お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

「The Long Tail」とナノ経済

2005/01/11 12:14
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
ブログ管理

最近のエントリー

昨年、「Long Tail」という概念を何度か取り上げた。「インターネットは80対20の法則を越える」、「Yahoo、Google、Blog、RSS後の世の中」、「戦場はビデオ検索技術へ」などがそうである。概念として一言で書くと、80対20のパレートの法則に反して残り8割だったはずのところの消費流通に面白い変化が起きているのでは、法則が崩れ始めているのではというものとなる。

議論のきっかけはWiredの記事「The Long Tail 」であるが、著者のChris Andersonがその名も「The Long Tail」というテーマ特化型のBlogを立ち上げている。書かれ始めたのが去年の10月。「This is the place where I'm going to collect everything I can about it.」ということで、関連テーマを集積させている、専門リンク集+コメントエントリといった風情になっている。
 
 
ナノ経済という概念
 
じっくり読みこなしてみたいエントリは幾つかあるが、ひとまず軽いものを。「Nanoeconomics」にて、ミクロ経済ならぬ、ナノ経済という概念が出されている。

概念自体が正確に定義されている訳ではなく、さらっと提示されているだけの段階であるが、気持ちは分かる。

The Economics of the Long Tail: Forget macroeconomics. While you're at it, forget microeconomics, too. The really interesting new work is in nanoeconomics, or economic behavior in markets of a million niches far down the long tail of demand. From Pareto distributions to the rise of secondary markets, the ability to find big businesses in small sums is casting a new light on the dismal science.

巨大資本が規模の経済を用いて攻めるという構図が消えることは大きなコストメリットを得られている限りない。

しかし、分野によっては、小さいニッチがより生きるような流れが出てきている。国内市場でも、ゲームやコンテンツは大手企業ではトップエンド以外は生き残りにくい市場構造になりつつあるというのではという話はちらほら耳に入っている。インディーズ市場が元気な音楽マーケットも(他の要因も指摘出来るものの)、これまた然りというところである。本筋から離れるので簡単にしたいが、コスト構造が変わりTailの効率がよくなったことで、Headに偏在していた富と需要が分散し、エコノミクスが変化したHeadはコスト構造の順に順次転換を迫られているということになる。

小規模事業者に光が当たりやすくなるのは、産業資本を振り回す近代資本主義経済から、職人とネットワークがベースの中世社会に戻っていくようなイメージが浮かぶ。

出来立ての概念ではあるが、資料も出始めており、参照しつつで周辺概念が整理されている。

There is, naturally enough, the economics of nanotechnology. Also, the economics of auctions and other micro-markets where the rules are important to determining the outcome. The economics of massively multiplayer games and virtual worlds.

オークションと小規模の市場で成り立つ世界、小規模なプレイヤーが開放型のインフラを利用しつつ、モノ/サービスの提供が完全個別受注での提供に近づいていく世界。
 
 
The Long Tailの経済モデル
 
具体的な記述としては、上記文中リンク先の「Nanoeconomics」に幾ばくか記されている。

The caveat is that most of the time, they're not actually buying anything other than a limited use program to plug into their assemblers(ranging in size anywhere from backpacks to microwaves to buildings) to get that product built. Money tends to go alot farther however, and is generally used much less.

モノを買う場面というのは少なくなっていき、欲しいものを欲しい時に注文して=生産して受け取る。貨幣も使われなくなっていく。

Just about all the jobs are in the service industry, but among the most lucrative are those of engineering, computer sciences, and other artisans and designers that envision and design the product that will get programmed into that little chip that will tell your assembler how to make that product, plus the technicians that keep the stuff running.

経済のサービス化はさらに進み、自動生産の仕組みを支えるチップに命を吹き込む技術者やデザイナーや、設備の運用監視が大事な仕事になっていく。

垂直統合から水平分業の構造になり、フロント側の機能が小さくなる反面、中央に巨大なインフラが整備されているのは仕組みとして中世社会と全く異なるところである。
 
 
描写としては、半分SFの世界に足を突っ込んでいるところはあるが、BlogやPodcastingの世界でコンテンツがどのように生み出されているかを観察していると、AmazonやeBayがどのような進化を遂げているかを合わせ見ると一つの道筋が見えてくる。進化の先はEconLogで触れられている「Capitalism without Capital」といったところとも繋がってくるのかもしれない。

今はビットの世界を中心に実験が繰り返されている。しかし、そのうち可能な分野からアトムの世界にも適用が試みられていくことだろう。どの程度までが応用可能な範囲なのか、「The Long Tail」の適用限界と合わせてしばし考えてみたいところである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー