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都市内Wi-Fiホットゾーンは公共サービスとなるのか

2004/09/08 07:29
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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Philadelphiaで町中を無線LANのホットスポットで覆ってしまおうというプロジェクトが動いている。ここまで来るとスポットではなくゾーン、ホットゾーンと表現するらしい。本国CNETの「City of Brotherly Love may embrace Wi-Fi」より。

Dianah Neff, the city's chief information officer, held a last-minute press conference on Wednesday, at which she said she is accepting proposals from companies interested in setting up Wi-Fi equipment in Philadelphia. The project would make Internet service available to people with computers equipped to use the Wi-Fi standard for wireless Internet connectivity.

プロジェクトは市のCIO(市にCIOポジションがあるのもちょっとした驚きである)、Dianah Neffを中心に協賛企業を力を借りて進められている。

プロジェクトの目標は、公共サービスの質の向上もさることながら、

"This would be part of the mayor's efforts to further develop the city," Neff said. "About 200 communities across the United States are looking to use this technology. We would be the first major city to start the planning from a citywide perspective."

全米各地で類似の試みを検討している200程の自治体の先行事例となること。上手く行けば、本プロジェクトの知見を移転する形で全米各地に巨大なWi-Fiネットワークが構築されていくことになるかもしれない。

目を引く点は、もちろん対象エリアが街全体であること。その辺のベンチ座ってでも、公園の芝生に寝転がってでも、近くのカフェでお茶しているときでも(そして、そのカフェにネットワーク機器がなかったとしても)、遮蔽物のない限りはネットワークにアクセス出来ることにある。

Wireless networks have been popping up in isolated areas, such as airports, train stations and coffee shops, throughout cities. Efforts such as Philadelphia's would make service available throughout its cities.

個別個別のエリアでのWi-Fiサービスは日本でももちろんある。例えば、NTTcomが運営しているサイト、【HOTSPOT】を覗くと、カフェ、レストラン、ホテル、空港、図書館など対応したホットスポットを検索することが出来る。これはこれで結構便利であり、時々お世話になっている。しかし、利用が「点」でしかないことから、多少遅くてもPHSのデータ通信にどうしても目が行ってしまう。数年来の努力にも関わらず、さほど普及が進んでいなかったのは、隣にある携帯電話/PHSに移動性の基準値が置かれていたためだろう。ホットスポットを探して、かつ申し込み手続きをして、となるとちょっと面倒である。

さて、問題どの程度のコストがかかるのかというところ。この手のものは多少便利でも割高であれば普及しない。

Neff is looking to have Wi-Fi equipment set up on light poles and mentioned the use of open-source software to keep down the costs for installing and using the technology and service. Neff estimates costs to be around $10 million to set up networks and about $1.5 million a year to support and maintain. The service would only be made available if it proved to be cost neutral, she added.

オープンソースソフトも採用してざっと$10 million。ランニング費用が年間$1.5 million。絶対額では分からないので利用者平均をA VCの「Should WiFi Be Public Infrastructure?」から引くと、

There were 1.5 million people in Philly in the 2000 census. So for about $2.67 per person per year, everyone can have free WiFi in the City of Brotherly Love.

2.67ドル。日本円換算で300円ほど。実に安い。続いて、

I bet that the city can figure out how to make this work without taxing its citizens. The sponsorship opportunities alone should make this a profitable venture.

と、このコスト構造なら、税金を用いずともスポンサーを募る広告型ビジネスで成立するだろうと指摘している。行政側が提供するのか、何らかのベンチャーが出てくるのかは分からない。しかし、上手くことが運べば都市部でのWi-Fiは公共インフラとしてみんな自由に使えるものになりうる。

気になるのはTechnology Futuristで指摘されていたこの一言。

Either way, Neff assures that a fee would cost significantly less than what is currently charged for DSL or cable broadband.

DSL、ケーブルよりもコスト構造が低いとなると、時が経てば代替されると考えるのが自然である。普通水は高いところから低いところに流れる。既存の事業者にとっては頭の痛い話かもしれない。

さて、応用的にもう一つ。

アジア各国で固定電話のインフラよりもPHSのインフラを先に整えにかかっているところがある。回線をあちこちに張るよりも基地局を作った方が初期コストがかからないというのがその理由である。Wi-Fiも同じようなシナリオに載る気配はあちこちで指摘されており、日米欧など既存のインフラがあるところよりもむしろスムーズに普及しそうなケースも見かける。基幹の光回線+Wi-Fiネットワークに音声からデータ通信までIPベースでいきなり作りこんでしまう国が出てきてもおかしくない気配である。

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全然話は変わるのだがA VCのコメント欄を読んでいると、16歳で起業したBen Casnochaという人が普通にコメントしていた。飛び先のエントリは「Cities, Not Companies, Must Run Hotspots」。企業ではなくて、行政が提供した方がいいのでは?という議論のエントリだが、そんなことよりも16歳で普通にこうしてWi-Fi普及のシナリオについて議論している事実の方が面白い。若い起業家は珍しくなくなっているとはいえ、こうしてリアルに出会うとちょっとした衝撃を受ける。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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