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広告チャネルとなるRSSフィード:ライフメディアセミナーに参加して

2004/08/25 02:29
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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RSSがそのうち、広告配信チャネルとして注目されていくだろうという話は以前まとめた通りである。これは別に予言でもなんでもなく、ユーザーが利便性を感じて使い始めればチャネルとして注目されるという実にシンプルな話である。

海外でも事例が出つつあるが、日本でも富士通の関連会社、Niftyの兄弟会社にあたる株式会社ライフメディアから対応したマーケティングサポートサービスがリリースされるということで紹介も兼ねて開催されたセミナー、「RSSから始まる!次世代インターネットマーケティング」に参加してきた。

前半はNiftyでココログの運営スタッフとして、また最近は『Blog Hacks』の著者としても知られている伊藤直也氏によるRSSの市場と利用動向について、後半はライフメディア代表の鎌倉章氏によるサービス紹介のプレゼンテーションで構成されていた。
 
 
◆第一部:伊藤直也氏
 
RSSの技術的なおさらい、Blogを中心としての普及状況、採用事例など普段つぶさに調べている身としては目新しい話は無かったものの、メールマガジンとの比較がまとまりが良かったのでご紹介したい。

ざっと比較を引用すると、

◇メルマガ

表現力:プレインテキスト、乏しい

新着配信:メール

振り分けの手間:ソフトで振り分け設定、面倒

入退会方法:システム毎に異なる、面倒

ウェブサイトへの誘導手段:ウェブURLをクリックさせるのは難しい

リーダー:一般的なメーラーが使えるので障壁が低い。ただしスパム被害大

◇Blog+RSS

表現力:HTMLにより柔軟な表現が可能

新着配信:RSS

振り分けの手間:RSSリーダーがサイト毎に振り分け

入退会方法:登録簡単、退会は削除するだけ

ウェブサイトへの誘導手段:RSSはウェブありきの仕組みであるため、概要の編集次第で比較的楽にサイトを訪れてもらえる。

リーダー:RSSリーダーはまだEarly Adopter向けのツール。障壁高。ただしスパムフリー。

というところで、おそらくこの比較はテック度の高いユーザーの方々が感じてらっしゃる皮膚感覚にかなり近いのではないだろうか。メーラーが死につつあって不便を感じる裏側でRSSリーダーが日々進化して利用時間シェアに変化が出てきている状況が上手くまとめられている。

また、当然の話として、RSSリーダーは一般普及していないため、現時点ではマニア向けのツールとなっている。アップルのSafariに続いてマイクロソフトもLonghornでRSS対応する計画を持っているため、OSやブラウザと標準セットされるような形で徐々に普及していくことだろう。それまでは、各サービス提供者それぞれ、サービス準備と市場投入タイミングの見切りと合わせて事業キャッシュフローでピリピリする日々となるに違いない。
 
 
◆第二部:ライフメディア鎌倉代表
 
ココログのリリース数日後にBlogを開始され、当初よりBlog/RSSはビジネスにも繋がるオーラを感じてらっしゃったとのこと。以下、セミナーの内容をサマライズしつつ。

HitSat(ヒットサット)でのフロー事例
「ブログ」「Blog」という単語は2003年8月くらいからと話題に上がりはじめており、2004年3月から、冬ソナと同じくらいのタイミングで話題に上る率が高くなり、「次に流行るもの」という扱いになりつつある。
※HitSatの説明についてはこちら

Blogはネット社会の名刺
Blog登場でウェブの世界で起きたのは個人が顕在化したことと、リンクの間に人間関係のある、DryではなくWetな情報評価が行われていることの二点。個人としてはネットワーク社会に入るときに自分が何者であるのかをパブリックに表現出来るツールであり、ネットワークに参加しての情報発信が個々に積み重なっていくと情報のフロー、ユーザー行動がマクロレベルでも変わることとなる。

Emailの環境変化
メールは普及と共に、流量が増え、特にSpamの増加によりチャネルとしての機能が失われている。対応して出てきているフィルタリング技術の進化により、送信側からすると届いているようには見えるが実際は目にも触れていないという状況は珍しくない。こうなると、コミュニケーションチャネルとしては弱い。

よって
 ・情報配信、DMはリーダー
 ・コミュニケーション、対話はメール
という使い分けが一つ考えられる。端的に、メールマーケティングはBlog/RSSに代替されていく方向で再構成されていくことだろう。オプトインやOneToOneのコミュニケーションまでRSS対応していくと考えられる。

RSSを使いこなせるユーザー
マーケティング価値が高い。フィードを登録するとサイトを継続的にサイトを参照する率が高いことから、ロイヤリティが醸成されやすい。

生活者がやること
これらの技術が普及することで、生活者は結局のところ何が変わるのか。ユーザーがやることはシンプルである、好きな人・大切な人と簡単な形でコミュニケーションを行える、好きな店、大切な商品などとの繋がりを手間隙かけずに行える。例えば、コミュニケーション分野は言うに及ばず、自分の好きなブランドについての情報収集やお知らせの受け取りをしやすくなっていく。

