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ストレージ+サーチという世界

2004/04/20 23:17
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プロフィール

渡辺聡

インターネット/IT分野で事業開発に携わる渡辺聡さんが、注目ニュースなどを題材に、そのニュースの背後にある本質的な変化とその先行きを、経済や社会との関わりの中で考えていきます。
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Gmailはメールのストレージ+サーチというモデルであるが、同じような仕組みをウェブブラウジングで実現しているFurlという会社があるとJohn Battelle's Searchblogにて紹介されていた。トップページにあるコピーを引っ張ってくると

Furl helps you save, share, and recall anything you find online.

と、ブラウジングしていて気になるページがあれば、アーカイブすることが出来、且つ共有出来るサービスである。アーカイブのあるMyClipという説明の仕方でも良いかもしれない。

サービスの謳い文句としては

・Save articles, pages, and receipts with a single click.
 シングルクリックでページを保存でき
・Never lose a page due to memory, paid archives, or "link rot" again.
 リンクが古くなったなどの理由で失うことなく
・Nothing to install. Access your archive from any computer, anywhere.
 インストール作業も必要なく
・Automatically share what you find through email, RSS and site integration.
  メールやRSSで共有が出来
・Search across all the data in your archive in an instant.
 アーカイブをサーチすることも出来る

という風に、利用者の意思の加わったウェブのアーカイブが作られていくことになる。「Furl is your memory on Google」という説明があるが、言いえて妙である。
 
  
ページクリッピングから人力ウェブ検索へ

個々人にとってはまずページのクリッピングになるが、

So what is it about Furl that made me write that past paragraph? After all, it's just a web page-saving application. Right? Well, yes and no. Furl does a good job of helping you manage your web browsing. It adds several features that others don' t have - full text search on your saved pages, for example. But Furl saves the entire web page you've "furled", not just the URL, which prevents link rot, on the one hand, and creates what I'll call a "PersonalWeb," on the other.

アーカイブしたファイルにテキストサーチをかけられるということは、自分専用のウェブ空間、「PersonalWeb」を作れることになる。気になったページがあればどんどん"furl"しておくだけで、後で気になった時に再度探して見つけ出すことが出来、記憶の外部倉庫として機能するようになる。一般の検索サービスと異なるのは、自分にとって何か引っかかった情報を母集団としてサーチ出来るためノイズを少なく出来ることにある。とはいえ、自分が見たことのあるものしか拾えないために、新しく何かを探すときには使えない。協調フィルタリングを応用するなども理論的にはありうるが、まどろっこしいだろう。よって、既存のサーチを急に代替するものではなく、補完的に利用されるのが自然。

加えて、共有出来るのが面白い。

You now have a massively scaled application where millions of people are creating their own personal versions of the web, and then sharing them with each other, driving massively statistically significant recommendations, and...some pretty damn useful metadata that can be fed into search engine algorithms, resulting in...yup, far better search (and...far better SFO (Search Find Obtain) opportunities).

多人数で"furl"している場合、大事件のニュースや話題のサイトなど、自然と保存対象に共通のものが出てくるだろう。この保存数なり参照数なりによって生まれたランキングはサーチの重要度として使える(書けば書くほどMyClip的に・・・)。既存のサーチエンジンに即座に取って代わることはないだろうが、単体のアルゴリズムではなく、人の利用足跡を取り込んでダイナミックにウェブを捉えることが出来る。また、入り口が軽く奥行きが深いのは普及するサービスの基本要件となっている気がする。

実際にしばらく使ってみたところ、アーカイブにが十分な量が足りないためだろうか、いまひとつ情報のヒット感が得られなかった。Blogにしてもニュースにしても、「これ」といった感の情報になかなか当たらない。クリティカルマスを越えた時点で急に便利になるタイプのサービスなため、勝負としては、1:一定量のユーザーがコンスタントに使い、2:且つユーザーが"furl"した情報が共有財産として十分な量蓄積されること、が個々のユーザーにとっても便利だと思える必要条件になる(この辺りの評価はもう少し使い込んでから最終確定させたい)。Blogでの参照構造を取り出せるTechnoratiや巡回支援サービスのはてなアンテナなどと合わせて使えないだろうか。

ここに、丁度百式で紹介されていたFindory、

このニュースサイトでは、クリックしていくだけであなたのお好みの情報ががちゃがちゃと構成されていく。

仕組みはサイト訪問者ごとに割り当てられた特殊なIDにある。このIDがあなたがクリックしたニュースを監視し、似たような記事を表示するように操作してくれるのだ(プライバシーうんぬんの話はちょっとおいておこう)。

も組み合わせるとどうなるか。
 
 
分散処理とシンジケーションに進むウェブ
 
ポータルとサーチで平準化の力がかかっていたウェブの世界はBlogで上手い具合にダイナミックに流動化した感がある。次に、サーチに限らず、パーソナライズのアイデアが数多く試されてウェブの使われ方がまた少し変わっていくのだろう。情報が生まれてから届くまでの構図を対比してみると違いが分かる。

個々のページ ⇒ サーチorポータル ⇒ 利用者

個々のページ ⇒ Blog+Furl+Findory ⇒ 利用者

と、前者は中央集権的であるが、後者は分散的でバラバラな処理プロセスを通じてユーザーにウェブの情報が届けられることとなる。メディア、コンテンツ流通に起きている変化とも同様の流れが感じ取れる。
 
 
RSSを入り口にした議論でRoss Mayfieldがこの状況を上手く言い表している。

Its a powerful force for vertical disintegration. It also drives the local entropy reversal that lets more complex forms emerge. A symbiotic relationship between content and reader/writer or forming syndicates that are less association and more group.

「あちら側」の世界が生まれることで情報が中央処理されるモデルに向かい、対抗するのはP2Pという図式がこれまで時折語られていた。しかし、今回取り上げたFurlといい、体制/反体制という政治的な文脈で語られるようなモデルではなく、もうちょっと分散的で緩やかな、ある意味くだけた世界も成立するようになっていきそうである。
 
 
〜〜
取り上げるかどうか思案してますが、The future of Webloggingという記事が素晴らしいです。Bloggerの方々、分量多くなりますが是非ご一読を。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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