お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

ジャーナリズムと資本論:フジ/ライブドアを絡めて

2005/03/18 22:22
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
ブログ管理

最近のエントリー

米国のメディアの状況をまとめたレポートThe State of the News Media 2005が発表され、資本支出について触れた項目についてDan Gillmorが「Who's Investing for the Future? Plenty of Us」としてコメントをつけている。
※度々本連載でも紹介しているDan Gillmorは米国で"citizen journalism"、草の根市民ジャーナリズムの普及と啓蒙を積極的に行っている。
 
 
ニュースを取材しなくなったメディア
 
引用されているのは、この部分。

It is part of a larger trend in American journalism: much of the investment and effort is in repackaging and presenting information, not in gathering it. For all that the number of outlets has grown, the number of people engaged in collecting original information has not. Americans are frankly more likely to see the same pictures across multiple TV channels or read the same wire story in different venues than they were a generation ago.

傾向として、ニュースとなる一次情報を集めるところよりも、配信やパッケージングに対して力が入れられているという。結果、視聴者は同じニュース、同じ映像、同じ画像をあちこちの媒体でみることとなる。

この感じは、Google Newsでニュース検索をしてみると良く分かる。地方紙は特に通信社のニュースに依存している部分があるため、特定トピックの情報を隅から隅まで読むと共同通信やロイターのニュースを何度も目にすることとなる。

この一次情報不足は、市民の側が自主的に埋め合わせを出来るのではないかというのがDan Gillmorの見ている未来像となる。

I share the concern that news organizations are cutting their investments. An informed citizenry is crucial to the functioning of the republic and of society as a whole.

I don't see much hope that commercial journalism organizations will invest more. They are conservative to a fault when it comes to adapting to change. (I hope I am wrong on this, and suspect I'm not.)

なお、余談になるが、メディア企業の収支構造のリストラクチャリングについてはReflections of a Newsosaurの「Supersizing profits, squeezing the news」にて詳しく扱われている。数値も含めて押さえたい方はどうぞ。

この市民ジャーナリズムの話を日本で一番組織的にバックアップしているのは(実は)ライブドアである。パブリックジャーナリストという位置づけで実際にライブドアのポータルでのニュースに採用されている。

ウェブは全てに勝るとかこれからは何もかもインターネットであると単純な話をするつもりはない。よって、ライブドアの味方をするとかフジの側につくとかいったポジション表明を行っている訳でもない。良いプロダクト/サービスを低いコスト構造で提供出来る方法が見つかれば世の中は自然とシフトしていくという単純な原則から本件を見ている。

ウェブは出てきて何十年も経っているものではなく、未だにトライアル&エラーが続けられている。新しい手法が見つかることで既存の手法を塗り替えていくことは今後しばらく続く。草の根ジャーナリズムが既存の方法より優れていると世の中が認めれば正式採用されていくだけである。

その未来図をもしライブドアが先んじて実現の方向に向けて動かせているのなら、後々先駆者として語られることはあるだろう。
 
 
生産過程に参加する消費者
 
市民ジャーナリスムの議論は、製造/小売業で長らく言われているサプライチェーンの再設計の話、プロシューマーの議論と近い。@コスメが商品企画をサポートしているように、条件さえ揃えば、メディアの機能がオープン化していくこともあると考えている。

It is those organizations that make large-scale Internet news sites viable. In a world of dwindling resources, a world of falling daily newspaper readership and fragmented television news audiences, who will produce the journalism of scale and importance that informs citizens about national political campaigns and international conflict? Bloggers? Citizen journalists? The software developers who produce RSS readers?

The answers that emerge over this decade to those questions are certain to impact the future not just of Internet news but of journalism itself.

そして、Bloggerのトップリストとその動向を見ていると、企業やメディアから発信される情報の真偽をチェックしているグループの活動を見ていると、「over this decade」というのは既に始まっていると言える。
 
 
あらためて、ライブドアとフジの件
 
フジとニッポン放送の経営権を誰が握るかよりも、結果どのような経営方針になるのか。更には、経営者の意図を越えて、世の中が必然向かう方向性を見定めたいと強く思う。

単なるファイナンスとM&Aの用語知識だけが世に普及するだけでは勿体無い。まず、そもそも資本というのは何なのかが正確に伝わって欲しいのが一つ。そして、世界的に共通して起きているメディア産業の構造変化にはいかなる背景があるのか、日本独自の癖はどのようなものかが語られるようであって欲しい。

アルファな方々との意見交換で浮かび上がる未来像がもし本当なら、いましばらく世の中は変化の時期にあるはずである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー