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CNET Japan ブログ

非公開情報と水面下の世界

2004/06/30 12:24
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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AlacraBlogにてGoogle以降の有料コンテンツの位置づけをまとめた「Google vs. Factiva vs. LexisNexis vs. Dialog NewsRoom?」というエントリが為されている。

の前に。
一昨日初めて無敵会議に参加してきた。直前になって申し込みを行い知人と連れ立ってふらっと参加してきたのだが、isologueの磯崎さんや、いつもご紹介頂いているP2P todayの横田さんなどと、どうもニアミスを起こしてしまっていたようである。リアルの場でご挨拶出来る良い機会だったのを少々勿体無いことをしてしまった。

内容については、CNETでも記事になっている他、主催者の橋本さんのBlogでも関連エントリがまとめられているためごく軽く。

パネラーのお三方の紹介したサイトや話の根底に感じられたのは
 ・情報は増え続けている
 ・これまで以上に増えすぎて処理するのが面倒
の二点。各種最適化サービスや遠い声よりも近い声が強く響くようになってきているという話は、処理判断負荷が高まって、情報源の信頼性のみで判断しつつある、いわば放棄状態を感じられる。

そして磯崎さんが触れられている

田口さんが「友達の言うことしか聞かなくなってきた」という傾向について触れていたとおり、私自身、昔はマス広告やマスコミ情報を元に行動する傾向が強かったのが、最近Yahoo!もほとんど見なくなったし、情報の利用にしてもモノの購買でも、blog等で「あの人が勧めていた」というトリガーがますます強力になってきているのを感じます。

という口コミベースの購買行動の象徴にBlog、SNSの二つが位置づけられていたのだが、最近周囲のエッジな(?)メンバーとやり取りしていると、「Blogさえもあまり見なくなってきている」という声がぽつぽつ出てきている。

どこにシフトしたかと言われると、懐古主義ではないがひとつがメーリングリスト。ユーザビリティとして大きな契機はGmailにより既存のメーリングリストに一枚ラップをかけられたことがひとつなのだが、より掘り下げると、誰が読んでいるか良く分からないBlogよりも鋭いリアクションが明確に帰って来るクローズドのMLの方が楽しくなってしまったのだと説明出来る。ただし、このMLは少し前の数百人とか数千人参加しているセミパブリックなものではなく、参加一桁、これ以上は増やしません系のブレストMLである。ハイコンテクストで高速で煮詰められる環境と比べると、どうもBlogのエントリ作業が重くて面倒に感じられることが多く、軽いものは全てMLに流すようになってしまった。

読む人が予め分かっていると、気兼ねなく書ける。当たり前の話であるが、どのツール、どのメディアを使うかは割とこのような些細なところで決まってしまうことから、「なんだ、そんなことか」と通り過ぎずにスケールさせたらどうなるかを考えてみている。どのコミュニティでもサイレントマジョリティの方が多く、適切なグループ分割をすると口を開く人が増える現象は往々にしてある。

世の中全体がそこまで行ってしまうとすると、購買行動は何に左右されるようになるのだろうか。

本題に戻って「Google vs. Factiva vs. LexisNexis vs. Dialog NewsRoom?」を。書いているのはSteve GoldsteinAlacraという会社のCEOである。経歴から目に付いたところを抜くと、

Alacra provides a variety of information services to financial institutions and professional service firms.

本領域でまさにビジネスを展開している当事者となる。ポジショントークの混ざる可能性は否定出来ないが、そこはBlogなので上手く付き合うとして、個人的には要チェックのBlogになりそうである。

問題意識の部分を引っこ抜くと、

whether or not Google provides answers that are good enough to threaten the traditional news aggregators’ market positions.

Google(と、加えるならBlog)の出現によって、ニュースアグリゲーションサービス、広く取るとロイターやブルームバーグなども含めた有料ニュースコンテンツ提供会社は脅威にさらされているのだろうか。

基本の軸は、1)コンテンツ量、2)コンテンツの質、3)配信チャネル、4)配信の早さ、あたりとなる。3は同じウェブ経由ということから差が無いと見做し、更に同じアグリゲーターということで、ソース元も層変わらないとすると、量と早さの二点のみが残る。たくさんニュースがあるのは当然いいに決まっているではないかとの意見に対して書き手のSteve Goldsteinはこうコメントしている。

the real challenge for Factiva, LN and Dialog NewsRoom is not making the content more available, it’s adding value to the content in ways Google (or Yahoo!) cannot or will not. Factiva’s new Reputation Management service and LN’s Company Dossier (containing legal information) are examples of products that would be difficult for Google or Yahoo! to replicate, at least in the near term.

本当に挑戦しなければならないのはコンテンツ量ではなく、GoogleやYahoo! がすぐには入って来れないサービスを提供することだとしている。

ロイター端末から変わらない法則である配信速度は当然として(ハイエンドサービスに行けば行くほど即時で情報がスムーズに届けられる。トレーダーなど反応速度のビジネスでは肝である)、具体的には

So knowledge workers in financial and professional services, who need comprehensive and complete “news runs”, should be safe markets. It’s the marginal, price sensitive user that will become increasingly difficult for the premium services to win over.

と情報の包括度を求める市場を指摘している。金融系が指摘されているが、他にも企画調査系など同種の人たちも入れられるだろう。

リスク要因としては競合の参入よりも

The bigger risk is not that Google or Yahoo! develops a competitive premium service, but that the free services provide an additional catalyst for a devastating price war between the three premium players.

無料化が推し進められることで、市場が破壊されることを懸念している。互いに身を削っていくことで

in the long run dramatically lower margins can lead to dramatically lower levels of service.

業界として使えなくなってしまう囚人のジレンマ的シナリオは確かにありうる。

新聞業界が下火になってしまうと、品質の高い一次情報の供給が減る。Blogがメディアを代替するか否かという議論があるが、例えば、Blog+アグリゲーターが満遍なく同じレベルに達するかと問われると少し微妙で、行き着くとしても小規模メディア+アグリゲーターという程度までの構造変化で止まるのではと予想している。

もう一点、参考までに彼のGoogle観を別エントリMore on Googleよりご紹介して締めとしたい。

But business information, be it found in trade journals, on the web sites of professional service firms, or hidden in the “deep web”, is not going to be found by Google.

Googleが万能かというとそうではない。世の中DBの奥にしまわれた情報はまだまだあり、PageRankにもクローラーにも捉えられない水面下の氷山のような世界はコンピューター上の世界でも広々とある。続けてのコメントについては、

The Google index is just too big, and the answers to many business information searches are too specific for Google to find. As I’ve mentioned before, the problem for business publishers is that users might think the stuff that Google does uncover might be good enough.

「just too big」に部分解を提示していると考えられる、Topix.netなどのクラスタリング系のエンジンをどう評価しているのかを聞いてみたいところである。

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サーチ、SNSなど「公開」の世界の話題が花盛りだが、最近「非公開」の世界が実はまた面白くなっているのではと考え始めている。企業にしても公開しているから、素晴らしいとは限らない。プライベート企業で面白いところはごろごろある。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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