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インターネットは80対20の法則を越える

2004/10/07 01:53
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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情報の流れが変わることは消費が変わることだ、という切り口のエントリを過去何度かしている。例えば、「情報の分化/消費の分化」、「使い捨て経済」などがそうである。

似たような切り口で、よく言われる80対20の法則が当てはまらない例が増えているのでは、という指摘がVentureBlogの「The Internet And the Death Of 80/20」でされている。ウェブのビジネスの一面を上手く捉えているのでご紹介したい。
 
 
80対20の法則

有名なので詳述の必要はないと思われるが、念のため80対20の法則のおさらいを簡単に。

The 80/20 rule is a rule of thumb every startup should know. We used to use it in consulting when reorganizing sales forces - 80% of your sales would usually be from 20% of your customers. Of course, it was never precisely the way it worked, but it was usually close because it is the nature of power laws.

よく言われるのは、売り上げの8割は2割からもたらされるというCRMの世界でもよく引用される言い回しである。満遍なく売る努力をするよりも、ここぞというターゲットを絞って営業活動を行う方が効率が良いという話に繋がってゆく。絶対法則ではないが、近しい値に落ち着くことが多いためにスタートアップ、ベンチャーは理解しておくべき、とKevin Lawsは説く。
 
 
音楽業界
 
音楽業界も法則が当てはまってきた業界である。

In music, for example, Britney, Santana, Madonna and a few others represent the very few artists (well, more like 1%) that account for huge sales. However, there are literally hundreds of thousands of smaller artists that have tiny sales. Historically, these artists have never been carried in record shops (except maybe one or two local ones), were not featured on top radio stations, and were never promoted on big concert tours. Since they were in the tail and record companies were following the 80/20 rule, they never got exposure and a chance to increase their sales. The real world "chopped them off" of the long tail, since a record store only carries thousands of titles, not hundreds of thousands.

先日結婚の報が伝えられたブリトニー・スピアーズ、サンタナ、マドンナなど一部の大物アーティストが売り上げの大半を稼ぎ出す。この理由は、レコードショップの店舗面積とラジオの放送時間が有限なため、ある程度以上有名でないとかけてもらえない置いてもらえないという二重苦で、ある程度以上の知名度がないと、販売機会が極度に制限されてしまっていたことによる。

インターネット上の例えばiTuneなどの大量の楽曲のアーカイブが納められているサイトは放送時間という概念がないので、アーティストへの接触可能性はフラットに近づく。流通上の制限もサーバーと帯域くらいになるので、アーティストごとの差は少なくなる。80対20の法則を維持してきた力学は支えを失う。

In hindsight this is completely obvious -- of course you are in competition with every single bookstore in the nation to sell Clinton's "My Life", but if you want Gerd Gehringers "The Adaptive Toolbox", there's only one place to go: the Internet. Chris cites numerous examples in his article: over 50% of Amazon's media profits come from sales past the top 100,000 titles. More than 50% of Rhapsody's business is streaming songs past the top 10,000 tracks.

クリントンの「マイライフ」を買うには、本屋に行けばよい。が、マイナーになればなるほど売り場はオンラインしかなくなる。結果、Amazonの売り上げの50%は上位十万タイトルから生み出されるといった現象が発生する。

こうした法則後の世界では、プロモーションツールも変化するだろうという指摘がある。

Once they started focusing on the long tail, new recommendation tools appeared. They helped "push you down the tail" by bringing little known artists to your attention when you purchased the big guys.

リスティング広告やレコメンデーションエンジンが当てはまるだろうが、別項の話である。
 
 
インターネットビジネスの成功法則
 
話を続ける。本原則を冷静に見直すと、インターネットビジネスの成功法則そのものではないかと続く。

It's not just media. Once you start to think of the world in those terms, it is clear that most of the successful Internet companies fall into exactly that category: business models aggregating the untapped tail.

今まで見過ごされてきた大多数の80から収益を上げうるモデルを作り上げたものこそがインターネットの世界で優れた結果を残している。

Amazon makes most of their profit from the tail - they receive a higher margin because they don't have competition in that area.

Amazonは上記で既出になる。

Ebay does nothing but aggregate all of the tiny, single lot size items that were not being sold at all (or just through local classifieds).

小さいものをかき集めると言われたら筆頭に出てくるのがeBayだろう。お手本のような企業である。

Google and Overture are aggregating all of the advertising spending that was not happening because it could not be targeted well enough. Coke doesn't go there in a big way, but Riley's Trick Shop in Worth, IL can target you if you're looking for vampire teeth.

サーチワード広告もこれまでの広告の常識を打ち破る価格構造を持っている。ユーザーの情報需要に的確に応えられるというという効果面のインパクトも大きいが、数セント数円から始まる価格体系は既存の媒体ではあまりない(チラシ一枚いくらとかは近しい世界だが)。

その他挙げられている最近の事例、CafePress、Technorati、Six Apartはいずれも法則後の世界の住人である。インターネットとは、本質は何かと問われたら、指摘しても良い基本則と言えよう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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