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NEC戦略転換:アビーム資本参加とソフト事業の子会社化

2004/12/03 11:45
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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国内エンタープライズ市場の一角で大きな動きがあった。古巣NECでのシステム関連事業ラインの再編である。リリースはこちら。オペレーションとしてのポイントは一点で、NECソフトとNECシステムテクノロジーの二社の完全子会社化。流れからすると先日発表のあったアビームへの資本参加と同じコンテクストに載せて解釈するのが自然となる。

本件、まだ上手く飲み込めていないが、公開資料をベースに状況整理だけでも行いたい。
 
 
エンタープライズ市場動向おさらい
 
エンタープライズ市場の動きは度々取り上げている。近いところでは「(狭義の)日本IT産業の行く末をめぐるディスカッション」にて過去をサマライズしつつ一旦まとめた。ちなみに、エンタープライズ市場の構造変化についてはこちらこちらで二度に渡って取り上げている。

まず、ガースナー時代のIBMの方針転換からしずしずと続いているサービス化の流れ。

ところが、テクノロジーは単体ではなく、具体的なサービスそのものとして提供される傾向が強まっている。ウェブポータルや昨今注目の高い検索サービス、ハードに固定化されている面はあるが、携帯電話もそうであるし、情報端末化の激しいカーナビの成長過程、金融サービスのネット化も考えようによっては含んでいいだろう。サービスと技術が分かちがたく結びついて、パッケージされた形で提供されているパターンである。SIビジネスの視点で見ると、ASP型のサービスやシステムの運用アウトソーシングを含めても良い。

この環境変化を所与として、もう一つ設題だけを置いて一旦筆を置いていた。

上記の問題設定には、”誰が?”という根本的な項目が含まれていない。サービスの提供形態は明らかになりつつあるものの、提供するのが一社なのか協業なのか、どのセクターの企業なのか、どのファンクションでどの程度のサイズの変化が起こるものなのかはクリアでない。

この辺については、米国行きが無事に成就しつつある江島さんあたりが詳しい領域だろう。改めてお話を伺いたいところではある。
 
 
NEC戦略転換
 
ここしばらくのNECの動きはIBMの戦略転換を一部なぞる形で、しかし独自性を出しつつ動いている。

まず、アビームへの資本参加だが、これはもう言わずもでIBMとPWCの関係を思い起こす。コンサルティング業界での、収益拡大への願望からのERPを中心としたシステム事業への参入によって両者の隙間が埋められて行った結果、市場の成熟化のタイミングと合わせて、大手のパッケージベンダー間でのM&Aと並行する形で、コンサルティングサービス事業とシステム事業での資本関係の緊密化が見られた。95年にATカーニーがEDS参加に加わったこともこの流れにおける。
※ここで、EDSをどう解釈するか、国内で同じ動きを見せつつあるNTTデータをどう見るかという議論もあるが別項としたい。

これら、コンサルティングサービスとシステムの統合は、コンピューティング環境の進化や世の中の変化からしてもごく自然な動きと言える。

独自性と言っても良い部分はこちら。リリースより。

NECシステムテクノロジーが有するソフトウェア開発力・開発マネジメント力をIT領域に留まらず、ネットワーク、半導体、組込系ソフトウェア等を含めたNECグループ全体で活用することによって、グループとしてのソフトウェア開発力を強化する。

もちろん、他社が全くやっていないという訳ではない。IBMでも富士通でもR&Dは行ってはいる。

しかし、技術力の集積点として位置づけられていたシステムテクノロジーを含めて内部化の上、現場に近いところに置こうとしているのは、商社的な動きでは今の市場には足りないという判断が為されたのではないかと推察出来る。
 
 
グループ経営として見ると、子会社公開して資本調達したものを再度非公開化したことになる。ありえない話ではないが、資本市場サイドで長期のポジションを取っている見方からすると何らかの方針転換があったものと考えるのが自然となる。NECソフトの上場はグループを挙げての重要目標だった印象を受けている。その目標をひっくり返すとなると、転換の重みは自然と見て取れる。株主と資本市場を巻き込んでのオペレーションが軽い訳がない。

というところまで含めて考えると、良くある最近のトレンド、という単純な解釈で終わってよいのかが一つポイントとなる。

領域は違うがソニーグループもSCE、SMEや金融関連をグループのどこに位置づけるか、資本関係をどう整理するかについてはここ十年ほど調整をし続けている。NECにしても各事業ラインの相互補完関係をどう見るかによってまた読み方は変わってくるだろう。

このところ力を入れていた半導体とネットワークとのバランスを見ないと今回の決定の本当の意味は出てこないのだろう。ひとまずシステム事業ライン単体で見てまとめてみたが、機会があればNEC自体の全体像とSIビジネスのセクター全体を踏まえて考えてみたい。良いアウトプットが出れば改めて続きを、というところで一旦筆を置きたい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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