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ハリウッドを救う三つの指針

2004/07/27 23:40
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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歴史は繰り返す、と言いたくなるのがハリウッドの状況だ。音楽業界がぶつかったコンテンツ管理の問題が少々形を変えてハリウッドを襲っている。歴史に学べるのか、どうすれば問題をクリア出来るのか。ハリウッドを救出することが出来るのか。Due Diligenceのエントリ「How To Save Hollywood」を補助線に。
 
ちなみに、書いたのはTim Orenではなく、ゲストBloggerのKevin Laws。Tim Oren及び梅田さんの同業である。
 

同じ穴の

状況認識は一文に集約される。

It's not too late for the motion picture industry to avoid the music industry's fate

つまりは、音楽業界と同じ罠に嵌ってしまっている。だから、”救出”しなければならないという流れとなっている。

言わずもがなで音楽業界はネット経由のダウンロードに急速にシフトしている。店頭に行けばMP3プレイヤーの棚面積が着実に広まっており、iPodは飛ぶように売れている。iTuneの成功を見て各社積極的に市場参入している。これで普及しなければ世の中おかしいというくらいの勢いがついている。

ユーザーはネットワークからコンテンツを落としてフルデジタルで管理する経験を積みつつある。媒体が無いと買った気がしない、なんだか損した気分がするなどというネガティブなコメントは過去のものともなりつつある。つまり、

video reached the tipping point sooner than expected. Enough of the pieces have become "good enough" that video downloading is taking off, leading people to accelerate their efforts to get it from good enough to mass market.

回線と幾つかのハード条件さえ揃えば、一気に普及する素地が出来ているといえる。PPVで映画を見ることに慣れている人であれば更に障害は少なく感じることだろう。

需要サイドを見るとやる気満々なのだが供給サイドは何をしているのかと言うと、

The MPAA has learned nothing from the RIAA and is following the same failed path

対応出来ていない。映画(MPAA)は音楽(RIAA)の経験に学んでいない。コピーされまいと暗号化に走って今の産業構造を守ろうとしているが、暗号化はあっさり破られて状況は足踏みをしたままというところである。
 
 
三つの指針
 
肝心の救出方法だが、

The solution is obvious given the RIAA's experience. Guaranteed quality, complete catalog, and ease of use will make it possible for the studios to compete with free.

先例の倣え、の一言に尽きる。まっとうな品質で手軽にコンテンツが手に入るようにし、海賊版やアンダーでの流通を真正面から突破する。

ポイントを見て行きたい。

1:DivXの標準化を推し進める
原文はこの通り。

Work with DivX to incorporate digital rights management in the standard, no matter how imperfect.

フォーマット規格を問題化する業界に対して、「問題は規格ではない」とのメッセージ。コピー防止のサポートとしてハードウェア依存の形で

Users register "allowed" devices with a third party service and when they pay, it automatically downloads and installs keys that allow the device to play any specific video.

サードパーティを介在させる形態の仕様を提言しているが、あまり主張の本質的な部分ではないのは下記を読めば分かるところかと思う。

大事なのは、デジタルのコピーは一定量どうやっても出回ってしまうこと。

Free copies of the exact same movies will still be available for download because people will rip the DVDs, just like MP3s are available for almost any song downloaded from iTunes. People still download from iTunes, because as a mass market experience it is better. For those that value their time more than a few dollars, it will be the obvious choice.

コピーが出回りつつも正規のサービスが伸びている音楽業界を見ていると人々のニーズは明確に分かる。法を犯して、かつ面倒な手順を踏まずとも品質のいいコンテンツが手に入るのであれば、支払いは行われる。

2:全てを対象に
原題はシンプルに「Release everything.」。

If I can't get the Simpsons legally, I have that much more incentive to learn how to use illegal file-sharing services. Rather than staging things individually, just make the entire catalog available. It's still OK to wait until the theater or TV season ends, but it better be available online soon afterwards.

あまりにコンテンツが手に入らないと受け入れられない。シーズンの終了と同時にとなると、ぶつかるのはレンタルビデオの市場になる。シナリオ通り事が運んだ場合、Netflixあたりは進化を志向するのか踏みとどまるのか見ものである。

3:ユーザー経験を大事に
元は「Support the infrastructure.」。ベンダーサイド、目下反撃中のソニーも越え切れていないのがこの点となる。「アップルだから」といって購入するユーザーは良く見かけるが、「ソニーだから」といって購入するユーザーはさほど見かけない。理由を聞いてみると良く返ってくるのが「(曲を)落としても使いづらそうだから」という評価である。
※誤解を招きそうな表現となっているので追記。上記ソニーとアップルの比較はmp3プレイヤーを念頭に置いたものでブランド全体への評価ではありません。強いブランドを前提としつつ、全体ユーザービリティの差が購買の差に出ている事例として挙げています。

Once DivX supports some form of moderate DRM, Hollywood needs an iTunes-like experience for video. They should instantly make their entire catalog available to any service that wants to provide it on the same terms as DVD releases (minus the costs of physical distribution), spurring the same sort of innovation in that area as we've seen in music.

各コンテンツのリリースタイミングとリリース後の取り扱いの簡便さ。ユーザービリティが各領域で勝負のポイントとなる傾向が出ている。

と、読んで分かるとおり、技術の優劣云々ではなく、マーケティングこそが問題が核心であることが良く分かる。背景にはもちろん技術は必要だが、技術単品の話ではなく、どのようなサービスパッケージに落とし込むのかという事業デザインが問われることとなる。このポイントは昨日の「成功法則」への追記事項だろうか?

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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