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プラットホーム化するSkype:アリエル・ネットワーク徳力基彦氏、Skype社Vincent Shortino氏インタビュー

2004/12/20 12:44
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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アリエルネットワークが自社ソフトをSkypeと連動させたとのリリースがあったのは「先日」と言っても良い少し前の出来事になる。単に耳にしただけでは聞き流してしまいそうな話題であるが、Skypeという一点を割り引いても話としてなかなか面白い。

Skypeが何かという説明はもはや必要ないことであろう。過去エントリでは「Skypeはどこに行く?」で今後の戦略方針を軸に会社としての大きな絵を描いてみた。世の一般的な理解については、無料電話ソフトというのが第一段階、次にテクノロジーを理解出来る層ではP2Pの面白い使い方というのが第二段階。もう一歩進めて、プラットホームが形成されつつあるのでは?という見方がある。この視点は、Amazon、eBay、Google(あるいはYahooも)の本質を同捉えるかという話に繋がってゆくところになる。

Skypeは無料のソフトとして、ユーザーにフリーで配布され、個々人が好きな環境で好きなように使って通話が出来る。会社としてのSkypeはソフト以外のリソース、つまりサーバーやネットワークやサポートについては提供していない。初期のネットスケープがブラウザを配布し始めた頃の動きに似ている。彼らがビジネス的には規模を追わない仕組みになっているのは、この構造による。今は規格を押さえる段階と思っていることだろう。

さて、こうやって無料で配布され続けると何が生まれるのか。再びブラウザの歴史を紐解くと、現在に至るまで、インターネット上での文書のやり取りの標準フォーマットの地位を確立することとなった。その後、徐々にプログラムが動くようになり、決済やコマースといったトランザクション処理へと対応範囲を広げてきている。

同様の見方を適用すると、Skypeは音声データのプラットホーム、標準規格を提供しかかっている段階にあると見てよい。

ここで一旦アプリケーションの世界に寄り道をしたい。業務アプリは特にそうだが、カスタマイズの有り無しは別としてソフトをインストールし、機能を使うというのが2000年くらいまでのパラダイムであったが、徐々に外部のサービスと繋がる動きを見せている。以前は、OSとミドルウェアとの連携という話だったところから、接続先がサービスやコンテンツという事例が出てきている。イントラネットのグループウェアのコンテンツとして、ニュースサイトのデータを引っ張ってくるなどは良く見る使い方となって来ている。

Skypeがプラットホームと呼べるまでの進化を遂げるかは現時点では分からない。しかし、有力候補の一つとして注視している。

ベンダーサイドではどう見ているのか、実装機能として提供し始めたアリエル・ネットワークのプロダクトマネージャをされている徳力基彦さんと、Skypeの日本ビジネス開発部長であるVincent Shortinoさんにお話を伺った。


徳力基彦、Vincent Shortino両氏

--Skypeと連携というのは面白いアプローチかと思いますが、実施に至った経緯をお願いします。

徳力
 弊社のソフトはグループウェアのような情報共有ソフトなのですが、実は以前からお客様に、IP電話やインスタントメッセンジャーのようなコミュニケーション機能を入れてくれと言われることが多かったんです。
 そのため、ASP型のテレビ会議サービスやIP電話システムとの連携は、様々なメーカーと以前から話をしていました。

 ただ、やはり弊社のソフトはP2P型で、クライアントにインストールするタイプですので、Skypeが出てきたときから、相性の良さという点でかなり注目していたんです。
 その後Skypeが凄い勢いで普及し始めまして、連携をしたいなぁと思っていたらタイミングよくVincentさんとお会いできて、「APIも公開するし、やりましょうか」という感じでスムーズに決まりましたね。

--Skypeと「アリエル・マルチスケジューラ」の役割分担についてどのように考えてらっしゃいますか。

徳力
 同じP2P技術ではありますが、Skypeは電話やチャットというリアルタイム系のコミュニケーション技術にフォーカスされていますよね。逆に、アリエルのコア技術は、ファイルやスケジュールなどの静的な情報の共有なので、良い補完関係にあると考えています

Vincent
 そうですね、あとSkypeはグローバルに対して開発を行っているので、日本の利用者の独自のニーズに対するケアというのは手薄になりがちです。特にビジネスにおける利用においてはその差をパートナーの手を借りて埋めることが重要だと思っています。
 アリエル・ネットワークは、Lotus出身者が多く日本の法人顧客のことを理解していますし、日本を代表するP2Pベンチャーですから、同じP2P技術のソフトウェア会社としても期待しています。

--想定利用ユーザー、利用場面はありますか。

徳力
 マルチスケジューラは、会社や組織の壁を越えて予定の共有ができるソフトですので、特にそういう別の企業と予定調整をすることの多い企業の方に使って頂きたいですね。
 ただせっかくの無料のソフトですから、いろんな使い方をしてもらいたいと思ってます。実際既に大学の研究室の予定調整に使っている人もいるようですし、家族内のスケジュール共有に使っている人もいるそうです。

Vincent
 そこで、予定の調整で直接相手と話がしたくなったら、すぐにSkypeで電話やチャットをする。という使い方をして欲しいですね。
 マルチスケジューラからなら、フレンドリストが多い人でも簡単に相手に電話をかけることができますからね。

--サービスが外部依存してしまうことのリスクについては検討されましたか。

徳力
 先ほども言ったように、アリエルはあまりリアルタイムの技術に注力していないので、そこはオープンに外部依存していく方針です。もちろんお客様からSkype以外のIP電話との連携を要望されれば、対応するでしょうし。
 そういう意味では最初からリスクのあることを意識して選んだ手法と言えるかもしれませんが、一社で全てをやるのは不可能ですしね。
 これはSkypeさんの手法をかなり参考にしているところです。

Vincent
 そうですね。
 Skypeは、現在はTelephonyを中心とした分野にフォーカスしており、それ以外の機能については、できるだけオープンに多くのパートナーと提携していく戦略をとっています。先日、ライブドアとの提携やデスクネッツとの連携も発表しているように、今後も幅広いパートナーを募っていきたいと思っています。
 もし、この記事を読んでいて提携したい方がいたら、是非Skypeのコンタクトページから、日本語でも良いのでタイトルに「Japanese」と入れてメールを送って欲しいと伝えてください。

--今後の発展進化について、現時点であるようでしたら。

Vincent
 グループウェアのようなコンタクトリストを持っているものからSkypeで電話ができるという機能は、今後多くのパートナーの製品に展開していきたいと思っていますから、いずれ当たり前の機能になると思います。
 そういう意味では、アリエル・ネットワークには、単純な電話機能の連携だけでなく、チャットやファイルの連携機能をつけるとか、スカイプのコンタクトリストの高機能版のようなものを開発するとか、P2P技術のベンチャーならではの連携をがんばって欲しいです。

徳力
 そうですね、P2Pならではの機能連携というのを行っていきたいですね。
 まずは、まだ12月にベータ版をリリースしたばかりなので、利用者の皆さんの意見も聞きながら、今後の展開を検討したいと思っています。
 あと、いつもVincentさんに、日本の開発者はSkypeの開発者フォーラムで存在感が薄いと言われてしまっているので(笑)、日本にも優れた開発者がたくさんいるというのをアピールしていきたいですね。
 
 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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