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進化し続ける音楽レコメンデーションエンジン

2004/04/28 01:00
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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音楽業界の敵はファイルシェアリング、という論争の構図はここ数年変わらない。レコードのセールスの落ち込みはナップスターのファイル共有が犯人であるとの主張は「ナップスター」を別の単語に変えて幾度となく繰り返されており、日本においてもWinMXやWinnyなどP2Pの共有ソフトで著作権侵害の事例が逮捕者と共に出ている。

ところが、ファイル共有は音楽業界の味方なのでは、との声もまた根強い。最近読んだJefferson ProvostのMusic sharing is viral marketingでは

The thing they refuse to recognize, at least outwardly, is that the sharing of music has always been one of the most important marketing forces for the music industry. I don't mean online peer-to-peer sharing, I mean sharing in the more general sense, like the time-honored tradition of making mix-tapes and giving them as gifts, or a friend handing another friend a CD and saying "listen to this, I think you'll like it".

と、P2Pのファイル共有以前から、音楽業界にとっては共有とお互いのお薦めがマーケティングの基本として存在しているのだと指摘している。

友人知人から「これいいよ」と聴かされて買いたくなるのは、音楽は言葉で説明されても良く分からず、結局は自分の耳で確かめて判断するしかないことがそもそもの原因になっている。が、音楽業界からすると、視聴にしてもファイル共有にしても、聴ける形で渡してしまうともう売れないとの矛盾を解決する仕組みが無かったことに大手を振って採用するには至らない仕組みだった。

ところが、iTuneを初めとした音楽ダウンロードの普及と、DRM技術の実用化が近づいてきたことで、レコメンデーションを利用したマーケティングがメインストリームの手法として再考の余地が出てきている。また、Tivo、A9、すご録、PSX、Bloglines、Furlの全てが裏側にレコメンデーションフレームワークを乗っけられる。もし世の中が「あちら側」にシフトしていくのであれば、サーチとレコメンデーションが果たす役割は大きくなると予想出来る。
 
 
音楽産業の進化形
 
The Big PictureのThe Napster Cooption Business Modelが適度にまとまりが良いので、引っ張り出してきてみた(シリーズで幾つかパターンがあるので、良ければ他も参照下さい)。なお、文中のNapsterは好みに応じてiTuneなり、人によっては先読みしてA9などを入れて頂けると今っぽい感じが出てくるものと思う。
 
 
まず全体像。

The industry had a golden opportunity to establish the “cooption model,” working with Napster as a centralized downloading center. This involved a jiu jitsu of the Napster sharing framework. The goal of the model would be to turn the Napster network into a massive data mining / advertising promotion / sales machine.

中心に巨大なダウンロードセンターが配置されており、ファイルそのものとは言わずとも利用履歴の共有が可能になっている。データはなんらかの解析エンジンを通して利用者に検索やお薦め自動表示などとして提供され、販促効果を生む。

当初目的とされるのは、

The first goal would be to find out a) what people are listening to; b) what else they might want to listen to; and c) extending their relationships with the artists whose music they appreciate.

a)ユーザーが今聞いているものを把握し、b)関連して聞きそうなものを類推し、c)アーティストレベルまで更に拡張するの3ステップ。Amazonとの違いがはっきりしないところがあるが、

Google-like page rank system, filled with rules such as multi dimensional rules: User “Likes the Beatles and Rolling Stones, but also has jazz and some hip hop but no country music, therefore: __________.”

ジャンル/アーティスト/作品とルールの階層付けを行うことによって、より痒いところに手の届く推薦が行えるとしている。

余談だが、iTuneについては、お互いのiPodのリストを見せ合い、街中で出会った人とジャックを交換して互いのリストを鑑賞しあうといった遊びが生まれたりしているらしい。シェアリングというとネットワーク上という風につい考えてしまいがちだが、共通規格の端末が町中に溢れたことで直接その場でやり取りする文化が生まれたのだろう(更に脱線するが、Gmailに嫌悪感を持つ人はこの風習にも嫌悪感を感じるのではないだろうか)。iPodのエピソードは面白いものが他にもあるのだが、本筋から離れすぎる上これ以上書踏み込むと与太話のようになってしまうので、適度にこの辺で。

脱線はさておき。
溜まったデータは処理しないと何も意味がないが、レコメンデーションエンジンの開発も進んでいる。以前も取り上げたことがあるが、類似した利用傾向を持つユーザーグループを抜き出す以外に楽曲そのものを構成要素に分解して、類似した特長を持つ曲をグルーピングしていくなど文字情報の世界でもなかなか出来ていない分野に切り込んでいるプレイヤーがいる。
 
 
出会いのインフラ:サーチとメタデータ
 
今後は、RSSのメタデータのセマンティックスの整備と、Google:ローカル検索に見るFunctionからDataへの転換で扱った検索需要と販売数とのマッチングデータなどが加わってくることとなる。どれもこれからの要素なので、何が起きるかは幻視するしかないが、

・属性情報はある程度業界横断的に揃った形で整えられていく
・誰が何を欲しがっているかの潜在需要が実購入+クリック(=Amazonモデル)以外でも捉えられていく

の二点がデータのインプット側で変化として起きようとしている。

後半で具体的なプロモーション構造についても触れている。

This would be aided in part by giving music fans an additional incentive to purchase an old school, manufactured and shipped polycarbonate disc, or in the alternative, download a higher quality MP3. There are many ways this could be done: CDs should be sold with both traditional tracks, and MP3s for Napster. Moving them to your hard drive encourages promotional downloads. Higher quality, non Napster MP3s (i.e., Apple’s AAC) should also be on the disc. There has been some gradual progress made in adding videos, unique tracks, live or acoustic versions accessible over the net only with a purchased CD in the tray. The same incentives could be provided to those who bought internet based tracks. Album art, lyrics, etc, would only be available to those who legitimately paid for their music.

ダウンロードに加えてCDを買った人には、ここでしか手に入らないおまけの一曲をプレゼントなどプロモーションキャンペーン的な販促のパターンが紹介されているが、これは一皮めくれば情報財のバンドリングの話と直結する。Part1をまとめた後、いまいち続きをエントリするタイミングを失っているバンドルのテーマだが、これも機会をみて続きを書きたい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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