お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

コンテンツがコモデティ化した世界で

2004/07/01 13:53
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
ブログ管理

最近のエントリー

昨日一昨日のメディア論的なテーマが頭に残って気になっている。Ross MayfieldがOur Realityというエントリで、情報がコモデティ化した後の世界像を描いて見せている。延長線上のテーマとなるので採りあげてみたい。

米国で大流行している(らしい、というのは話には聞いているが実感出来ているわけではないので、今ひとつピンと来ていない。しかし、番組表や宣伝を見ているとやたら見ることから大流行と言ってもいいところはあるだろう)Reality TVについて触れた後にベースの世界観についてこうまとめている。

Similar to Reality broadcast, networked Reality benefits from a low cost structure. Talent is a cheap as it comes. Blogs and media production tools like iLife come at the cheap. Part of the mass ametuerization of everything, intially publishing, is that low production and distribution costs increase the number of producers, which changes everything.

タレント安上がり、コンテンツ制作安上がり、流通配信も安上がり。結果、コンテンツと制作者は膨れ上がることになる。

ここでキーとなるのが視聴者=ユーザーの注意力「attention」の総量である。

For the networked industry, a different model is required for attention as high ratings only hold as a proxy for value when there is little choice.

一部翻訳でもしようかと思ってチャンスを逃してしまったIBMのメディア産業予測でも同様の結論に達している。限りある資源となる視聴者の注意を如何に引くか、この問題はこれまで以上にポイントとなってゆく。

適用される基本法則はMetcalfe's law、メカトーフの法則。モデルとしては不備があるそうだがやや曖昧に「ネットワークの力は端末数の2乗に比例する」と理解されている基本則である。コンテンツの生成から消費までの過程はこう描写されている。

Unlike broadcast, amateur producers are motivated by more than ratings/ad dollars. They can monetize, if they so seek, in a multitude of ways. But not at scale, yet, nor do they need to in most cases. Incentives lie for production for niche and transitive audiences instead of mass audiences. Networked Reality's incentives for production are in what is high value for both producer and user.

まず、制作者はスケールすることを必ずしも望まず、金銭や視聴数/率といった指標以外にモチベーションを感じると同時に対価を受け取る(この書き方からして、対価とは経済的報酬でないケースもイメージの範疇だろう)。インセンティブはマスの視聴者ではなく、移り気で流動性の高いユーザーに向けられる。ネットワーク化した世界での生成動機は消費者と生産者が揃って「これはいい」と価値を認めたものに帰着していく。

しかし、この構図が上手く動作するには、莫大な数のN(ユーザー数)と莫大な数のN(コンテンツ数)のマッチングを行わなければならない。しかも、マッチングコストが高くなると、消費に至る前に注意力資源は全て使い果たされてしまうために軽くある必要がある。

この問題をどう解決するのか。

The problem is this low cost means high volume and the need for filters to sift through what is largely crap by traditional standards. This is where models of emergent social filtering are showing promise.

サーチ、と答える人もいるだろうが、もう少しソーシャルな仕組みがイメージされている。

彼自身の考えに入る前に、一度整理を行うと現存のサーチは特定単一の価値観で動くために、コンテンツ側のNが上手く成立しない欠点がある。サーチワードに対しての、Googleのランキングシステムが下す判断は基本一つである。Indexのタイミングなど諸所の揺れはあるにせよ、アルゴリズムに変化が無い限り同じ序列のリストを出力し続ける。この場合、検索するユーザー数に比して出力される結果のパターンは少なくなる。結果、埋もれたコンテンツは埋もれたままになってしまう。この問題をクリアする一つの方法はパーソナライズサーチだが、どの程度の品質にたどり着けるのかは現時点でははっきりとしていない上、「人×サーチワード」の組み合わせを基点とする限り、人の背景情報や属性情報を幾ら取り込んでも豊かな反応を、高いヒット感で出すことはなかなかに難問だろう。

というところで、指摘されているポイント四点がこの後続くのだが、後日改めて。

--
Rossの考えていることは前から非常に気になっている。おそらく、かなり深いレベルで、何かが「見えている」人だという感触は掴めているのだが、Blogを読んでいてもなかなか100%ピントが合った感覚を得られずにいたのだが、今回の「This is where models of emergent social filtering are showing promise.」などの一文で情報の流通構造をどのように捉えているかなど、じわじわと思考回路が見えてきた。Blogはこういう過程を踏めるのが何より楽しい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー