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HP、M&Aから二年過ぎて

2004/10/19 03:11
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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Knowledge@WhartonにM&A後二年(もう二年である)経ったHPのサマライズ記事「The H-P Compaq Merger Two Years Out: Still Waiting for the Upside」があった。

HPは潜在的投資対象として時折チェックしている。チェックの度合いは時折目に留まると見ている、という程度である。タイトルはまさに今の感覚を一言で言い当てられたような感じで素直に頷いてしまった。エントリしようというトリガーはこの頷きである。また、市場の成熟化と基本アーキテクチャーの変更可能性が高まることに伴ってのM&Aの増加がソフトウェアセクターで予想されることなどから、先行例としても面白い。大規模M&Aを行ったらこのご時世何が起きるのか、例えば、OracleとPeopleの組み合わせが実現したらどの程度のタイムスパンで何が起きるのか。

※アーキテクチャー変更の一つの見方として、梅田さんの「「キャズム」流、エンタープライズ市場の構造変化」にGeoffrey Mooreの考えが、「ビジョナリー・Tim O'Reillyの仕事術」から数回に渡ってTim O'Reillyの見方が紹介されている。
 
 
株価とトップの動向
 
まず、株価、即ち資本市場の総合評価とトップラインのみ復習してみたい。

Wall Street raised eyebrows about the wisdom of the consolidation as soon as plans for it were disclosed three years ago. On Sept. 4, 2001, the day that HP and Compaq announced the merger, H-P's stock closed at $18.87, down sharply from $23.21 the previous trading day.

M&Aの発表当時、市場はネガティブ評価を下した。その後の株価の推移を見ると、20ドル前後を行ったり来たりという状態が続いている。また象徴的な出来事として

In what may be another sign of the times, Fortune magazine's just-released list of the 50 most powerful women in American business gives the top slot to eBay CEO Meg Whitman. Fiorina had won that honor every year since the list was started in 1998.

Fortuneの女性経営者ランキングで、長年のトップの座をeBayのMeg Whitmanに譲ることとなった。

創業者一族からの反対など、紆余曲折の末に経ているM&Aだが、さっくりまとめると、「ぱっとしない」というのが(市場の)外部評価となっている。参考までにIBMとの相対比較DELLとの相対比較でも今ひとつ伸びがしっかりとしていない様子がはっきり出ている。

"That's one reason the stock has not done so well over the last two years. People haven't seen the upside."

投資対象としてのアップサイド要因は見出されていない。
 
 
今後の望み

では、今後望みは無いのかと問われると、そうは取らないのが、Saikat Chaudhuriの見方である。

"The merger is on track and is proceeding much better than expected," says Chaudhuri. He views the acquisition of Compaq as just one "building block" in Fiorina's attempt at a long-term transformation of HP. "It's not just about HP buying Compaq; it's about a systematic renewal of Hewlett-Packard."

まだまだやることはたくさんあり、HPの建て直しの長い過程の一部がコンパックの買収という風に考えられる、と。

当時の状況を振り返ると、HPはプリンタ事業が非常に強く、今でも十分な競争力を持っている(ただ、将来的には微妙なシナリオも描ける)。

"If you think about it, H-P at the time was pretty strong on the consumer side but didn't have an adequate presence on the corporate side. So when Carly Fiorina came in she focused on why some areas weren't growing."

法人市場での存在感というと、IBM、シスコ、DELL、EMC、アクセンチュアなどが存在して今ひとつ存在感に欠けていた。この部分を補うためのコンパック買収というのがChaudhuriの意見となる。

統合後、製品、サービスラインの整理は次々と進められていた。事業リストラクチャリングとして大きな手落ちがあるとは言いにくい。しかし、統合してコストを落とした後の道が今ひとつ描ききれていない。

"It's still a big, ungainly place. What is their positioning in the market? I think there's some ambiguity about that. People aren't sure what the brand stands for and how all this stuff fits together."

一言で書くとブランドの問題。もう少し分解すると、戦略のクリアさ。真っ向勝負となるIBMに比して、オンデマント/アダプティブの世界での成長イメージを描ききれていない感がある。個別のパーツではなく、全体図が上手く伝わっていない。
 
 
分割圧力
 
こういう状態で、内部に収益率の異なる事業ラインが並存していると分割の圧力がかかる。巨大ハイテク企業の分割論で、状況的には今のHPと似ていたのがガースナー就任時のIBMであり、その後の展開はよく知られる通りである。後段にはその昔のIBMとの比較論も展開されている。

If Carly's going to make this thing work, she's going to have to do something like Gerstner did

同じ道を志すなら、IBMと同じことをするのが手っ取り早い。顧客中心での組織の括りなおしなど、当時のIBMが何をやったか、100%同じでなくとも、何がしか似たようなアプローチは可能となる。完全に同じではないが、二社を比べてみるのも面白い。
 
 
というところで、外部の意見も定まっていないあたりにも現状が良く出ている。まだ何かやる余地はありそうであり、かつ足りてない感が感じられ、間違いなくこれというほど特定の道が示されている訳でもない。よって、外から意見も百花繚乱となる。細かくは割愛したが、原文の識者コメントは足並みが揃っていない。

明確な投資タイミングとするなら、方針にすっきり感が出てきたところだろう。実にアナログかつ主観の混じる基準であるが、結構外れない。売上、キャッシュの動向も実は悪くないので、行けるという判断を周りがすればポテンシャルを全て吐き出して上手く回り始めていくことだろう。好意的に見れば力を溜めているところになる。きっかけさえ掴めばお客さんも安心して株も製品も買っていくはずである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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