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Decentralization時代の組織ガバナンスのありようとは

2004/08/04 00:20
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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世の中全体が分散化に進むと同時に、組織内もdecentralizationが起きるだろう、働き方というのは変わっていくのではないかという議論は米国では結構真剣に交わされている。

FORTUNEのカンファレンス、BRAINSTORM 2004にても案の定、WeblogとWikiと virtualizationの時代に組織はどうあるべきか喧々諤々と話されている。レポート記事、「Will Every Company Be Like eBay?」より。

パネルの参加者はMITの教授にて「The Future of Work」の著者Tom Malone、GMのCTOであるTony Scott、インドのソフトウェア企業WiproのCEoであるVivek Paul、そしてSUNのJonathan Schwartz、Strategic News ServiceのMark Andersonと実に豪華。Tom Malone、Tony Scottは最近記事や資料で良く見かける。

話の前半は

Malone: We're in the early stages of a change toward more human freedom in business. It may in the long run be as important as the change to democracy was for government.

ビジネスの世界で民主化が進んでおり、

Scott: At GM, instead of the traditional top-down hierarchy, what we have today is a process-oriented architecture.

GMは組織を変え、

Schwartz: We had a pretty interesting change in our HR strategies at Sun recently. We allowed blogging for 100% of the workforce.

SUNは従業員がBlogを個々に書き始めて社内でも社外でも対話を始めたという昨今の動きの良いサマリになっている。

なるほどという指摘はSUNのSchwartzより。

There is no more distinction anymore between the Intranet and the Extranet. It's just the Net.

ネットワークにもはや内も外も無く、ただ単に「ネット」と呼ぶべきものになっていると。下記でeBayのMeg Whitmanのコメントにも同じ雰囲気が感じ取れるが、中と外との境界は場合によっては酷く曖昧になっている。GMにしてもサプライヤーとの業務分担を考えるとどこまでが自社かというのは分かりにくいところがあるだろう。

さて。
この手の話で気になっていたのは、公開企業の義務についてである。銀行はともかくとして、資本市場から資金を集めている以上は投資家に対しての約束を果たす必要がある。これは当然トップマネジメントチームの責任になるが、脱中心化の議論とどうかみ合わせればよいのか。

ポイントとなるやり取りは最後に出てくる。

Jim Breyer [a venture capitalist from Accel Partners, from audience]: My comment is related to my role as board member at Wal-Mart. Even if decentralization and localization is the right business ethic and strategy, corporate boards and CEOs need to sign off on financial statements. Sarbanes-Oxley [the congressional act that requires companies to document their actions much more carefully] has pushed it the other way. It forces boards and CEOs to take much more of a command-and-control perspective, when in fact a decentralized perspective is the right way to build a business.

ベンチャーキャピタリストのJim Breyerが会場から投げた質問になるが、資本市場に株式公開して会計ルールと投資家期待を背負って動いているとなると、説明責任と事業目標達成のプレッシャー、計画性が求められる。つまり、ある一定期間に決まった成果を挙げなければならない。となると、必然、組織内部にも「これだけはこなすように」というお達しが出される。上意下達が発生し、分権化を推し進めるべしという昨今の議論と真っ向対立する。

これに対して、eBayのMeg Whitmanはこう答える。

Whitman: I play two roles in eBay. One is sort of an elected political role of the marketplace. The marketplace is very democratized and self-organizing. It is the R&D lab. We have a phrase regarding the marketplace: "Enable, don't direct." But the company itself is not as democratized.

二つの役割を担っている。まず、マーケットプレイスから、つまりはオークション取引に参加する人達から選出された運営者の役割。「don't direct」とあるように、こちらは自由にコントロールが出来る訳ではない。もう一つは企業コミュニティの中で選ばれたトップとしての役割。こちらは、取引市場ほど民主化が進んでいる訳ではない。公開企業であり、そもそも特定の目的をもって運営されている企業体である以上100%民主的な仕組みはないだろう。

他方、分権化が進んだ事例としてGoogleを挙げる。

Google, on the other hand, is a self-organizing company, to a large degree. We're gonna see how well that works. I would be somewhat concerned, with the scale of eBay, whether we could actually run the company like we run the marketplace. The values that run the marketplace and the company are the same. But to Jim's point, it's not completely self-organized internally as yet.

Googleが末端では自由に好き勝手に、かつ統率の取れた形で動いているというのは良く知られている。しかし、問題は企業の組織規模が大きくなると動きを揃えるために決め事や権限設計が増えてくることである。eBayの提供価値は結局、オークション取引、市場が好きに動いている量によって決まる市場依存型の構造になっているが、組織までそうはならない、出来ないというのが現状となっている。

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本題ではないが、印象に残った一文。

Anderson threw in some cautionary words urging everybody else to avoid becoming too utopian.

新しく何かが出てくる際、ユートピア思想かのような万能のイメージを持って語られることがある。初期のインターネット典型例である。その後、ハイプカーブに入り本格普及するかどうかが試されるわけだが、テクノロジーそのものは本質変化するわけではない。

読むときも書くときも適切にバランスを取って綴りたい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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