以上、簡単ではあるがポイントになるところを抜粋してみた。

RSSをチャネルとすることで、インターネットマーケティングで良く言われる「属性が偏っている」という指摘はしばらく付きまとうだろう。親ガメとなるインターネット、子ガメとなるRSSチャネルと二段の絞込みが入ってしまうために当面は如何に普及させていくのかがポイントにならざるを得ない。
 
 
◆第二部:ポイントダイジェストのアーキテクチャー
 
さて、実装である。実際のサービスとなるポイントダイジェストがどのような全体設計になっているのか。

まず、RSSリーダーが前提となり、RSSへのRDF登録をす必要があるため、iMiネットのオプションサービスとして開始するとのこと。不慣れなユーザーへの対応するために、iMiTickerという独自のRSSリーダーをダウンロード可能にしている。普及を目指して「RSSリーダーコンテスト」の開催を予定されているそうである。

登録の済んだユーザーは個々人専用にRSSが配信され、専用ページへの誘導が行われる。この後はアンケートサイトと変わらない。既存サービスとの違いは配信と告知の部分であり、ユーザビリティ向上が変化ポイントとなる。

メディアサイトの汎用RSSと異なるのは、それぞれのユーザーごとにカスタマイズされたフィードが生成されることになる。この点、一種の個人情報と考えるのであれば、そのうちセキュリティの問題にぶつかることだろう。この点について、質問をしてみると、サイトの必要な箇所にパスワードロックをかけることとユーザー側への啓蒙と両面から丁寧に埋めていくつもりだとのこと。

一覧記事の部分には、パスワード認証も用意しております。
広告は単発のモノで個人情報にまったく関係ないですし、広告を見るのに毎回認証をすることになると邪魔なため、各広告を表示する部分には、ガードがなく、一覧表示をするところで、パスワードをかけております。

このあたり、クライアント側が情報管理を望む場合などが予想され、実装にも随時手が加えられていくのだろう。

というところで、まだまだこれからであるが、メジャープレイヤーの参入により思ったより早く市場が立ち上がって行きそうな勢いである。トリガーの一つが、代表鎌倉氏のBlog体験から来ているというのが実に今日的で面白い。

おまけ:
セミナーで講演されたNiftyココログの伊藤直也さんに終わったあとお話を伺うことが出来た。上では触れなかったがNDO::Weblog を書かれている。

◆Niftyがココログを始めた経緯、その中での自分の関わりはどのようなものだったのでしょう?

Niftyのホームページサービスを担当していたころ、日記ツールがちょっと古くなっていたので何か新しいものを模索していました。初期はtDiaryをイメージしていたのですが、そのうちBlogが米国で普及し始めてこれは面白いのではないかと考えるようになり、ネオテニーのサイト再構築の数ヶ月後くらい、ココログの去年の6月くらい社内提案に結びついていきました。古河社長のBlogにある「Tシャツを着た若者2,3人」は私も混じっています。

◆Typepadを選択したのは?

立ち上げまでのスピード。ファーストムーバーが勝ちに繋がるだろうということから、自分達で作ることよりもリリースまでの最短距離を目指しました。また、せっかくであれば良いものを採用しようということもあり、既にデファクトとなりつつあったMT、Typepadを採用する方針となりました。この頃社内の別の部門でも何かやろうという話で同様の企画が出来つつあり、どうせならまとめて一つのプロジェクトにしてしまおうということで、とんとん拍子で社長まで通ってしまったのですが、社内でも非常に珍しいトップダウンで一気にプロジェクトを進めたケースといえます。
 
リリース前の準備として、ココログ用にプログラムに手を入れている期間は実質一ヶ月くらいでした。
 
 
◆『Blog Hacks』の経緯

GoogleのPyra買収の頃、MTをツールとして色々と試していました。試した結果をBlog上で公開しているうちに宮川さんからメッセンジャーが届き、そのままやり取りをするようになり、ある日「Blogの本を出そうと思っているのだけど目次とか構成を見てくれない?」との話が来て気がついたら共同執筆という話に。自然とここまで来た感じです。
 
 
◆ウェブログは今後どうなっていくのか

セミナーのプレゼンでも触れましたが、今後はサイトを作るということとBlogを作るということが代わりが無くなっていき、BlogでなくともCMSツールを用いてサイトを構築することがより普通の出来事になっていくのだろうと思います。実際、ココログに対して法人様からの問い合わせも多数受けています。

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楽天田中さんやライブドア宮川さんとの繋がりなどやや内輪な話も交えつつ、結構な時間話し込んでいたが、技術の素養もありつつバランスの取れた状態で物事を見ている印象を強く受けた。キャズム論について持ちかけてみると「どちらかというと技術そのものではなく、技術がどうやって普及するか、技術を知らない人がどうやったら使いやすくなるかの方に興味がある」とのことで、谷を越えるときに必要となる製品/サービス自体の変化を担える人はこういうタイプの人なのだろう。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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