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A9は次世代の検索エンジンになれるのか

2004/04/21 23:29
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渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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A9関連のエントリが多い。CNET内でも井上さんの「AmazonがA9のベータ版を開始」「ショッピングサーチの重要性」の二本。プライバシー問題とサーチ全体の競争の構図を意識した梅田さんの「GoogleとAmazonの新技術はプライバシー問題を克服できるか」の三本がエントリされている。

火種になったBattelleのエントリにしても130箇所ほどからリンクされており、村山さんのコメントの通り立派なマーケティングとなっている。
 
 
結局、A9は何が面白いのか
 
大枠の問題はサービスの不出来な部分も含めて既に語られているが、本質をどう捉えるべきか、一番面白いところは何になるのか、「Amazonのサーチエンジン「A9」のβ版リリース」で書いた

どっち良いとかいうのではなく、二者は違うカテゴリーの情報なため、単純に上手く組み合わせて使うのが良い。ある程度オーソドックスでスタンダードな情報は書籍を中心に確認し、更には必要に応じて該当の書籍を購入する。この段階までで中心の大事なところを押さえてしまう。合わせてウェブサーチの結果で追加情報や周辺関連情報を得て深みや豊かさを得たり、新しい切り口を探したりする。などというメリハリの利いたサーチが行えることとなる。

というまとめを担保出来る資料を探していると、rexblogにて「My prediction is that A9 will quickly introduce "collaborative search"」という感覚的に近いエントリを見つけた。全体の議論は粗いものの、何箇所か面白い指摘をしており、A9騒動の火付け役となったJohn Battelle's Searchblogでも、「Search Engine Loyalty, A9 Prognostications...」と紹介されている。

問題の箇所を引用すると、

A9 is not designed as an Internet search engine, but as a knowledge-searching tool to end all knowledge searching tools.

A9はウェブサーチと捉えるのではなく、知識をサーチするためのツールなのだと。

John Battelleはこの一文を引用しつつストレートに

He's right, of course, and I should have made a bigger point of this, but I sort of presumed that was the sex in A9 to begin with - it's Amazon, after all. A knowledge-searching tool is exactly what a search engine should evolve towards.

賞賛を送っている(余談だが、他の箇所には厳しいコメントをつけている)。
 
 
情報ではなく、知識をサーチするには

knowledge-searching toolとなりうるのは、少々ごちゃごちゃしている面はあるものの、ウェブサーチと書籍サーチを同時に行える今のインターフェースが一つ役割を果たしているが、もう一つ、潜在可能性でしかないものの、利用パターンの似たグループを括りだして商品のお勧めを表示するcollaborative filtering(協調フィルタリング)機能をサーチに統合出来ることにある。

I predict (and I am about to explain why I have at least some standing on this opinion) Amazon's amazing skills at such application of collaborative filtering in providing search results will be A9s' true secret sauce. As you look for information, Amazon will provide you the results that "people like you" have found most helpful when searching for the same information, product, place, answer, etc. With A9, however, I predict the results won't be limited to URLs, but will link to passages in books, products in stores, scenes in movies, insights from reviewers (and bloggers?)...all based on the preferences displayed by people who have similar patterns of purchasing (and searching and clicking) as you.

一言でまとめると「Amazonと一緒にしてしまえ」ということになる。

サーチに限らずパーソナライズは実現すると面白いのは確かだが、使っていくうちに自分の趣味の物しか出なくなってしまう不便さがある。創造性がないのだ。我が儘な話になってしまうが、「これってもしかして好みなのでは?」というお勧めや、なるほどと思える意外な切り口に気付いたり、ふと目にしたところでピンと来る感覚から新しい発見があることが多い。自分で書いたプログラムのバグや文章の間違いは自分では気付かないように、何らか他者の目や偶然性を取り入れている方が面白い。Amazonが便利でも本屋に行くのをやめる気になれないのは、ざっと全体を眺めて傾向値を肌で掴み、棚を一瞥した際に引っかかった資料をチェックする作業がウェブよりも効率的に行えるためである。人が整理した棚は単純に面白い。

ちなみに、人生で見た本棚で一番面白かったのは、編集工学研究所の本棚だった。全体を見ないと雰囲気伝わらないのかもしれないが、完全に脳を外部化してしまっている。

閑話休題。

パーソナライズ技術は各社開発を進めているが、実際のサービス提供は始まったばかりであり、ユーザーの獲得も含めてまだまだこれからである。反面、collaborative filteringについてはAmazonはアドバンテージを持っている。コマースでの利用とはまた別の応用開発が必要となるが、膨大な顧客の利用履歴やフィードバックを資産として持っているのは間違いなく有利である。
 
 
A9の進むべき道は

John BattelleによるA9のトップ、Udi ManberへのインタビューでAmazonのサイトのcollaborative filteringとサーチが融合されていくものなのか質問されている。

Will A9 ever integrate all the information Amazon already knows about its customers -- what they buy, browse, or search -- into creating better search results? If I happen to buy a lot of books on jungle cats, will my A9 search results know to serve me the cat-related search results for the query "jaguar" ahead of the car or the football team results?

とのBattelleの問いかけに対して、Manberは

We have no plans to do this at the moment. It is very hard to do well. If we do this, we want to make sure to do it in a way that makes the search experience work better for users. But again, I can't predict the future. The whole goal here is to get better customer experience. Whatever I can find to get better customer experience, I'll do it.

と明言を避けている。とはいえ、技術的に追求するオプションは当然社内で検討しているだろう。前回も書いたがサーチの世界は様々な形で可能性が追求されている。持てる資産があるのであれば、使わないことにはAmazonといえども競り負けていってしまいかねない。

〜〜
それにしても、サーチ関連で相変わらず動きが多い。Googleはどうやらこれまでどおり王道を突っ走る様子であるが(参考までに、Search Engine Strategiesの内容はΔ308eNaturalでサマリされています)、大手だけでも動きを整理確認しておく時期かもしれない。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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