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IT投資の質的変化(1)

2004/08/13 11:41
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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夏休みだからか、どうも宿題を溜め気味の小学生のようになってしまっているが、まずは前回自主宿題とした「How IT spending is changing 」より。元はMcKinsey Quarterlyの資料となる。定量情報には触れられておらず、定性情報でほとんど占められている。Howは”どれだけ”ではなく”どのように”の方である。
  
 
底打ちしたハイテク市場
 
バブル崩壊以降のテック市場の底打ちの様子のイメージはナスダックのインデックスを見ると分かりやすい。2002年の10月頃に底打ちをしてじわじわと回復期に入って現在に至っている。IT投資を含んだ企業の設備投資が経済を牽引し始め、という動きも概ねこの底打ち後のような動きになっている。市場関係者の発言もほっとしたものからbullishなものまで混じり始めたのが、この回復過程だった。そこで、ようやく長いトンネルを抜けたかに見えるハイテクセクターだが、単なる景気回復ではなく、構造変化も伴っているというのがマッキンゼーの見方となる。先に結論部分を見ると、

Companies that sell technology gear, code and services must deal with the new realities while the sector is being restructured. A long-overdue shakeout is beginning as industry leaders acquire and make alliances with smaller players that could help them gain scale or scope.

前半はともかくとして、後半は緩やかな寡占化を指摘している。中でも、

We expect that large tech players, whose sales teams have good access to clients, will become the centers of gravity. In the past, hardware vendors often had to strike deals with software companies to gain access to their clients. Now the balance may be shifting in the other direction. In either case, smaller players will need to make alliances with the market leaders, not least because customers say that they want to deal with fewer vendors.

セールスの強い会社が鍵を握るのだと。ソフトセクター偏重の状態からシフトが起きているのかも、というのはセクターの成熟化の話以外も含んでいる様子。細かい話になるが、OracleとPeapleのM&A後の鍵はセールスではなく、顧客の業務と要望が分かるSE/コンサルタントにあるというどこかのCEOのコメントを読んだ記憶がある。矛盾して響く話が気になるので、実態がより深く分かればまたまとめたい。
 
 
回復するハード、置き去りにされるソフト
 
本題の前に需要の中身について触れられているのでピックアップ。

CIOs have delayed upgrades and new projects for too long; PC hardware, for instance, has now been around for nearly four years--longer than at any time since the mid-1980s. CIOs are eager to buy new PCs and servers, to improve security and reliability, and to develop custom applications that meet specific business needs.

まず、ハード投資が目立っている。2000年問題でサイクルが一部強制的にずれていたことも考慮すると、2003年から2004年はサーバーはともかく、PCはそろそろ入れ替えが行われる。また、昨今主要テーマとなっているセキュリティ問題はネットワーク系を中心にハードからの入れ替えが発生するので、サーバーから現行アプリの見直し、セキュリティホールの穴埋めなど一見地味だが着実なところが需要を生んでいる。アプリケーションのライセンスが新しく出ていないという話ともここは合致する。
※セキュリティやIDの問題はJohn Patrickが主テーマとして追っている。

意思決定過程については
・相見積もり、コンペが常態化している=価格下落圧力がかかる(apply request-for-proposal processes and seek competitive bids)
・ビジネスサイドの部署が投資効果に目を光らせるようになっている( strategists and business managers have more control over complex IT investments and demand a stronger business case for them.)
と、マージンを得にくくなっている。

まとめると、

Technology companies must understand the nature of this limited opportunity and make tactical shifts in their sales models, products and long-term acquisition plans. Hardware is in demand, and companies that make it should use the extra revenue to extend their reach into higher-margin software and service businesses or to extend their lead in hardware markets. Packaged application software, by contrast, isn't high on the shopping lists of most CIOs, who bought it in the late 1990s and, in many cases, got burned.

ハードウェアは確かに売れている。しかし、よりマージンを高めようとハード企業がソフトに手を伸ばしてもそう売れるものではない(EMCがいまいちぱっとしない印象なのはこのロジックか)。顧客側はパッケージアプリにさほど興味を示していないということ。この論文が指摘しているのも2000年以前の市場とは質が異なるということ、そしてまたもやアプリケーションソフトの需要は弱いという点である。

残りは再度改めてにしたいが、この論文、短くコンパクトなものだがSIerの方々にとっては結構他人事とは言えない内容になるのではなかろうか。当事者の方々の意見を伺ってみたいところである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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