相性が良い
 コンピューター関連産業が筆頭になるが、産業全体でモジュール化が進んでいる場合、働く人のスキルも合わせてモジュールに分けられるので分けた単位が教育コース、時には資格体系となっているため、スムーズに導入が進む。

2)全産業通じて標準的で特別競争力に結びつかないところ:相性が良い
 例えば、CSRの基礎知識や個人情報保護法の基本的なところはかなり売れている様子である。産業ごとに細部は異なってくるだろうが、ベースの法知識や一般的な対応法はどの産業でも大して差は出ない。よって、スケールメリットも出しやすいことから業界を越えて浸透することになる。

また、ビジネススクールのケースディスカッションや実地訓練のように人とのコミュニケーションや実際に触ることが重要な場面は当然であるが導入は遅い。後者の実地についてはシュミレーションの高度化により実地の初頭段階はなるべく現場以外でも出来るようにはなってきているが、最後の最後は現場知が残ることだろう。そこまでをeラーニングに求めることはないと思える。

売上高未公表ではあるが、市場全体がゆっくりと成長していること、事業規模が大きくなってきて利益を出せる体質になりつつあることから、おそらく何年か経てば上場に向けての動きも出てくるのではないだろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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