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知識経済における経験曲線

2004/10/20 22:23
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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日々Blogを読み書きしていると、時々「これは当たりだな」と思える資料に出会うことがある。近しいところで、先日「インターネットは80対20の法則を越える」で間接的にご紹介した「The Long Tail」なんかがそうである。他、梅田さんご本人ともやりとりしたのだが、昨日「「ソーシャルソフトウェア」の新しさ」にて紹介されている、「Tracing the Evolution of Social Software」もそうだろう。

こういったエントリがさらっと普通に置いてあることはしばしばあり、米国のBlog界の厚みの凄さを思い知る。

今日のも、さらっと書かれているが、もしかしたら同様の位置づけで受け止めても良いかもしれないものとなる。ベリタスの産みの親であるMark Leslieの書いた「The Sales Learning Curve」。経験曲線の概念を組織学習に応用させている。センゲや野中教授を始め、組織学習についての研究は多数為されているので、新概念というものでもないだろうが、面白い。
 
 
そもそもの経験曲線
 
元概念である製造業での経験曲線を引きつつ、Sales分野への転用が定義づけられている。

This method of establishing a sales force is called the sales learning curve (SLC). It's a concept adapted from the manufacturing learning curve (MLC), which is widely accepted in the manufacturing sector. The MLC states that the cost to produce the early units of a new product normally is high, but over time, as the production team learns how to optimize manufacturing and wring-out costs, volume increases and per-unit product costs decline sharply.

経験曲線とは、累積の生産量が増えるに従って単位当たりの生産コストが下がっていくという現象である。規模の経済と組み合わせてコスト競争力の源泉として認識されている。

Salesに応用させる。

When we apply the MLC to sales, we come to the following conclusion: The time it takes to achieve cash flow breakeven is reasonably independent of sales force staffing. It is, instead, entirely dependent on how well and how quickly the entire organization learns what it takes to sell the product or service while incorporating customer feedback into the product itself. Because the entire organization has to come up to speed, hiring a large initial sales staff does not speed up the time to breakeven, it simply consumes cash more quickly.

なるほどな、というのはむやみと規模を追求しても学習効率が上がらないという指摘である。製造業では、その先のコストダウンを見越して当初はスレスレor赤字で大規模投資をするという話は珍しくないが、むしろ逆に小さいチームで始めることを薦めている。バックボーンは「人月の神話」と同じだろう。

Let's say it adheres to the SLC. When should it start expanding the sales force? Keeping in mind that the slope of the SLC varies depending on the product being sold, a good starting place would be to wait until the initial sales team is generating a marginal contribution of two times the cost of a field sales rep. While data points in sales tend to be scarcer than in manufacturing, this is a reliable indicator that you've started to climb the sales learning curve.

プロセスと理由の詳細な説明はなく、結論をシンプルに提示しているが、文の運びからして、恐らくキャズム論あたりでサポートするとより見えやすくなる。

モデル的に整理すると、
 ・小さいチームで始める
 ・分析力の長けた構成にする
 ・代理店の二倍程度のマージンを内部チームの基準とする
となる。
 
 
先行者利益の源泉

Ross Mayfieldはこのモデルを先行者利益の本源としている。 

What I like about Mark's model is it centers on organizational learning, what I believe to be the real first mover advantage. Its more than just being first, but having lightweight processes the drive iteration with customers. She who iterates early and often wins.

キーはスムーズな学習プロセスの確立。最近伸びつつあるコミュニケーションツールで支援するのも一つだろう。

When we engage our agile planning process, sometimes directly with customers, we can draw upon these interactions and insights with ease. We have also taken the agile methodology to task, iterating in small monthly cycles with continous requirements gathering, planning, testing and analysis. And our customers seem to like it that way.

サイクルを早めるのがポイントであるのであれば、ツール的に(ツールそのものが本質でないケースがあることは念のため記した上で)支援するのも一つである。マネジメント論的な読み方が一つ。グループウェアやソーシャルソフトと呼ばれる分野との関連を考えてみるのも面白い。

数十行ほどのコンパクトな論だが、企業成長の理論と読むとスタートアップの成長限界の一つを上手い具合に示している。外部の投資家からしても、成長予測がどの程度のリアリティに基づいたものなのか判定したりとの応用もあるのではなかろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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