お使いのブラウザは最新版ではありません。最新のブラウザでご覧ください。

CNET Japan ブログ

アルファギークとHack

2004/11/25 09:21
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

umeda

シリコンバレーで経営コンサルティングを行なう傍ら、ベンチャーキャピタリストとしても活躍する梅田望夫さんが、IT業界の先を読むのに役立つ英文コンテンツを毎日紹介していきます。これを読めば、英語と業界動向を読む力が同時に身に付くはず(このブログの更新は2004年12月30日で終了しました)。
ブログ管理

最近のエントリー

[ゲスト] 宮川 達彦 Tatsuhiko Miyagawa
11月19日(金)〜11月25日(木)までの間、梅田望夫さんの代わりに宮川達彦さんがゲストブロガーとして登板します。

宮川さんのプロフィール:1977年9月神奈川県生まれ。東京大学理学部卒、2000年に株式会社オン・ザ・エッヂ(現 株式会社ライブドア)入社。2003年9月より執行役員Chief Technology Architectとして、Blogを中心とするWebサービステクノロジーのエバンジェリスト活動や社内WebアプリケーションフレームワークSledge(オープンソースで公開されている)の開発などの活動を行っている。PerlコミュニティではCPANモジュールの登録などを積極的に行っており、Shibuya Perl Mongersのリーダーとしてテクニカルトークなどのイベントを定期的に実施している。個人で運営しているWebサイトに、ニュースコンテンツのメール配信やRSSフィード配信を行うBulknews、RSSフィードの検索エンジンBulkfeedsなど。いくつかのBlogを運営しているが、メインはhttp://blog.bulknews.net/mt/

一昨日のBulkfeedsの紹介では、テクノロジー主導で若干ニッチ層をターゲットとした場合のギークコミュニティの役割について考察しました。これが大きな企業の提供する、ニッチではないマスなユーザベースに向けてのサービスであった場合はどうなるでしょうか。

オピニオンとしてのアルファギーク

今回のゲストブログのテーマでもあるアルファギーク、高林哲さんのエントリでも解説されていますが、「産業を変化させる力を持つ新しい技術に早いうちに飛びつき、ああでもないこうでもないといじくっているうちに、技術が進むべき方向性を示し始める、先鋭的で飽きっぽいエンジニア」ということになります。テクロノジーセントリックなサービスでなくても、こうしたユーザが果たす役割は近年ますます大きくなってきていると思います。

先日、ヤフーの志立正嗣さんとお話しする機会があったのですが、

「Yahoo! JAPANの提供する検索サービスは日本の大多数のユーザをターゲットとしており、決してニッチなものではない。しかし、"液晶を買うならシャープの亀山工場生産のもの" といった例もあるように、先進的ユーザがオピニオンを形成し、それを後追いするユーザが先入観として持つ、クチコミ的な力は確実にある。6月に独自の検索エンジンYSTに変更したヤフー検索も、そうした層にしっかりアピールして、彼らにささる新機能を意識して追加していきたい。」

といったお話をしておられ、「先進的ユーザ」=アルファギークのオピニオンリーダーとしての役割、その重要性を認識しておられました。実際、無敵会議といった、先進的ユーザコミュニティへの情報提供といった取り組みがそれを証明しているようにも見えます。また、そうした人材に魅力的なサービス・環境を整えることによって、優秀な人材をリクルーティングする機会につなげていく、という面もあるようです。

また、はてな近藤淳也さんも、

「日本のWebのマーケットで成功するサービスで、渋谷・六本木のIT企業を中心としたコアなユーザのメッセンジャーやブログの網に引っかからないことはまずない」

といったことを言っていました。この「IT企業などにいる、コアなユーザ」というのもアルファギークに置き換えることができるでしょう。こうした人たちのネットワーク(網)に引っかかり、インスタントメッセージやBlogを通じて、その技術やサービスへのポジティブなフィードバックを得ることができるわけです。

アルファギークにアピールするサービス

では、「アルファギークに魅力的と思われる」サービスを提供するには、どうすればいいのでしょうか。一口にアルファギークといっても様々な人がいるわけで、これという正解はもちろんないわけですが、一般論としてカテゴライズしてみると以下のようになるのではないでしょうか。

  1. 先進的でまだあまり知られておらず、今後ブレイクスルーが来ると思われるもの
  2. テクノロジー的に「クール」な大企業のサービス・製品を、裏技っぽく使うこと
  3. セレブリティ感を演出するサービス

ちょうどこの3つをそれぞれ、私のBlogから例を拾って解説してみます。

1つ目の「先進的であまり知られておらず、今後ブレイクスルーが来そうなもの」としては、Skype の API公開Bloglines Web Servicesなどが挙げられます。先進的テクノロジーを駆使したWeb上のサービスやクライアントサイドのソフトウェアに対して、それを自由にいじることができるAPIを公開することで、ギークの興味を引くという手法ですね。一昨日紹介した、WebサービスAPIを利用したコンテスト、というのも似ているかもしれません。

2つ目の、「クールなテクノロジー企業のサービスを裏技的に使うこと」としては、Apple の AirMac Expressや、Google Desktop Search のカスタマイズといった例が挙げられます。どちらも、ブランドとしてイケてるイメージがあり、それらの提供するサービスやプロダクトを、自分のちょっとしたハック(Hack)で、もともと想定されていないような使い方を生み出すことに楽しみを見出すという部分はありそうです。

最後の、「セレブリティ感を演出するサービス」は、1と2のあわせ技とも言えます。たとえば Google の Gmail のように、インビテーション制をとることで、「ほかのユーザより進んでいる感」を与え、かつ優れたインタフェースや、ストレージとしての利用など、本来の目的ではない使い方をする「余地」をユーザに与える、といった部分は Google というブランドの持つ特徴的な部分だなと感じます。>

アルファギークとHacks

上では、はからずも "Hack" という言葉を使いました。私がHackという単語で最近もっとも印象深いのは、Geek向け出版社 O'Reilly から出版されている「Hacks Series」における "Hacking" という単語の解説です。

O'Reilly's Hacks Series reclaims the term "hacking" for the good guys--innovators who explore and experiment, unearth shortcuts, create useful tools, and come up with fun things to try on their own.

これは、まさにアルファギークの定義にソックリです。多くのユーザにアピールする魅力的サービスをつくり、そしてWebサービスAPIなどのデータ提供で、ギークにもHackするスペースを残す。こうした姿勢が、ギークフレンドリなサービスの形成に役立つのではないかと思います。

明日からは、初めての日本発「Hacksシリーズ」書籍となった Blog Hacks(オライリー・ジャパン)の共著者である伊藤直也さんがゲストブログを担当します。お楽しみに。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
運営事務局に問題を報告

最新ブログエントリー