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全てはチップの上に

2004/04/30 02:26
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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昨日に引き続き、足腰固め系エントリを。

ハイテク産業の全体動向を見ていると、基本力学とでも言うべき大きな流れに沿って業界全体が動いていることが良くある。大きなものだと、オープン化(アーキテクチャ、ソフトウェアに続いて、コンテンツのオープン化が進んでいる)、インターネット、最近だと検索、Webサービスや第一回のエントリで取り上げたIP化など。今回取り上げたい「全ての処理をチップの上で行ってしまおう」というチップ化の流れもその一つとなる。

様々なタイプのチップメーカーがあるが、追い出すとキリがないため、業界最大手のIntelをサンプルに動きをサマライズしたい。

まず、Intelの現在の成長は以下の二方針から出てきている。
 1:ハイエンドサーバー市場のローエンド破壊
 2:コンピューター用途以外の機能のチップへの取り込み
前者は市場を下から上への攻める上下の動き、後者は隣接市場を攻める水平的な動きとなる。
 
 
1:ハイエンドサーバー市場のローエンド破壊
 
PC産業のチップメーカーとしてみると、インテルはクリステンセン教授のモデルに則するとローエンド破壊のプレイヤーだとまず理解出来る(教授作成の破壊者リストにももちろん加えられている)。破壊対象は大型の計算機。スーパーコンピューター、メインフレーム、もうちょっと下まで含めるとワークステーションまで。ウインドウズOSと共にPC市場を支配してきた体制を「ウィンテル同盟」などと表現されてきたが、挑戦者の側面も持っている。

パーソナルコンピューターの市場を制覇し、ローエンドのサーバー市場から企業向けに浸食を始めたIntelはUnix市場からメインフレーム市場へ、上へ上へと破壊を進めている。最終的にどこまで上がることになるのか、上がり方もチップの性能を高めていく形なのか、グリッドコンピューティングの流れが主流になり、単体チップではない、組み合わせでの効率化の方向に向かうのかはまだはっきりしていない(業界全体の力の入れようを考えるとグリッドに向かいそうではある)。どちらにせよ、今しばらく破壊が続くのは間違いない。
 
 
2:コンピューター用途以外の機能のチップへの取り込み
 
チップセットに新しい能力を加えていく動きも今に始まったことではない。過去にもグラフィック機能の統合、マザーボードへの進出など業界再編を引き起こす動きを過去何度も起こしている。細かいトライアルを含めると多岐に渡るため主なところを。

Centrinoブランドで提供されているWi-Fi
カードとして提供されていたWi-Fiの機能はチップに統合されていっている。ノートPC用のチップがWi-Fi対応が標準的となり、無線LAN接続サービスのパターンが定まる=搭載する機能が確定されるに従って、チップに取り込まれ易くなる。カード、周辺機器メーカーの収益がIntelにシフトすることとなる。

・ワイヤレス端末
携帯やPDAなどへのチップ提供。最近は特に携帯向けの開発に力が入っており、ソニー・ミュージックエンタテインメントと共同で音楽、映像の端末への配信技術の開発を進めるなど、単純な演算能力以外の提供に余念がない。Wi-Fiの次期有望規格であるWiMAXへの支援にも力を注いでることから、行く行くは無線LANとのハイブリッド端末も視野に入れていくことだろう。

・ホームネットワーキング、家電
ハイテク産業の巨大なフロンティア、とばかりにインテルに限らずコンピュータ産業の側からの新規参入意欲が続いているのがこの市場となる。Intelとしてはチップが売れれば基本は何でも良いところから、PC中心のアーキテクチャになる場合、ならない場合のどちらでも勝てるように手を打っている。PC中心にならなかった場合への打ち手はワーキンググループの設立などだが、得意領域でないため、必ずしも絶対のものではない。
  
 
駆け足の総括
  
ネットワーク領域(IntelはEthernet領域でも製品提供している)、携帯、ホームネットワーキングの三つはいずれもチップ以外のハードもしくはソフトで提供されていたか、チップにしても家電系メーカーが提供していたものである。音声映像などアナログ情報で処理されていたコンテンツは近年ビット化が進み、ネットワーク上で流通消費され始めていることで、ハイテク業界としては戦い易い環境が整っている。隣接領域を攻め入ると同時に、固まった部分から半導体の中に取り込んでいく。

これまたどこまで浸食するのか現時点では定かではないが、少なくとも米国での流れは結構強い。どこまで行けるか、且つ日本を含めた海外市場でどこまで優位性を持つかは(1)今後アーキテクチャがどのように固まっていくか、(2)アーキテクチャが国ごとに分化しないか、の二点により大きく変わる。(2)についてはコンテンツ産業の産業構造が国ごとで異なって進化していること、ワイヤレス端末やネットワーク接続サービスも国ごとに特色があることから、ある程度の共通性は持ちつつも個別個別で決まっていくシナリオが濃い。

※GW中は急ぎ取り上げたいトピックがあった場合を除いてお休みします。GoogleがIPO申請を行うのでは、などと日本が休み中に結構動きはある気配なので、1,2本は書きそうです。
 
追記:
GoogleのIPOが正式発表されました。Dan Gillmorの速報コメントはこちら。SECに提出された財務資料も見れます。今まで分からなかった内部コストに関わるデータと外向けとはいえ、競争環境の認識を資料として見れるのは良いです。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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