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サンディエゴから世界のオープンソースに思いを馳せる:Linux Desktop Summit

2004/05/13 23:50
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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Amy Wohl's OpinionsにLinuxデスクトップをテーマとしたカンファレンス、Linux Desktop Summitについてのレポートが掲載されている。先日のエントリ「LinuxはデスクトップPCの「用事」を片付けているか?」の総括的な内容となっているので、とりあげてみたい。

  ◆◆先にお知らせを◆◆
  カンファレンス中でAmy Wohlが用いたプレゼンテーション資料を英文対比で
  翻訳しています。ご希望の方は、こちらよりお申し込み下さい。無料です。
  ◆◆お知らせここまで◆◆
 
 
本題。
Amy WohlのLinuxの基本認識は

Linux is in a transitional phase, moving from its free wheeling (and free) open source roots to becoming an open standard platform, upon which commercial developers build supported commercial software.

という一文、特に「platform」という言葉に集約されている。ソフトそのものだけではなく、もうちょっと大きく捉えなさい、というメッセージを見て取れる。
 
 
前回よりのUPDATE項目
 
個別要素別に確認していく。前回のエントリ「LinuxはデスクトップPCの「用事」を片付けているか?」扱った内容については、特に動きが無い限りは割愛する。

勢力を拡大しつつある地域としては

China, India, Africa, eastern Europe, parts of South America (especially Brazil), and some countries in western Europe (especially Germany and Spain)

とプレゼン資料では細かい数値と共に個々のケースについても触れられている。公共系の事例の目立つヨーロッパ、国を挙げてバックアップという勢いの出てきているブラジルなどパターンは様々である。

米国はMSの膝元であることも手伝ってか、

With the exception of some government agencies, some educational institutions, the development departments of some organizations, and pioneering individual geeks, North America is still Windows country.

あまり普及の兆しが見えない。理由として、

That’s largely because we were so heavily penetrated with PC’s and Windows before Linux became available to the marketplace. To us, Linux will be an alternative to an existing environment, not our first computer. In a country like India (with its less than 1% PC penetration rate), it’s a very different story.

米国はある程度市場がWindowsでロックしていることと、スイッチングを引き起こせるほどにはLinuxが整っていないことを指摘している。比較して、例えばインドだとWindowsの無消費市場であるため、中古PCのペンティアム?との組み合わせでも動くLinuxは新規のエントリーコストを下げるために、普及しやすい。

この事実とヨーロッパでの普及状況からすると、日本でも急速な普及は考えられない。既に十分に市場にWindowsのデスクトップが普及しており、これまでの学習投資を考慮すると、敢えて乗り換えるまでの動きは簡単には置きにくい。セキュリティなど別のニーズを持つ一部の公共機関などから普及していく、ドイツと似たようなパターンの市場浸透シナリオとなっていくだろう。

プロダクトの開発状況は最近の産業の動きをさりげなく取り入れていて面白い。

the future of Linux for small businesses and consumers and demoed new Linux applications for that market – LPhoto for organizing photos in albums and LMusic for organizing and playing music collections.

写真と音楽はしばらく伸びが予想されるマーケットである。オフィスアプリ以外を押さえることはコンジューマーマーケットでは必須になりつつあるが、きっちりと押さえにかかっている。
 
 
Linuxの未来の鍵はどこに?
 
さて、知人とLinuxの将来の鍵を握るのはなにか、というやり取りをした際に「文化の継承が問題なのでは」という意見が出た。ソフトそのものではなく、ソフトを生み出す人の営みに目を向けると、今のオープンなコミュニティが維持出来るかが重要なポイントとなる。特に、リーナスのような象徴的人物に何か起きた後、上手く継承されるかが未来の課題になることだろう。この点については

A real issue for Linux and Open Source as we move into that future will be continuing to support the spirit of intellectual debate and volunteerism that has made them strong and vital, while permitting the best Linux programmers to choose to monetize their expertise by becoming experts in large companies at well-paying jobs. The new model could work, but it will look different than the original one.

IBMのような巨大企業が関与を高めつつある状況だと、元のコミュニティに注がれる血が途切れはせずとも細り、変質する可能性はある。Linuxコミュニティに限らず、サポートを表明している企業にとっても、コミュニティの変化は長期のプランニングに影響を及ぼしうる。長い目で見ると、目先の競争よりもこの問題の方が重要になるのではなかろうか。
 
 
追記:
ソニーのVAIO一新にネットワーク家電の未来は見えるか」にてクリップしたIBMのウェブベースのデスクトップオフィスソフトについてのレポートも掲載されています。来週にでも取り上げるかもしれないですが、細部まで丁寧に押さえられているので本トピックが気になる方は是非ご一読を。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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