先日東京でようやくお会い出来た村山さん(梅田さんの代打を何回か務められた、という説明の方が響く方もいらっしゃるかも)のBlog、Sotto Voceをいつもどおり眺めていると、Appleの製品ポートフォリオを綺麗にまとめた資料が紹介されていた。紹介先のリンクはこちら。元記事にあたる、NiXLOGの「Apple's Tipping Point: Macs For The Masses Infographic」と合わせて見て行きたい(内容的には同じである)。
なんとなく分かっている/クリアに示されている
村山さんのコメントでも、
素晴らしく新しいことを語っているわけでは決してない(PC世界に話が限られている、というのも少し視野狭窄気味かもしれないし)が、一枚もののプレゼンテーションとしての出来が良い
と付されているが、確かに、発見というよりは整理という評価が適切なコンテンツとなる。
では、全く意味がないかと問われるとそんなことはない。ぼんやりと考えているのと、こうして隅から隅まで手を入れて精度を高めた情報を目の前にしたときに分析や意思決定の深さに差が出ないわけではない。また、こうして一枚シンプルに纏め上げてあるというのも全体感を持って考えることが出来るので良い。そういう位置づけでのご紹介ということで下記読んで頂ければ、と思う。
Apple直近の課題
Appleが近いところでしなければならないものは以下の三点程度にまとめられる。
・iPodのカバー率をどの程度まで引き上げられるか
・iTuneを収益チャネルに変える事は出来るか
・PCの売上にどの程度波及させることが出来るか
OSどうするんだ、事業ドメインはどこまでなんだ、などというトップラインに近い戦略というよりは半歩下の、今の構造を前提としつつより上手く展開させていくにはというところの課題である。営業戦略と言った方が近いか。
そう思って図の方に戻る。まず、iPodの製品ライン拡張はハイエンドとローエンドのどちらに向かっても行われている。ハイエンドは容量拡大と写真対応を行ったPhotoの発売、ローエンドはMiniからつい先日のShuffleまでのラインの拡張が該当する。
また、右半分のPCの領域でもローエンドの引き下げが行われており、一時期上位に上位にと広がる志向を見せていた(G5、大画面PoworBook)ところから、miniを発売が行われた。本製品、価格帯でするとハイエンドのiPodとさほど変わりがなく、Photoになると599ドルとむしろ100ドル高くなる。よって、この製品はiPodからMacへのブリッジとなることが期待されている。
実際Apple側でもiPodをエントリーとして捉え、Macや各種ソフトウェアに繋いでいくというシナリオを意識しているとインタビューコメントでしており(テレビで見かけたものなので、残念ながらソースは示せないが)、PCを買ってデバイスを買うという流れではなく、デバイスをまず買ってその後PCに来てもらうという流れを考えているとのことである。
以下、内容重複も出るがBlogの書き手Paul Nixonのコメントを引きつつ。
状況をコンパクトに示しているのがこの一文。
Within a one to two year timeframe, the Mac mini could bring Apple to a tipping point in which a combination of factors create strong double digit market share in the mass-PC market, as Windows-based PC's continue to suffer from viruses and adware and users are drawn to the elegant and affordable simplicity of the Mac mini.
Windowsマシンのコンテクストにウイルスの記述が混ぜられているのはバイアスを感じるが、事の本質がFunctionとDesign/Usabilityの競争であるという指摘は同感である。
ユーザビリティ、インターフェースが資産である見方は話されるところでは話されている。SonyがPS2、コクーン、携帯などで画面のアイコンの配置を共通化していることはおそらくその顕れだと見ている。他、つい先日御手洗さんのBlog「Log the Endless World」のエントリ「ユーザー・エクスペリエンス」でもやり取りがあったところである。こちらも包括的ではないが、コメントも含めて面白いやり取りがされているので、是非参照頂きたい。
この後、戦略分析と各商品の役割の解析に続くのだが、一旦ここにて。また次回としたい。