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記事課金を始めたThe New York Times(2)

2005/06/07 03:17
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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前回、「記事課金を始めたThe New York Times」の若干補足を。

SVP-DigitalのMartin Nisenholtz氏の発言のまとめがPaidContent.orgに掲載されている。重複内容も出てくるが当事者の声なのであらためて。

・オープンとクローズの境目
ウェブのコンテンツへの課金は難しいと言われ続けて早幾月。ここしばらくはウェブのメディアで動きが出てきているとはいえ、すんなり有料制に移行するケースはまだ少ない。立ち上げてはみたものの上手く行かずに断念したり、発表したもののリリースまでに社内で延々と議論が繰り返されていることもある。The New York Timesは後者。

満場一致というよりは、やや不安も残っているようだが現状をどう捉えているかはこの一言。

"The vast part remains open and free but our distinct voice is now a pay product."

コンテンツの大半はこれまで通りフリーにアクセス出来るようにするが、distinct voice、独自性のあるコンテンツについては課金対象になりうるとの認識を示している。つまり、一般ニュースについては、これまで通り、もしくはRSSの配信を拡張するなどでこれまで以上に目に触れやすくするが、肝になるコラム記事は呼び水とするよりも閉じるべきタイミングに来たことになる。

・広告偏重からの舵きり
もうひとつ、意味は同じなのだが、広告側から見てのコメント。

"We all know at some point in the future the advertising revenue streams flowing online are going to start to mature and (by launching this now) we're going to be better prepared at that time."

オンライン広告は改善の余地があるとはいえ、そのうち成熟に向かう。手法もパターンも概ね固まり、2桁もしくは3桁の成長を望めないタイミングが来る=それは既に来つつあるために方針の変更を行ったのだとなる。

ウェブを支える技術の動きを見ていると、現時点の形が最終形とは思えない。ブラウザで静的に作られたファイルを参照する方式から手法は数あれど動的にデータを処理する方式に移りつつある。もちろん、メディアもこの影響を逃れられるわけはなく、少なくとも先数年は構造変化の影響を受けることだろう。

その他、紙の読者にはチャージしないこと、アーカイブへのアクセス権も商品のひとつとしていること、クローズにし過ぎるとリーチが落ちるのでバランスが大事ということなど以前から話されているところであり特に目新しくはない。あと、アフィリエイトを始めることくらいか。

もうひとつ、RSSマーケティングガイドの「ニューヨークタイムズの会長が語る新聞の未来」で会長のArthur O. Sulzbergerのコンテンツの管理方針についてのコメントが紹介されている。

- 「スタンダードエディター」(スタンダードを管理する編集者?)と言う新しいポジションを確立

- スタンダードエディターの管理の下、ウェブ上でニュースに関するインタビューの完全な内容やその他の取材情報を、読者(の客観的な判断の参考になるよう)に対して公開する

- 他のソースからの情報も公開する(個人ジャーナリストのブログなど?)

さらっと書かれているがこのアプローチを明言しているのは面白い。

まず、紙面制約がないことを利用して、コンテンツの公開範囲を広げている。どちらかというと情報をコンパクトにまとめる紙での編集方針からすると真逆のアプローチとなる。

もちろん、ただ公開するのではなく、一定の軸を立てての上でとなる。先日の事件への対策としての狙いは当然あるだろうが、むしろ「信頼度」を再定義しようとしているように見て取れる。外部ソースも公開していくことも合わせると、自らがまとめた記事内容で勝負するスタンスから離れようとしている。

有料と聞くとクローズに囲い込みをする印象を持ってしまうが、細かく見てみると単純に保守的になってコンテンツを閉じようとしているとは言い切れない。むしろ、ポータルの提供しているメールサービスのように、フリーのサービスとプレミアムサービスとを組み合わせた形を思い起こさせる。

一通り眺めてみての感想はこうなる。インターネット企業っぽくなってきた。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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