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BPO普及に対するIBMの回答

2005/03/17 00:21
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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夕刻、メディア産業の今後を考える集まりに参加してきた。ネットエイジキャピタルの保田さんが主催されている勉強会の一幕となる。テクノロジー産業に限らず、大手新聞社、テレビ局の方も交え2時間ほどざっくばらんに意見交換をさせて頂いた。

メディアに限らず、複数以上の産業の当事者が集まって話をしないと、世で起きていることの実態が掴めないことは珍しくなくなっている。近しい議論ということで、自動車への音楽配信がどうなるのかというやり取りが途中あったが、これにしても、自動車、音楽コンテンツ、通信ネットワーク、ハイテク(特にソフト)が最低集まらないと現場感を含めてのやり取りは出来ない。

内容が内容だけに、話の詳細については伏せたいが、こうして様々な人と膝を突き合わして話が出来るのは貴重な機会と言える。保田さん、ありがとうございました。
 
 
本題
 
さて、本題を。

システムの提供者がサービスも含めてサービスする流れはここ10年以上のコンピューター業界の基本トレンドのひとつであった。ソフト、アプリを売るところから、コンサルティング型のサービスを組み合わせる上流への動き、運用系も手厚くしていく下流への動き、ソフト・ハード・ネットワークをまとめて業務も更にセットにするアウトソーシングと着実に範囲は広まっている。

最近はこれらの動きをまとめてBPO(business process outsourcing)という言葉で括り始めているのは以前の記事、「IBMに見るアウトソーシング戦略の現状」でもまとめた通り。

そのIBMが本領域で新しい動きを見せた。コンタクトセンターを含む営業業務を一括請負するサービスを外販し始めている。記事としては「日本IBM、e−セールス型営業モデルの受託提供を開始」こちらを参照。
 
 
サービスのポイント
  
同社のリリースからポイントを抜くとこの辺になる。

# 電話・電子メール・FAX・Web等の複数チャネルの利用を最適化して対面営業よりも広範囲のお客様への接触機会を持つことにより、市場を開拓し、お客様とのリレーションを強化することで、販売促進の土壌を構築します。

# 市場・商品・お客様取引・属性等の分析を組み込むことで、効果的なアプローチシナリオを適時活用し、販売機会を増加・向上させます。

# マーケティング/セールスを支える最新のITソリューション/テクノロジーに加えて、e-セールスの要員、設備等必要な全ての資源をご提供することができ、お客様の投資を最小化し、早期立ち上げを可能とします。

# コンサルティング・グループによる継続的な仕組みの評価を行い、e-セールスの効果的なアプローチを継続的に改善し、高いお客様満足度の向上を目指します。

ポイント、というには少々抜きすぎているが、単なるアウトソーシングとの違いはこう捉えている。

システムの提供サイドとして日々仕事をしているが、通常基本前提として、業務についてはクライアントが決定し、かつ知識量情報量についてもクライアント側が多いというものが置かれている。仕事を発注する受注する関係ではこの前提は大事なものであるし、業務知識について通常お客さんの方が多いのは当たり前である。

では、常にお客さんの方が業務ノウハウがあるかと問われるとそうとも限らない。もちろん、顧客固有のやり方についてはお客さんの方が良く知っているが、より良い方法、ベストなやり方となるとそうとも限らない。例えば、2001年から2003年くらいまで、ウェブ系のビジネスの一般ノウハウは一般企業よりも外部のベンダーの方が高いケースが多い感覚を良く受けていた。

また、業務がシステムと高いレベルで統合し始めると、システム的な感覚で業務を捉えられるかが能力を左右するようになる。例えば、非常に好きな事例なのだが、村山さんが「ITでしかできないことをリアルビジネスで実現するCapital One」で書かれているCapital Oneの業務執行能力は何に根ざしていると言えるだろうか。テクノロジーとも業界理解とも言いがたい。同じく、JetBlueも、新手のサウスウエストというよりは、航空業界のデルといった捉え方の方が近い。

これらの企業能力はテクノロジーの有効活用から大きな部分が引き出されており、もしテクノロジーベンダーが上手い形で顧客企業よりも、高い業務遂行能力ITでレバレッジをかけて提供出来るのであれば、システムだけ提供するよりも、高い付加価値を生む。テクノロジーが普遍化しつつも、コンピューター独特のルールと感覚が完全に消えないうちはこうやってベンダー側が業務能力においても長けている状態が続く。
 
 
サービスの外販で目指すもの
 
さて、話をIBM側に戻して。友人のkush's blogにて「IBMのTelWeb外販」でこの話題が取り上げられ、さらっと三行コメントが加えられている。

IBMのやり方は理論上、ノウハウの流出を防止しつつ、横展開を可能としている。ちょうど「トヨタ方式」をコンサルティングとして顧客企業に持ち込むやり方の逆ですね。ユーティリティ化、オン・デマンド、所有から利用へというトレンドに合致した動きなので、かなり注目しています。

コンパクトな一言であるが、非常に的を得ているので思わず頷いてしまった。

今回のIBMの動きは、コンピューター業界で進む、「所有から利用」への流れ、言い換えるとグリッドやユーティリティの基本トレンドに逆らうことなく、自社の競争力を維持することを可能としている。

もちろん、この戦略自体をコピーすることは可能であり、戦略そのものが差別化要因になることはない。執行能力の差が競争力の差になる。アセットか組織能力のどちらかで差をつける必要がある。

この辺の感覚をパイオニアのケースでのリリースでは

BTO(ビジネス・トランスフォーメーション・アウトソーシング):
BTOは、従来のコールセンター等の単純な外部委託とは違い、業務プロセスの抜本的な変革および、その継続的な改善を実施することにより、契約期間全体で経費率の削減を実現するサービスを提供するもので、簡単に表現すると「企業変革を目的とした業務委託」です。

こう表現している。わざわざ名前もパッケージも変えていると言うことは、従来のアウトソーシングでは限界があるとの推測も立てたくなるが、邪推はほどほどにして。

このモデルの問題を指摘するなら、何屋さんか分からなくなることだろう。明確に定義しにくい位であれば別に構わないとして、何もかにも抱え込んでしまうというのは、昔の肥大化したGMを思い起こしてしまう。しばらくの間は部分優位を保てても、そのうちまた違う感じで力関係が崩れていのではなかろうかと考えている。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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