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IBMに見るアウトソーシング戦略の現状

2004/11/25 12:17
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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ネットバブル崩壊に至る後期くらいから潮流として強くなっていた動きの一つが、BPO(business process outsourcing)である。アプリからサービスへ、部分提供から包括提供へ、包括提供からアウトソーシングへ、と企業側は身軽になるために、受注するベンダーが側は事業領域を広げるべく推移していた。ビジネス系の論文でもアウトソーシングのマネジメントをテーマとしたものを良く見かけており、まさに花盛りだったと言える。

その後、市場は順調に伸びていたようであったが、ここしばらく、長期大型の契約解消のニュースを何本か耳にした。何か潮流の変化が起きているのか気になっていたところだった。Knowledge@Whartonの「Can Big Blue Succeed In BPO?」より。
 
 
BPO市場の基本的見通し:IBM版

IBMのトップの見方はこうなっている。 

IBM CEO Sam Palmisano thinks the intersection of technology and business process services holds great promise. As he sees it, IBM is poised to help customers with a new set of services that includes technical assistance but adds strategic advice about business methods. Palmisano dubs the concept "business process transformational services," and claims it represents a massive market nearly a third as large as the $1.2 trillion spent annually on IT. "It is a $500 billion opportunity," he told analysts earlier this year. "We plan to exploit this opportunity to drive revenue and growth rates beyond those which are traditionally available in the information technology industry."

まず、基本線有望な市場だと見なした上で、提供価値のコアを「transformational services」と定義づけている。アプリケーション、ソリューションという言葉とはやや違うニュアンスを見て取れる。長らく続いているオンデマンドのマーケティングメッセージとも合わせて読み解くべきところだろう。

いずれにせよ、テクノロジーがサービスにラッピングされて提供されるトレンドに変化はない。
 
 
アウトソーシング対象業務
 
アウトソーシング対象となるのは、どのような業務になるのか。同大学のRavi Aronのモデルが紹介されている。

量の多い低付加価値なもの

First, some processes are foundational in nature, i.e., they account for most of the man-hours and have relatively high volumes and low value (such as transaction processing, claims administration in life insurance etc.).

特別なスキルの必要とされないバックオフィス業務やプロセス上重要度の低いコールセンターなどが該当する。

複雑な業務

Second, some processes are "value originators", since they require expertise in process execution and managing complexity (such as research support in investment banking, F&A and invoice management for large supply chain firms, financial statement analysis and so on).

いわゆる、アウトソースというよりは、積極的な意味での発注と解しても良い。専門的な財務のアドバイスやテクノロジーコンサルティングなどが該当する。

専門性のあるもの

Finally, some processes are value differentiators, i.e., they have considerable strategic importance. Such services can only be outsourced to specialist firms, and they include services such as market research, pricing and customer analytics, risk management etc.

一つ上のカテゴリーとの重複があるのではと気になるが、とにかく、市場調査などの専門性の要求される業務が該当する。
 
 
IBMの立ち位置
 
では、IBMの提供するものは何かと問われたら、システムを上手く用いると上記のどれも該当する。テクノロジーを専門性と捉えず、複雑さへの対応とすると三つ目がやや弱いか。一つ目は内外の類似の専門アウトソーサーが競合となる。海外アウトソーシングも含めて、言語とサービスさえクリア出来れば最適コストを求めての競争が行われている市場となる。ここで勝つには、

"IBM will have to find ways of automating the processes and migrating at least some parts of the process execution to off-shore locations to remain competitive in these segments. This is where the Daksh acquisition gives IBM a way of leveraging its traditional strengths,"

プロセスを磨き上げることが一つと、海外アウトソーシングをIBM内部で実現して同じ土俵に乗ってしまうことがもう一つ。いずれにせよ、オペレーション効率の勝負となっていく。

比較すると将来有望そうなのは二つ目のモデルである。セルサイドの市場分析サービスを事例として挙げられている。

"The value that Office Tiger brings to the table is in managing complexity and creating seamless interfaces with its clients," says Aron. "While OfficeTiger has used technology to integrate itself with its clients and to measure and manage risk, not being a technology company is not a handicap to it. This is a highly profitable industry segment, and if firms can scale up and deliver these processes cost-effectively, the revenues can be as much as three to four times that of the less complex processes. Indeed, for such processes, it is not clear that buyers will turn to firms like IBM or Accenture."

単純なアウトソーシングサービスがコスト競争と顧客の絶えざるスイッチに合うのに対し、こちらは参入プレイヤーの少ない寡占市場に向かいやすい。寡占市場で規模の経済が効くことから、あるポイントを過ぎると収益性の高いビジネスに育てることが可能だろう。

さて、残りは後半に譲るとして問いを一つ。こうして外からあらゆるサービスが提供されるようになってくると、企業の側には何が残るのか。物流からサービス設計から何から何まで受けようと思えば出来るのが昨今である。残った部分が個別企業のアイデンティティであり、競争資源になっていくはずなので、気になっている。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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